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ACアダプター(直流電源装置)のPSE手続きを甘く見ていると大変なことになりますよ

PSE 事例 時事ネタ 認証の原理原則
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こんにちは。管理人の堀です。

基本的に本体から電源コンセントが伸びている製品は、交流(DC)扱いとなりPSE(電気用品安全法)の対象となります。

もちろん例外もいろいろありますが、問い合わせあった方にわかりやすく説明するために、

家庭にある本体から電源コンセントが伸びている製品、例えば、ドライヤー、扇風機、テレビ、エアコンなどは(製品本体が)PSEの対象になります。

 

とお伝えしています。

その一方で、本体には電源コンセントがなく、外付けのACアダプター(電気用品安全法の言葉で言うと「直流電源装置」)を使用するものは、本体ではなくACアダプターがPSEの対象となります。

そうしたものは沢山ありますが、

例えば、コードレス掃除機などもACアダプターで充電をして、実際に使用する際はアダプターを外すことになります。この場合、コードレス掃除機本体はPSEの対象外です。

 

そうした話は、以前にも書かせていただきました。

【認証Q&A⑫】PSE直流電源装置(ACアダプター)についてのお悩みを中心に回答します

充電アダプターを使っていても製品本体が必ずしもPSE対象外ではないという事例について

率直なところ、ACアダプターを利用すると、かなり安くPSE製品を扱えることになるのですが、それでも手続きをちゃんとやらないと販売停止になってしまう可能性も十分にあります。

今回は当社事例を踏まえてそうしたお話について書いていきます。

 

本体PSEとACアダプターPSEの違いをおさらい

ACアダプターを用いるような製品が、本体から電源コードが伸びるタイプであれば恐らくほとんどが特定電気用品以外となります。一方、ACアダプター(直流電源装置)は特定電気用品となります。経済産業省のPSEフローを見てみましょう。

引用:経済産業省ウェブサイト「電気用品安全法_届出・手続の流れ」

 

今回は、両者の法制度の比較は行いませんが、大きな違いとしてはACアダプター(直流電源装置)は特定電気用品となり、基本的に小さいものなのに、工場立入検査も含めて検査費用が高くなってしまうということです。

普通に考えると、「小さい=安い」と考えがちになりますが、ACアダプターの大よその費用感をお伝えすると、

えっ!?そんなにするの。。

 

という反応が返ってきます。一方、最近ではACアダプターをイチからPSE認証をしないという認識が広まってきています。

 

通常輸入するレベルではACアダプターをPSE認証する人はいない

中国や台湾にもアダプターメーカー(サプライヤー)が数多くおり、本体工場はそうしたサプライヤーからACアダプターを調達しています。要するに、本体工場が自分たちでアダプターを作っているわけではありません。

ACアダプターの需要は世界各国であり、サプライヤーとしても自社製品を世界各国で販売するために世界各国の認証を行っていることがほとんどです。その中には、PSEも当然含まれています。

なので、本体工場からサプライヤーに聞いてもらえば、結構な確率でPSE認証されているアダプターを提供してくれることがあります。

中には、PSE認証されたアダプターはなかなか見つけられないという本体工場もありますが、検査の手配をするとなると費用的にも手間的にも相当厄介です。

正直、その費用も結局は検査機関の懐に入るわけで、当社としてもあまりおいしい話ではなく、情報提供などのサポートをしてなんとか見つけてもらうように促しています。

その方が、当社としても手数料をいただけますし、お客様としてもより安価で事業を進められることになります。

 

安くできるからと言ってちゃんとやらないと販売停止もあり得る!?

費用が掛からない分、参入障壁が低くなることも確かですが、製品自体が珍しいものであれば問題ないかもしれません。

晴れてPSEをクリアして販売できることになりますが、費用が掛かっていない分、ちゃんと調べずに不備のある事業届を行っていたり、そもそも事業届を行っていない方も時折いらっしゃるようです。

そうならないように下記の点などには注意するようにしてください。

 

事業届の忘れには注意

そもそもとして、PSE対象品を製造・輸入販売をする際には、経済産業省(管轄の経済産業局)に事業届けを行う必要があります。

ただ、これは誰かが教えてくれるものでもなく、自分で調べるもしくは、第三者から指摘があって初めて気付くということが多く、出し忘れもありますが、根本的に法制度を理解していない場合もあります。特に、比較的簡単に済ませてしまえるACアダプターであればなおさらです。

事業届をせずに販売をしていると後々大変なことになるので、必ず行っておくようにしましょう。下記に経産省の事業届に関するページのリンクを貼っておきます。

経済産業省_電気用品安全法_事業届

 

ラベルへのPSE表示も忘れずに

事業届をしっかり行ったら、PSEの表示ラベルに届出を行った事業者名そのままの名前を、PSEマークに近傍に表示するようにしましょう。

まれに届出は日本名(漢字・カタカナ・ひらがな)で行っているのに、生産工場に印字してもらったそのままのアルファベット表示になっている事業者の方もいらっしゃいますが、これはNGです。

ささいな違いですが、経産省の取り締まり対象になりますのでご注意ください。

 

名義貸しは基本的にNG

たまに聞くお話しなのですが、A社が輸入事業届を行っている一方で、輸入・販売行為はB社が行っているという事例があります。

これも完全にNGです。

正しい流れとしては、A社が輸入し、B社に一度卸販売をした後に、B社が市場に向けて販売することです。ただ、どうしてもこうした流れを取れず、(A社の事業者名のまま)(B社が直接輸入・販売しているケースがあるようですが、それは違法なのでやめましょう。

どうしても上記の流れを取れないのであれば、B社が輸入事業届を行って、B社の名前を表記して販売するしかありません。

 

本当にPSE認証しているかわからないサプライヤーもいるのでご用心

これはPSEの法制度上の欠陥かもしれませんが、工場から証明書だけ見せられても、それが実際にアダプター現物と紐づいているかどうかわかりません。

本当に証明書と現物が一致しているか不安です

という声は非常に多くいただいています。対応策としては、工場に検査レポートも提供してもらうか、両者は一致しているという一筆をもらうしかないかもしれません。

 

番外編:日本国内で販売されているメーカーのACアダプターをそのまま使う

国内のそれなりのメーカーが販売しているアダプターであれば、特段PSE手配をせずに購入してそのまま本体とセットで販売しても問題ありません。

そうすると、1個当たりが少し割高になりますが、まずはそうやって正当に販売実績を積み、数が出ることが確認できたら、中国・台湾などにACアダプターを切り替えるというやり方もあります。

 

製品本体が変更になってもACアダプターに変更なければOK

繰り返しお伝えすることになりますが、外付けのACアダプター(直流電源装置)を用いる製品において、PSE対象になるのはACアダプターです。基本的に本体への検査義務は発生しません。

この点は各国の法制度の違いがありますが、ヨーロッパのCEにおいては、こうした場合では、アダプターに加えて製品本体の検査も必要になってきます。

時折、ヨーロッパの認証代行会社から相談されますが、上記内容を説明すると、

おー。日本はなんて緩い国なんだ!特に、EMIやリチウムイオン電池などは、ちゃんと検査しないと危険じゃないか。

 

と驚かれることもあります。本当に仰る通りなのですが、そうなると、法改正も間に合わなくなる可能性もあるでしょうし、結局、インチキする人間も多くなるでしょうから、現状ではなかなか難しい側面もあると思います。

 

副本原紙の入手も忘れずに

結構忘れられがちなのが、証明書副本原紙の入手です。PSEでは、輸入事業者は副本の原紙を入手し、保管をしておく義務があります。

経済産業局への事業届自体は、証明書のコピーで可能なので(むしろ、コピーでないと届けは出来ない)、原紙の保管の重要性に気付かず(もしくは意図的に)原紙の保管を怠る事業者さんも一定数いらっしゃいます。

それほど件数は多くないと認識していますが、そうした中でも、経産省の立ち入り検査などの対象になった際にこの副本を持っていないと、副本を手配・入手するまで販売停止措置が取られることになります。

少々法律が曖昧な部分もありますが、この副本を事業開始のいつまでに入手しておかなければならないという条文は見当たりません。少しグレーな言い方をすると、経産省の立ち入り検査までに用意をしておけばよいということになるのではないかというのが当社の見解です。

しかし、真っ当にビジネスをするのであれば、副本の入手には多少の費用は掛かりつつ、それほど高額なものではないので、急ぐ必要もありませんが、事業開始から1~2か月くらいの間には用意しておくのがよろしいのではないかと思います。工場に連絡を取り、副本の入手の打診をするようにしましょう。

ちなみに、副本というのは原本の内容を写した文書のことで、俗に「正本の写し」と言われます。正本自体は生産工場が保管するものとなっています。

いずれ、図を入れながら各工程の詳細な方法をお伝えしていきます。

 

 

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