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【認証Q&A⑮】PSEマーク(電気用品安全法)などの表示ラベルに記載されているロゴや文字の意味についてご回答します

 2020/12/26 PSC PSE Q&A 認証の原理原則 電波法
この記事は約 9 分で読めます。 20,742 Views

こんにちは。管理人の堀です。

認証に関するお問い合わせで多いのが、

当該の中国工場はCE(ヨーロッパの認証)を取得しているようでラベル表示もあるのですが、PSEや電波法などの認証はしなくても大丈夫ですか?

という内容です。

CE認証はあくまでヨーロッパの認証なので、それを取得しているからといって日本の強制認証(PSE、電波法など)が免除になることはありません。ただ、製品のクォリティの高さを証明する一つにはなると思います。ただ、表示ラベルにCEとあればそれだけで安心してしまうのも事実です。

 

普段は気にも留めない製品表示ラベルですが、必要・不要を含めて多数の内容が盛り込まれています。自身が事業者として電気用品を扱おうとするとなかなか気になってくるものです。

今回はお問い合わせが多くあった内容で、表示が必須かどうかなどを中心にお伝えしていきたいと思います。

 

一般的なPSE表示内容のおさらい

海外でも使用されているアダプターなのでPSE(日本)とは直接関係ない表示も多い

 

この画像は一般的なノートパソコンの充電アダプターPSE表示部分です。ちょうど良くお伝えしたい内容が網羅されているので、こちらを例示させて頂きたいと思います。

こちらの内容を踏まえながら、お伝えしていきたいと思います。

なお、PSE表示については最低限掲載しないといけない内容は以下の通りです。これに加えて、製品によって掲載しないといけないものが変わってきます。

引用:経済産業省_届出・手続の流れ_ 表示

 

では、充電アダプターのPSE表示についてお伝えしていきます。

 

登録検査機関の名称

自身が一般ユーザーであれば全く関係ない話ですが、自身が事業者でありPSE製品を販売する立場であれば、是非気を付けて確認しておいて頂きたい箇所です。

画像のアダプターで言えば、TÜV RTが登録検査機関名です。

今回は充電アダプターPSEを例にしていますが、特定電気用品(菱形PSE)については、それを認定した登録検査機関の名称もしくは略称、ロゴなどを表示する必要があります。

ここで注意すべき点は、どの登録検査機関の名称を表示すれば良いのかなどは経済産業省から指示がないことです。事業者が自ら検査機関のロゴデータなどを入手して、自ら表示しなければならいないのです。

中には、中国工場が既に表示していることもありますが、その内容が本当に正しいのか、事業者は自ら確認する義務があります。

一番ひどいパターンとしては、例えば、A検査機関の証明書が持ちながら、B検査機関のロゴを表示してしまうことです。これも別に大きな問題ではないかも知れませんが、経産省に指摘あれば改善しなければなりませんし、お咎めがあるかどうかも経産省の判断次第なので、余計なミスはしないことが一番肝要です。

PSEの登録検査機関の一覧はこちらにまとまっていますので、ご参考になさってみてください。なお、登録検査機関の表示は特定電気用品のみであり、特定電気用品以外では求められません。
経済産業省ホームページ_電気用品安全法_登録検査機関一覧

 

 

50-60Hz

これはコンセントから取る「交流」の電気の周波数において、「50Hz」と「60Hz」の2つに対応しているという意味です。

電気関係に少し詳しい方であればご存じかと思いますが、今現在の日本では、静岡県の富士川(ふじがわ)と新潟県の糸魚川(いといがわ)を境にして、東側は「50Hz」の電気を、西側では「60Hz」の電気を使うということになっています。

このようになった歴史的背景は、本ページの主旨とはズレてきますので割愛しますが、気になる方は、下記にあるリンクをご参考ください。

仮に、50Hzの製品を西日本で使用した場合、故障の原因となる場合もあります。その逆も然りで、60Hzの製品を東日本で使用した場合も同様です。しかし、昨今の製品でそのようなことが本当にあるのかは分かりませんが、理論上ではそのようになります。

1つの国で2つの周波数に分かれていることは大変珍しく、電気用品においては50Hzのみ、60Hzのみ、もしくは両方で使える50-60Hzが存在します。そして、いずれの周波数で使用できるか表示する必要があるのです。

基本的には、50-60Hzの製品がほとんどだと思いますが、確認はしておくべきでしょう。

 

引用:関西電力ホームページ_ちがう周波数の電気ができた理由

 

二重囲いの二重絶縁表示

次は、二重囲いマークなのですが、これは製品に二重絶縁機能が施されているかどうかの表示になります。二重絶縁に関する説明は、下記をご参考ください。

 

感電に対して基本保護を行う「基礎絶縁」に対し、基礎絶縁が故障した場合の保護を行う「補助絶縁」を更に施したもの。

基礎絶縁が何らかの原因で故障しても、補助絶縁によって危険電圧が表面に現れない機構となっているため、高い安全性を保つことができる。二重絶縁構造の製品は「二重の四角形マーク」の記号表示によって確認できる。仮設照明、電動ドライバーやサンダーなど、工事現場で使用する電気機器に採用例が多い。

定格電圧150V以上の電気機器など「接地(アース)を施すことが可能な機構としなければならない」と定められた電気機器において、二重絶縁構造とした電気機器であれば、接地を施す必要がないと規定されている。

工事現場で使用する電動工具など、水、塵埃などで汚染されやすい環境で使用する電気機器は、二重絶縁構造とすることで安全性を高めている製品が多い。対して、二重絶縁構造ではない電気機器を使用する場合、接地線の接続が法的に必要となる。
引用:電気設備の知識と技術_二重絶縁(強化絶縁)

 

電気用品における二重絶縁というのは基本項目であるので、ご自身で扱う際は、この表示は必要になると思います。ただ、引用文中にあるように、アース線を使用する製品は必須ではありません。

工場や検査機関と表示の確認をする際は、二重絶縁(の表示)は必要だという前提で話し合いをしてみてください。とても単純なマークですが、事業者にとっては実は重要なマークです。

 

家庭内(用電源)の使用のみに限るマーク

続いては住居マークですが、これは家庭内(用電源)の使用のみ、つまり外での使用は禁止する、もっと言うと、外で使用した場合の事故の責任は持てません、という内容です。

日本の家庭内(建物内)の電圧は100v-110v程に定められており、その範囲内で使用していれば事故などは起こりえないという設計になっているが、屋外で使用されている電圧などは一定でないこともあり、要は変な電圧のところで使えば事故の可能性もある、ということを意味しています。

明らかに屋内でしか使わないようなもの(屋外で使うことは基本的にあり得ないもの)には、この住居マークの表示はあまり使われませんが、屋内・屋外のどちらでも使用できる可能性のあるものにはマークが表示されているのを多く見掛けます。

ただ、これも一律的に決定されるものではなく、製品機能ありきの話なので、表示が必要かどうかは検査機関、生産工場などとよく相談されてください。

大事なことは、輸入する際などにこのマークの有無の必要性ついて、一度はご自身で確認するようにしてください。

 

廃棄物処理に関して定められたゴミ箱マーク

ゴミ箱に×印が付けられたマークですが、先に結論を申し上げると、これは日本において無関係のマークです。ヨーロッパにおける電気電子機器廃棄物指令(Directive on Waste Electrical and Electronic Equipment: WEEE)に関する表示です。

ヨーロッパでは、電気電子機器の廃棄方法が細かく定められており、このゴミ箱マークはその規定をクリアした製品であることを示すモノになっています。当該製品がヨーロッパでも販売されている場合、あえてその表示を消す必要もないので、そのままの表示で日本でも販売しているケースはよくある話です。

中国工場などではヨーロッパ向けの製品も数多く作っており、それをそのまま日本向けにも販売しているというわけです。この表示を見た日本人の方が、何かリサイクルに関する免許などが必要ないかと質問されたことがありました。

こちらのマークについては、JETROのこのページもご参考になってみてください。JETRO_貿易・投資相談_WEEE(電気電子廃棄物)指令の概要:EU

ただ、日本の販売には直接関係ないマークではありますが、こうしたものを見ると、ヨーロッパなどはしっかりと電子機器の廃棄方法について定めており、環境意識の高さというものが垣間見えることも確かです。

 

リチウムイオン電池(モバイルバッテリー)のリサイクルマーク

 

 

最後に、冒頭の充電アダプターとは別に、最近話題になっているリチウムイオン電池について少しご説明したいと思います。

リチウムイオン電池(モバイルバッテリー)などでこのリサイクルマークを目にした方は多いのではないでしょうか?

このマークは、当該製品はリチウムイオン電池を搭載しており、処分する際はそのまま廃棄処分するのではなく、自治体や回収業者などを利用したうえで廃棄(リサイクル)することを促すマークです。

実際のところ、2020年12月の現段階では経済産業省ではこのリサイクルマークを表示することは義務付けていない状態ですが、このリサイクルマークを表示している業者は数多くなってきています。

言ってみれば表示すること自体にはお金はかかりませんし、検査機関の中ではこのマークを表示することを前提にしてPSE検査レポートを発行するところもあります。

発火事故などが急増しているということで、モバイルバッテリーのPSE法制化が決まって2年近くが経とうとしていますが、廃棄(リサイクル)に関して経産省が何も言わないのは、廃棄において発火事故はあり得ないと考えているのか、そちらに関しては関係ないから何も言わないのか、それはわかりませんが、いずれにしてもマーク表示だけはしておいた方が良いのではないか、というのが当社の見解です。

以上がPSE表示に関するマークのご説明でした。正直申し上げまして、マークの表示のみに関するお問い合わせは受け付けておりませんが、認証をされることを前提とされている方には、様々にフォローアップさせていただきますので、認証をご検討中の方は、是非お気軽にお問い合わせください。

 

 

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