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電波法上級者の方に、無線LAN、携帯電話、SIMカード、ワイヤレス充電などに関する3つの豆知識

 2020/05/05 認証の原理原則 電波法
この記事は約 11 分で読めます。 9,969 Views

こんにちは。管理人の堀です。

今までご紹介している電波法認証について、基本的に、一般的な「電波法に基づく技術基準適合証明」の記事が多くありました。これが俗にいう「Rマーク」の電波法認証です。

実はこれとは別に、「Tマーク」の電波法認証、正確に言うと、「電気通信事業法に基づく技術基準適合認定」というものがあります。

この「電気通信事業法に基づく技術基準適合認定」というのは、簡単に言うと、電話回線ネットワークに接続するために必要な認証で、携帯電話(スマートフォン)の他、以前からのものではアナログ電話機やファクス、比較的新しいものとしてSIM(携帯電話)や無線LANルータ、GPSなどさまざまな通信機器が対象となります。

これらの機器はは無線電波も必要なので、RマークとTマークの双方が必要になってきます。

家庭用電話機の電波法表示

 

またこれらの機器は、技術的な話や、法律的な話はさておいて、広く電波と接続する必要があるので桁違いのRマーク認証費用が発生しますし、Tマーク認証費用も相応の費用が発生します。つまり認証費用はメッチャ高いです。

当社でも、これまで中国のスマホメーカーさんなどから、何度か認証について業務依頼がありましたが、お見積りを提出したら、その費用の高さにすべての方が辞退していかれました。

いろいろとお安くするご提案はしたのですが、それでも桁違いの費用ですのでどうしても断念をせざるを得なかったようです。

日本国内メーカーにおいても、海外メーカーにおいても、日本の市場に出回っているのは大手企業ばかり。その理由は、認証費用が高すぎるので最初からある程度の販路が見込めない中小・中堅企業は、勝負すらできない市場なのだとあらためて感じます。

ただ、関心は高いようで、携帯電話、無線LANルータ、レンタルWi-fiなどのお見積り依頼は多くあります。

また一方で、ワイヤレス充電、テレビ・パソコンなどの電磁波に関するお問い合わせも多くあります。

今回の記事では、世の中には電波法に付随して他にどういう認証があるのかなどをお伝えしていきながら、新規でビジネスを行う際などに、認証に関するアンテナを高めていただければと思います。

 

電気通信事業法

携帯電話

先述した電気通信事業法についてもう少し詳しく書いていきます。

日本電電公社が民営化されNTTになる昭和60年の前年である昭和59年に、電気通信事業に関する法整備が行われ、電気通信事業法が制定されました。

第一条
この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする。

この電気通信事業法に則り、通信事業者(電話会社)は当初は民営化したNTTのみでスタートし、昭和62年にDDI(現KDDI)、日本テレコムが参画、2000年に日本テレコム子会社のジェイフォンがイギリスのボーダフォンによって買収され、外資系の通信会社ボーダフォンが日本に誕生。

その後、2006年にボーダフォンがソフトバンクに買収され、通信会社ソフトバンクが登場。ソフトバンクにより2008年にiPhoneが日本に導入され、日本にスマホ時代が到来。

NTT、KDDI、ソフトバンクの通信3社鼎立の状態がしばらく続きましたが、2019年に楽天が通信事業に参入し、通信業界は新たな装いを見せています。

基本的には、NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天の4社(いわゆるキャリア)が通信電波を保有する形で、他社がMVNO(仮想移動体通信事業者)として、通信事業者としてのサービスを展開したり、携帯端末などを販売しています。

その際に、Rマークの電波法認証とTマークの電気通信事業法の認証が必要になってきます。高いと言えども、大手企業のレベルで考えれば微々たるものですので、比較的容易に参入ができる環境であると言えます。

なお、このMVNOは2014年10月に総務省が策定した「モバイル誕生プラン」により、普及が促進されています。

それには、スマホの普及によって大手携帯通信電話会社間の差別化が困難となった結果、高額なキャッシュバックや抱き合わせ販売による顧客の奪い合いという不健全な競争が横行したということが背景にあります。

さらに、2015年のSIMロック解除が義務化され、電波を保有しているのは最大手3社(当時)のみですが、ユーザーは端末メーカーや通信事業者は自由に選べる時代を迎えることになりました。

前置きが長くなりましたが、そうした時代の流れを経て、中国などの格安スマホのメーカーが台頭し始め、有名なところとしてはHuaweiやOPPOなどがありますが、それ以外にも、日本市場を狙うスマホメーカーが増えています。

携帯電話の電波法証明ページ

その他のTマーク端末

Tマークが必要な端末としてよく知られているのは無線LANルータなどでしょう。

無線LANルーターの電波法表示、また後述するVCCI表示もある

もう一度、簡単にRマークとTマークの違いについて簡単におさらいしておきます。

Rマークの電波法認証というのは「電波法に基づく技術基準適合証明」を指し、無線機器局として特定の製品間・特定の距離間で無線通信を行う、というイメージです。

例えば携帯電話とBluetooth接続をするものが代表的で、スピーカーやリモコンなど数えたらキリがないでしょう。他に、ワイヤレスプレゼンターやワイヤレスマウスのように、パソコンに専用USBを接続して、パソコン操作を行うもの。

さらに、トランシーバーのように互いの機器同士で通信を行うものもあります。

一方、Tマークの電気通信事業法における「技術基準適合認定」とは、電話回線ネットワークに接続するためのものです。

対象商品は、先述したように、以前からのモノではアナログ電話機やファクス、比較的新しいものとしてSIM(携帯電話)や無線LANルータ、GPSなどが対象です。

また、基本的にTマークのみということはなく、Tマークの際はRマークもセットになります。

繰り返しになりますが、Tマーク認証が必要となる機器は、認証費用が桁違いなので、あまり認証を検討する機会は少ないかもしれませんが、こういったものも海外などから製品を見つけてきて、ある程度の費用を出せば認証可能・事業者になれるという知識はあって損はないと思います。

おまけ:訪日外国人と電波法

認証業務にはあまり関係ないことなので、手短に書きますが、このサイトで電波法を学んでいる方は、訪日外国人客が携帯電話や無線機器を使っている光景を見て不思議に思うかもしれません。

あれって、電波法違反じゃないの?

電波法第103条の5の規定によると、海外の当該国で契約され、また日本の技術基準適合証明に相当する海外の当該国の技術基準に適合している携帯電話などの端末については、日本のキャリアがその包括免許の中で運用できることになっています。

また、電波法認証などについても、日本の技術基準適合証明に相当する海外当該国の技術基準に適合している端末に限り、また入国の日から90日以内に限り、技適マークがある端末と同じ扱い(無線局免許不要、無線従事者免許不要)とすると、定められています。

細則ある電波法ですが、例外的な規定をも設けることで利用者の利便性を確保することは重要です。あまり厳しくしていると外国人客が来てくれなくなりますからね。

実際に、訪日外国人客が日本に持ち込む海外製のスマホによって日本の電波環境を乱し、社会の利益を損ねることは考えにくいだろう、という判断からでしょう。

正直言って、取り締まる方も大変ですし、限りなくグレーゾーンのように思いますが、法律上ではホワイトという見解です。

また、そう言ってしまうと、海外でもその国独自の電波法はあるわけで、日本から持ち込んだスマホなどの通信機器が取り締まりの対象になってしまったら大変ですからね。お互いさまという感じでしょうか。

Qi(チー)認証

最近話題になり始めている携帯電話(スマホ)などを置くだけで充電できるワイヤレス充電器ですが、実は、これにも認証(国際規格)が存在します。

今後より一層スマホ需要拡大する中、充電の為にケーブルを持ち歩くという行為は、ユーザーにとってはスペースなどの問題で少なからず負担であり、ワイヤレスで充電できるというのは有難い話でしょう。

引用:Amazon_VANMASS Direct_ワイヤレス充電器

実際にワイヤレス充電機能を搭載した商品はどんどん発売されています。

このワイヤレス充電器には、Qi認証という国際規格があり、検査内容自体が新しいために、検査対応できる検査機関の数は少なく、日本国内ではまだUL Japanのみとなっています。中国などで探せばもっとたくさん存在します。

ただ、Qi認証は任意認証なので、認証取得せずに販売を行ったとしても、法的な罰則はありません。しかしながら、大手メーカーなどは必ず認証してくるでしょうから、それらと並んだ際に、ユーザーに対して何かしらの訴求力がないと負けてしまうことも確かです。
また、根本的なところとして、Qi認証を訴求していない製品がワイヤレス充電しますと言っても、本当にそうなのか?疑問に思われてしまうでしょう。

片やQi認証をしていて、片やQi認証していないということになれば、誰だって前者を選ぶはずです。この辺が任意認証取得有無に関する判断の難しいところだと思います。

一方、下記のようにワイヤレス充電器は電波法対象となります。

ワイヤレス給電は通信ではありませんが、電磁波のエネルギーが空間に伝わる仕組みなので高周波の利用となります。高周波利用設備はほかの通信や人体への影響を考慮し、電波法の規則を受けます。
但し送電電力50W以下のワイヤレス充電器は、個別の設置許可等の手続きは不要です。

引用:mipro(ミプロ)一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会 資料_無線通信を使用する製品の輸入・販売

内容の解釈が難しいですが、要するに、ワイヤレス充電器は電波法対象になるということです。

また、ワイヤレス充電器は高周波利用設備にも該当しますが、送電電力50W以下の場合は、個別の設置許可等の手続きは不要となっています。

テレビやパソコンの電磁波

光やX線を含めた電磁波のうち、比較的低い周波数のものは電波と呼ばれています。電波は通信や電子機器の制御など、様々な分野で使われる便利なものですが、逆にそれらに意図しない影響を与えてしまうこともあります。

VCCI ロゴ

多くの電子機器から発せられた微弱な電波は、互いに影響し、テレビの画面の乱れやラジオの雑音、コンピュータの誤動作など、他の電子機器の動作を妨害し、障害を与えることがあります。

このような機器にとってノイズ(電磁雑音もしくは電波雑音)となる電波は、「妨害波」や「妨害電波」と呼ばれています。妨害波は目には見えないし、電子機器が動作する限り、完全になくすことはできません。

このため、電子機器からの妨害波を、テレビやラジオなどに障害を与えないように自主規制しようという考えで作られたのがVCCI協会であり、このVCCIマークは自主規制を満足した製品に表示できる安心の証しです。

みなさんが使っているパソコンやデジタルカメラ、ゲーム機などの電子機器の裏に、こんなマークVCCIロゴマークを見かけたことはありませんか? VCCI協会の会員会社では、VCCI協会の技術基準に適合する製品を作っています。

引用:一般財団法人 VCCI協会_妨害波とVCCI

 

テレビやパソコン、LAN関連機器、ファクシミリ、モデムなどを認証する機会はあまりないかもしれませんが、もし認証する際、PSE認証以外に、このVCCI認証を検討する必要があります。

VCCI自体は任意認証なので必須ではありませんが、家庭内に導入するものであれば、VCCIがないと、やはり大手メーカーなどと比較された見劣りする可能性はあります。もちろん、そこまで確認するユーザーは少ないかもしれませんが。

ただ、例えば、屋外のイベント・PR用などであれば、そこまでこだわる必要もないかもしれず、任意認証は用途によって決定していくのも一つのやり方かもしれません。

とは言っても、大手は任意も含めて関係する認証はすべて取得してくるでしょう。

それが大手たる所以なのですが、中小・中堅規模の会社の場合、もちろんすべて対応した方が良いとは思いますが、その辺の認証戦略は必要になってくると思います。

実際に認証不要なモノは一切やらないというお客様はいらっしゃいますが、そこは企業倫理の問題になってくると思います。

ただ、一番大事なことは不要な支出は抑えつつ、どれだけ顧客の生活に貢献できるかということなので、その辺についてもご相談いただければ対応させていただきます。

 

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