電波法技適に関して認証ノウハウを無料搾取されてしまった事例をお伝えします
こんにちは。管理人の堀です。
当社には常日頃からたくさんのお問い合わせがあり、その中で実際に案件になるものはそれほど多くはないのが実情です。
ご依頼主は、PSE、PSC、電波法など認証に関して全くご存じないわけで、こちらとしてもある程度ご説明差し上げないと話は進みません。
正直、ちょっと聞きたいだけという方も多くいらっしゃいます。こちらもビジネスでやっておりますので、そういう方は初見で何となくわかりますので、最低限の情報提供をさせて頂いて、反応があれば続けていきますが、大体がすぐに終わります。
中には、ご本人はやるつもりであるけれども、会社などでの企画そのものが無くなってしまったため、連絡が途切れることも多くあります。それはそれで仕方ありません。
ただ、「会って話をしないと伝わらない」と、手前勝手な都合でわざわざ当社の事務所まで押しかけて情報提供を求めながら、最終的に企画が無くなったのか、何の連絡もしてこない事業者の方も、また少なくありません。人間性が手に取るようにわかりますね。
ただ、それも技術者を介さずに、当方の知識・ノウハウの伝達のみでしたら、「初回のご相談無料」という体裁で良いとも思っていますが、技術者を絡めるとなるとどうしても実費が発生してきます。
技術者と海外工場のスタッフが英語・中国語などで打ち合わせをしたとなると、ノウハウ費用、通訳費用などもバカになりません。それでも案件を発注していただけるという前提でしたら、対応費用はすべて案件総額に含まれてきます。
今回は、案件を発注すると言っておきながら、技術者まで使って海外工場と確認をした上で、そのままいなくなってしまった事業者を実名で公開したいと思っています。
これはかなり悪質な事例で、他の方はこのような対応はないと思うのですが、当社としても今後こういう事例は当社へのダメージだけではなく、案件進行中のお客様への悪影響が出ないように警鐘を鳴らす意味でも記事として掲載しておきたいと考えています。
Contents
話の経緯 ~株式会社TEAD 担当者より連絡~
2021年8月10日、株式会社TEADの担当者より下記の連絡がありました。
中国で製造したドローンの機体についているミリ波レーダーの技適認証を取りたいのですが、可能でしょうか?また、可能な場合の申請期間とおおよその金額が知り合いです。
ミリ波レーダーの説明は省力しますが、技適認証(電波法認証)が必要な領域で、通常のwifiやBluetooth認証などよりかなり高価な認証となります。
正直、この金額の認証を決断されるのは難しいと思っていましたが、おおよその見積もりをお伝えしたのちも、認証を進める必要があり、協力をしてほしいともう一人の担当者から言われていました。
ちなみに、株式会社TEADの概要は以下の通り。
会社名 | TEAD株式会社 |
代表取締役 | 金井 修 |
事業開始年月 | 2010年3月 |
設立年月日 | 2016年4月25日 |
資本金 | 1,000万円 |
事業内容 | UAV(無人航空機)の企画・製造・販売ならびに保守、教習サービス UAV(無人航空機)を用いた業務請負サービス |
費用が高額だと伝えても進めるという意思を表明したのでこちらもリソースを提供
上述したようにミリ波レーダーの電波法認証は大変高価なので、進めることは難しいと思っていましたが、
担当者の方は
「前回自分たちで電波法認証手配をした際に、とても時間が掛かってしまったので、今回は外注したいと考えている」
という返事。
であれば、こちらとしても、相応の対応させていただくため、技術者にもオンラインミーティングに参加してもらい、ミリ波レーダーの認証をどのように進めたらよいか、アドバイスをさせていただきました。
ポイントとしては、中国産ミリ波レーダーを比較的リーズナブルに認証するには、台湾の検査機関を使ったほうが良いなどのノウハウを提供した点です。
それで、一度、社内で検討するといったことになり、後日、担当者から認証を進めたく、中国生産工場の技術者とオンラインでミーティングを行ってほしいという連絡がありました。
その際に、
と電話で確認したところ、
「ここで技術者を使うということは、案件を進めるという認識でよろしいか?」
担当者は
「はい。そのつもりです。」
と回答。
であれば工場担当者、当社技術者などとのオンラインミーティングを開催。中国語で日本の電波法認証に関する説明を行いました。
技術アドバイス費用、通訳費用などを考えると、いくら費用が発生してもおかしくない内容ですが、案件をご依頼いただけるということでしたので、そちらはサービスとして対応しておりました。
また、日本の電波法においてどういった技術資料必要になるかをまとめた一覧リストも提供することになりました。
①INSIGHT WORKS株式会社
堀様
お世話になっております。
急で申し訳ありませんが、本日の15時からZOOMで中国と打合せをお願いできますでしょうか?よろしくお願いいたします。
②堀様
お世話になります。
下記でよろしくお願いいたします。
8月 31日 (火曜日)⋅11:30~12:30(日本時間)
説明:TEAD株式会社さんがあなたを予約されたZoomミーティングに招待しています。Zoomミーティングに参加する
https://us06web.zoom.us/j/~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ミーティングID: ==========
パスコード: =========岩佐
③岩佐様
お世話になります。
先ほどはお電話にてありがとうございました。
明日の11時半のお打ち合わせ承知しました。
何卒よろしくお願いします。
INSIGHT WORKS 堀岩佐様
お世話になります。
本日はお打ち合わせありがとうございました。
添付資料が日本の電波法(技適)認証に必要な技術資料の一覧です。
3、4のLABELは今後、貴社にご用意頂くものですので、とりあえずそちらはご放念ください。
何卒よろしくお願いします。
INSIGHT WORKS 堀
証拠のメール
しばらく経った後、担当者から衝撃の一言
オンラインミーティングから1か月近く経ち、連絡が無かったのでこちらから確認のメールを送った際、株式会社TEADの吉澤明修氏から以下の返信がありました。
先日は、いろいろありがとうございました。
連絡遅くなりまして申し訳ございません。
社内で説明し調整したのですが、まずは自分たちでチャレンジする方向で決まりました。
また、台湾の工場が、弊社も含め仲介するところへは資料を出せないという流れになっております。
認証機関と、工場で直接NDAを結んで進めるならOKとの条件付き。
そのため余計にお願いできない状況となっています。
認証機関へ、直接話を行い進めたいと考えています。
また困ることなど、出てきた際に相談させてください。
工場と検査機関のNDA手配も可能だと伝えたのですが、一方的な案件中止の連絡。
また、
また困ることなど、出てきた際に相談させてください。
といけしゃあしゃあとのたまうなど、こちらは困惑するしかありません。
こちらの動いた分の費用を請求してもなしのつぶて
と言っても、会社によって事情があるのも確かですし、無理に依頼しろというわけにもいきません。
確かに、何らかの契約をしたわけではないですが、当社としても人を配置してノウハウを提供いたしました。またその内容も、ネット探せば類似サービスがごまんとあるものではなく、ほぼワン&オンリーのレベルのものです。
そして何と言っても、担当者は「依頼をするつもりだ」と言ったわけです。本来であれば、依頼をするかどうかを決めかねている方には、前金を受け取り、実際にご依頼あった際には、全体費用から差し引き返金するという方法をとっています。
しかし、それをするにも何回も請求書を発行することになるので、正直手間であることも否めません。なので、「依頼をする」と仰った方には、お互いの手間を省く意味でも、前金は発生させていません。
このままではノウハウの持ち逃げとなってしまいます。
少なくとも技術者に対してチャージを支払ってあげないと、今後、他社様の案件に対しても未払いがあると嫌だからという理由で、ミーティングなどのノウハウ提供を敬遠されてしまうリスクもあります。
つまり、今後ご依頼いただく本当に認証したい他社様にとっても、チャージの請求をする必要があるのです。
吉澤氏:いくらくらい必要ですか?
当方:諸々含めて7万円です。
吉澤氏:社内で検討してご連絡します。
という内容で、何度か連絡しましたが、毎回、「社内検討中です」という返事で、直接電話したこともありましたが、不在中ということで折り返しの連絡もありませんでした。
品位のある会社はこちらが動いた分は支払ってくれた
これまでも依頼主の都合で途中とん挫した案件は、当然ありました。上述したように、会社様それぞれのご事情もあるのでそれは仕方ないと思います。
そうした際でも、向こうからいろいろサポートをしてもらった分は支払わせてほしい、という申し出があったり、こちらから事情を説明差し上げたら、経理と掛け合って費用を捻出してくれた方もいらっしゃいました。
具体的な契約を結んでいないとしても、取引先に対して敬意を持った品位ある会社様の対応であると感銘いたしました。
一方で、今回の株式会社TEADの吉澤明修氏のように、こちらのリソースを使うだけ使って、3か月経ってもなしのつぶてという対応もあるのです。
当社は基本的に前金一括でお支払いを頂いております。それは試験が始まれば検査機関に前金支払いが必要であるのと、物品での納品をしていない当社としては、無形のノウハウが対価のサービスであるためです。
先に頂かないと、今回の件のように、そのままノウハウ持ち逃げになってしまうため、その対応策でもあるのです。
当社としても、なるべくお客様のご要望には柔軟に対応していきたいのですが、株式会社TEADの吉澤明修氏のような方がいらっしゃるために、それがなかなか実現できないことご理解いただければと思います。
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