電気製品初心者・素人でもPSE認証試験はできるものなのか?電気ビジネス戦闘力を上げる7つの方法
こんにちは。管理人の堀です。
ようやくコロナウィルス騒ぎも終焉ムードを迎えつつある一方、円安や物価高騰など経済的な不安要素が根強くある現在の日本。しかしそれでも、事業者は政府の給付金をアテにすることもできず自力で稼がないといけない状況にあります。
そうした中で、今までのビジネスを継続するだけでは厳しいと判断し、新規ビジネスを模索する方も増えています。
もちろん、新規ビジネスなので右も左もわからないことが多いでしょうが、特に多少のお金を出しても国家認証であるPSEを取得すれば、有利にビジネスを進められるという判断をされる方も少なくありません。
ありがたいことにそうした状況で当社にお声掛け頂けることも多いのですが、その一方、
電気初心者なのですが大丈夫でしょうか?
というご質問も大変多くなっています。
電気製品というのはエンドユーザーに影響を及ぼす恐れの強いものなので、事業者が詳しいことに越したことはありません。しかし、最近は主な生産地である中国の技術力も高まっているので、最低限のことを把握できていればそれほど心配することもないというのも事実です。
今回は、電気初心者の方が輸入する電気製品のPSE(電気用品安全法)認証試験をして、販売するための電気ビジネス戦闘力を上げる方法をお伝えしていきます。
Contents
初心者の方は必ず当社のようなPSE試験代行会社を入れるようにしましょう
いきなりポジショントークのようで恐縮ですが、やはりこれは間違いないと思います。初めて電気製品を扱う方が、電気のこと、PSEのことなどを理解し、さらに、それを中国の生産工場やその中間にいるディストリビューターに伝えることは、まず間違いなく不可能です。
法律の問題、言語の壁などなど、もう一度人生やり直さないとカバーしきれない課題が山積みなのです。
また、間違えないで頂きたいのが、連絡するのは「代行会社」であり、「検査機関」ではありません。「検査機関」は検査の受理・実行しかしてくれず、依頼人に対して細かくアドバイスなどはしてくれません。
もちろん、これがすべて良いことだとは思っていませんが、それが現実であることは認識しておいてください。
一方、PSE試験をするために、その基準となる電気用品安全法を全て理解する必要もなく、本当に大事なポイントだけ理解しておけば検査は進められるのです。代行会社はそうした点をサポートします。
また手前味噌ながら当社の特徴としては、上述した本当に大事なポイントを中心にお伝えします。気を付けないといろいろ余計な費用を払うことになりかねません。初心者を狙う関連業者も少なくないでしょう。
あくまで法律上、最低限やっておいてエンドユーザーにも面倒を掛けることがないPSEノウハウをお伝えするのが当社の役割です。
しかし、そうはいっても余計に代行費用などが掛かるのも事実です。それを嫌って中国工場に丸投げする方もいらっしゃいますが、そうするとかなりいい加減な試験結果が返ってくることが大半。今まで本当に多くのそうした事例を見てきました。
結局、イチから確認のやり直しで、むしろ時間やお金が掛かるパターンも少なくありません。色々覚える意味でも、電気初心者の方はまずは一度代行会社を使ってみるのが良いでしょう。
この章の最後に重要なことをさらっと書いておきますが、PSEの中でも大型製品、特に特定電気用品など試験がとても複雑で、(協力するつもりはあるけど)工場も何をしたら良いかわからない、ケースもあります。
そうした場合、工場に何をしてもらうのかをキチンと説明できる代行会社がいないと試験まず間違いなく成立しないでしょう。むしろ、見積りすら出てこない。そうしたケースがあることも認識しておいてください。
生産工場としっかり話ができるリソースを準備しましょう
これについては先日書いた記事がありますので、そちらをご参照頂ければと思います。
重複する部分もありますが少し説明しておきます。まず、「PSE試験の代行会社」と「生産工場に仕入れ交渉をする代行会社」は別物です。
中国語ができれば何でもできるんじゃないの?と思うかもしれませんが、当然、会社によって専門は全然違います。それは日本の会社でも同じことで、試験代行の会社に仕入れの話を仮に日本語でしたとしても、「それはうちの会社の仕事じゃない」と言われてしまうことは理解できると思います。
PSE試験を行うには、生産工場にもサンプル・資料の提供などで協力してもらうので工場としても手間になります。協力するには、当然ある程度の購入が必要になるので、その数をどのくらいにするのかなど、しっかりと交渉できるリソースを確保しておきましょう。
PSEラベルに表示する定格を把握しておきましょう
PSE対象製品はPSE試験をした後に、以下のようなPSE表示をする事が出来ます。
引用:経済産業省_電気用品安全法_届出・手続きの流れ_表示例
登録検査機関名やその他のマークについてはこちらをご参照ください。
今回お伝えするのは、定格(入力)電圧(V)、定格(出力)(A)、消費電力(W)などについてです。
上記図で言えば、100Vや30Wと書かれている部分のことです。ちなみに、日本の公称電圧は100Vとなっていて基本はその通りなのですが、使う製品、場所などによって変わってきます。
また、「定格」というのは、その製品において基準となる電気数値のことです。電圧についても必ずしも常時100Vというわけではないのですが、基本的にはその数値である、ということです。
実は、これらの数値は製品の命のようなものです。例えば、どれだけの商品電力(いわゆる製品パワー)を用いるかで、製品の市場での位置づけも変わってきます。
以前にドライヤーを扱っているお客様が、
P社などの大手メーカーは1200Wを用いており、うちの会社としては同等もしくはそれを上回るものを作らないといけない
ということを仰っていました。
つまり、この部分を把握していないということは、極端な話、アパレルでデザインの指定だけして生地やボタンなどの素材を指定しないようなもの。
もちろん、工場にお任せでも良いのですが、しっかり指定しておかずに蓋を開けてみたら、自分が想像しているより全然違うパワーの電気製品が出来ていた、ということになりかねません。
なぜこの話をするかというと、ご依頼主に対して、試験を進めるためにPSEラベルのドラフトデータをください、と申し上げると、
そもそも定格内容がわからないのですが…
というお客様が本当に多くいらっしゃいます。もちろん、細かいことは一個一個覚えていっていただければと思うのですが、電気ビジネス戦闘力を上げる一つのポイントとしてお伝えしておきました。
ちなみに、図でもうひとつ書いてある50/60Hzも重要な点ですが、そちらは同じくご紹介した記事内容をご覧になっておいてください。
EMIのことだけはしっかり把握しておきましょう
EMIについてはこちらをご覧になってください。
時折、ご自身で電気製品を作っている方でさえEMIのことを認識していないことがあり、驚愕の一言ですが、要するに電気製品から発せられる電磁波のことです。
これが大量に放出されている状態だと、周囲の電気製品や人体に影響などを及ぼす可能性があります。PSEでは規定値が定められていますが、そもそも中国や諸外国と日本ではEMIの規定値が違うので、他国ではOKだけど日本ではNGということもしばしばあります。
もちろんNGの場合のリカバリー(対策)は当社のアドバイスで可能ですが、EMIについても、そういったものがあるとだけは認識しておきましょう。
複数製品は一つの試験でまとめられるのかどうかしっかり線引きして考えよう
PSE試験って1回やればすべての製品に適合しますか?
似た製品がある場合、PSEではどのような扱いになりますか?
本当によくお受けするご質問ですし、試験費用に大きく影響するので誰もが気になるところでしょう。
PSEと言っても特定電気用品(菱形PSE)と特定電気用品以外(丸形PSE)の2つに大別され、少し考え方が違ってきます。
特定電気用品(菱形PSE)の場合
こちらの記事の「型式区分から逆算して認証を進める」というテーマをご参照ください。
特定電気用品については、あとから取り直し・追加などは出来ません(有料・別途費用となってしまいます)が、似たような製品をまとめて一つの「型式」として認められることがあります。
タイトルの通り、型式区分から逆算するようにしましょう。
特定電気用品以外(丸形PSE)の場合
こちらは基本的には1つ1つの製品に対してPSE確認がされます。しかし、例えば、中身の構造は全く同じで、製品(筐体)の色だけ違う、一部外観が違う程度であれば、1つの試験にまとめられることがあります。
一方で、基本的な構造が同じであってもサイズが違うなどの理由で、電源(動力)などが違う場合は、別々に試験をする事が一般的です。
但し、そうするとPSE試験費用がいくらあっても足りませんので、例えば、基本となる1つの試験は終わらせつつ、派生する商品については、「社内評価レポート」というもので製品に問題ないことを明文化しておけば、PSEを表示して販売することも法律上は可能です。
ここは初心者の方がご自身だけ使いこなすには難しい部分ではあると思いますが、こうしたものがあるとご認識しておいていただき、必要ある際にはご質問いただければと思います。
自主検査をしっかりと工場に行わさせる契約を結んでおきましょう
「自主検査」という言葉は、経産省のページを見るとよく出てきて、さらに「義務」と書かれていると、かなりビビってしまうでしょう。特に、初心者の方ではなおのこと。
違反すると経産省から処罰対象になるのかなど、かなり不安な気持ちになるのは無理もありません。
自主検査についてはこちらのページをご覧ください。
要するに、自主検査とは検品のことです。電気製品だけでなくどんなジャンルの製品においても、工場は出荷時に自分たちの製品を検品することは当然です。もちろん、工場がちゃんとやらない場合もあり、そうした場合は現地の検品会社を使うこともあります。
ただ、電気製品のPSE自主検査で面倒なのは、外観(目視)検査以外に、絶縁耐力試験、通電試験の項目があり、それらは測定機械を持っていないと実施できない点です。なので、自主検査は工場に頼らざるを得ないことが多くあります。
そこに加えて、「全数」検査が必要となってきます。
「全数」となると、いよいよ工場も面倒くさがってやらなくなることも増えてくるのですが、事業者としてはそこをどのように調整するのか思案が必要になります。
エンドユーザーからすると、事業者がベテランだろうと初心者であろうと関係ありません。工場にどのようにやらせるか、しっかりと対策していきましょう。
一番簡単なのは、何かしらのインセンティブを約束することですが、どんな条件が工場にとって良いのか、それはケースバイケースとなってきます。
最後に:PSE試験はあくまでスタート地点、販売を続けるために必要なことは沢山ある
これまでいろいろとお伝えしてきましたが、電気製品のPSE試験はあくまでビジネスをスタートさせるためのものです。ここをクリアして初めて土俵に乗れるようになります。
そして、ここから本当に本番で、生産工場も一回言ったものをそのまま同じように生産してくれるわけではありません。
見えないと思って製品の内部構造で手抜きをしたり、全然違う仕様で作っていたり、原材料不足で製品が作れなくなったり・勝手に別の部品を使っていたりと、続ければ続けるほど問題が噴出してきます。それらを1つずつ解決していく必要があります。
しかし、ちゃんとやっていれば電気製品の粗利益率も高いですし、PSEによる参入障壁でなかなか競合も入ってこれません。
当社のお客様でも、1000個単位の発注を繰り返し行う規模でやられている方も多くいらっしゃり、これまでのPSE対策に謝意を述べて頂くことも少なくありません。中には、初めて電気製品を扱う方もいらっしゃいました。
これまで書いたノウハウを把握していれば、これまで電気製品の初心者かどうかはあまり関係なく、正しい知識を元にビジネスを進めていっていただけると思っています。
そして、何か不明点等ありましたら当社へのお問い合わせいただければ幸いです。
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