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PSE、PSC、電波法など認証製品の無在庫販売はOK!?ほぼ真っ黒な3つの理由

 2021/12/11 PSC PSE 中国輸入 事例 日本国内ビジネス 認証の原理原則 電波法
この記事は約 7 分で読めます。 1,128 Views

こんにちは。管理人の堀です。

 

「PSE製品をインスタ無在庫販売したいと考えています。アパレルとかのインスタ無在庫販売はすごく売れているみたいで、PSEの電気用品はまだ誰もやっていないようだから、すごくチャンスがあると思うんですが、いかがでしょうか?」

 

という類のご質問を頂くことが最近増えています。

最初に結論を申し上げると、ほぼ真っ黒な話で、誰もやっていないのではなくて法制度上できないから誰も手を付けていないだけです。もちろん、誰も法制度まで考えが及んでいないという側面もあるかもしれませんが。

これは完全に認証未取得の違法品販売の考え方です。その方はアダプター(菱形PSE 特定電気用品:直流電源装置)の事業届けを経済産業省に行っているので、そんなことをせずに、普通に量産して売れば良いのにと思っていました。

その方は、生産工場が自ら取得したPSE証明書を無料で譲り受けて、それを経産省に輸入事業者届を行い、少額でPSE事業者になったので、ガッツリ事業をするというよりは、PSEを使ってお小遣い稼ぎをするというスタンスのようです。

ただ、ある程度に法制度を理解している立場から言うと、完全にNGな考え方であり、もしかしたら他の方も同様のことを思いついているかもしれず、間違えを侵さないように予め理由を添えて説明をさせていただきます。

 

工場はPSEに準拠した製品を毎回作っているわけではない

PSEなど認証に詳しくない方の陥りがちな勘違いの一つとして、認証さえ取ってしまえば・合格してしまえば後はどうなってもいい、もしくは工場は黙ってても認証合格品を作ってくれる、

というものがあります。

まず前者から説明すると、基本的に認証・試験の合格はあくまで認証品を扱う第一歩でしかなく、毎回の生産ごとに同じ構造の製品を作ってもらう必要があります。

PSEやPSC、電波法などのロゴ表示ができるのは、あくまで認証に合格したうえで、さらに大量生産している製品も合格した技術基準で生産されている、ということが大前提です。一度、合格したからといって、何でもかんでも表示をして良いわけではありません。

後者についても、特に中国などの海外工場はいろんな国の製品を生産しています。日本の認証にだけ併せて作っているわけではありませんし、また、一度認証をした後は手抜き生産をしている場合もあります。

なので、毎回の生産ごとに事業主が工場に対して、どのような生産を行うか指示をする必要があり、放っておいても正しく作られた認証品が毎回届けられる、というのは幻想でしかありません。

前者・後者含め、そうした状況で、無在庫販売をしていて注文があった一個だけを取り寄せてPSEなどの表示をしてユーザーに届けるというのは、全くの愚行でしかないことがわかります。

確かに、中国など各国の生産技術も上がっており、そういったものを販売して事故が起きる可能性がどれほどあるのか、と言われると正直わかりませんが、そんなこと言ったら、そもそも危険性のある製品の認証制度を否定する話であります。

 

工場が他社向け生産したものに、自社名(輸入事業者名)を付けられない

もう一つ別角度の理由から説明します。

例えば、事業者Aが海外工場Bに生産させたACアダプター(直流電源装置)に、自らの会社名を輸入事業者名として記載することは問題ありません。一般的な話です。

しかし、事業者Cが上記の事業者Aが生産手配したアダプターに、同じB工場で同じアダプターでPSE事業届を行っているとしても、自分の会社名を輸入事業者名として上書きすることはいけません。

明確な取締り法律があるかはわかりませんが、以前に同様の質問を経産省にしたことがあるのですが、答えは当然NO!でした。

あくまで、事業者Aが生産・輸入販売する分に自らの事業者名を記載する、事業者Cも自分たちが生産・輸入販売する分に自分の事業者名を記載する、これが大原則です。

仮に、事業届けを行っていたとしても、他社が作ったものに自分の名前を記載するという行為はNGであると理解しておきましょう。

無在庫販売でごく少数の販売をしている分であれば、誰にも分らないと高を括っているとどんな手痛いしっぺ返しがあるかわかりません。しっかりとした倫理観を持って、ビジネスを行うようにしましょう。

 

1つ1つ販売してするものを生産後検査(自主検査)記録できるわけがない

もう一つの理由として、PSEなどの認証製品には生産後検査、いわゆる自主検査というものが義務付けられています。上述したように、認証合格をしていても毎回生産する製品が定められた技術基準をクリアしているかどうか、製品の安全性に問題ないか、などの検査です。

基本的に、認証製品においては全品検査が必要です。

ちなみに、自主検査の「自主」というのは、必ずしも輸入事業者本人(や事業者が委託した検品業者など)のことを指しているのではなく、「自ら行う」という意味で、生産工場に行わせることも問題ではありません。

むしろ、生産と検査はセットであり、生産設備があれば検査設備を有していることが一般的ですので工場に自主検査を委託することもよくある話です。

ただ、工場が自主検査を請け負うのも相応のロット数量の生産する際のサービスのようなものであり、ばら売り1個の自主検査など行わないのが当然でしょう。基本的には余っている在庫1つをそのまま販売する形式になると思います。

もちろん、輸入事業者が自ら生産後検査を行えば、その点に関してはクリアできるかもしれませんが、無在庫販売で手軽にお小遣い稼ぎしたい人が、検査設備まで購入(レンタルなどの手配)までして検査はしないでしょう。

また、そもそもどのような検査を行えば良いかという基本知識・ノウハウもないのが実情です。

 

何よりエンドユーザーの安全を無視した行為はビジネスではない

主に上記3つの理由から、PSEなどの認証製品の無在庫販売は理論的に不可能であることをご説明させていただきました。それでも商魂逞しい方などは、「抜け道、抜け道」と探すかもしれません。

抜け道と言っては何ですが、それは上記でも触れたように、費用が安い方法でPSE事業届けだけは行い、あとは製品のPSE表示部分で輸入事業者名を記載しておけば、表面上は問題ありません。

しかし、本当にそれが日本の認証をクリアし、その後もしっかりとした生産体制で製造された製品であるかはわかりません。

認証などの決まりごとは役人が一方的に定めたものであり、商魂逞しい人たちがそれをかいくぐるようにして商売を続けてきた歴史を知っていますので、必ずしも認証を守るという行為が正義であるとは思っていません。

ただ、PSEなどは安全基準です。一番に大事するべきものはユーザーの安全性なのです。そういう意味で、ユーザーの安全性を無視した守るべきルールを守っていない製品を、言わば確信犯的に販売するという行為は、さすがにどうなのかという気持ちにならざるを得ません。

なので、個人的にはPSEなどの認証製品の無在庫販売は基本的に反対です。一方で、日本の卸しメーカーなどと提携するなどして、仕入れ元がしっかりPSE認証をしているというのであれば全く問題ないでしょう。

倫理的な問題もあるでしょうが、こういったものは知識の問題でもあると思います。うっかり自分がPSEなどの認証違反をしていないか、そういったことを確認する意味でも、このオウンドメディアで勉強していっていただければと思います。

もちろん、不明点等がありましたらご相談いただければと思います。

但し、「どうやったら抜け道で販売できますか?」という類のご質問にはお答えできませんので笑、その点は注意してください。

 

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