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中国の組み立て工場ではPSEや電波法などの認証取得は出来ない!?PSE合格に向けて「工場」の定義と付き合い方をおさらい

 2022/11/13 PSC PSE 中国認証 事例 認証の原理原則 電波法
この記事は約 9 分で読めます。 1,392 Views

こんにちは。管理人の堀です。

当社へのPSEや電波法などの認証取得依頼の大半が、中国工場を介した製品が対象となっています。もちろん中国工場で生産している製品でも日本のPSEなどの許認可試験の実施は可能です。

ただ、ホワイトカラー化が進む現在の日本のビジネスマンにとって、「工場」と言ってもその実態イメージが付きづらくなっているように感じます。

以前の記事で中国工場の形態について簡単に説明したことがありますが、

中国輸入で悩まされる不良品、故障などの問題の解決方法とは?特に、機械などの専門的分野について

大きくは「メーカー直営工場」、「独立系工場」に分けられ、独立系工場には自ら営業して様々なメーカーと付き合いのある工場、OEMを中心にした工場、(下請けの)組み立て工場、など多種多様に存在しています。

さらに言うと、どのような形態であれ、部品などを含めてイチからすべて製造・生産している工場はほぼ皆無であり、程度の差こそあれ、部品やモーター、電源、筐体など様々のものを取り寄せて最終製品に組み立てをしているのです。

言うなれば、存在するすべての工場は何らかしらの組み立て(アッセンブリー)工場なのです。なので、

今回依頼しようとしている工場はアッセンブリー工場なのですが、PSEは可能でしょうか?

 

というご質問は少し認識が違っているということになります。もちろん、その辺について説明する人間がいなければ、それを判別するのが難しいのは当然のことです。

今回は、アッセンブリー工場だから許認可認証は出来ないかもしれないという懸念を抱かれていたお客様のご質問と当社の回答ベースにした記事をお届けしたいと思います。

 

そもそも中国の組み立て(アッセンブリー)工場で認証取得ができるのか?

冒頭でお伝えしたことと繰り返しになりますが、中国工場のほとんどがアッセンブリー工場です。むしろイチからすべて自社製造している工場の方が少ないでしょう。

組み立て工場での認証ということで、もちろんスムーズに進まない部分もあるかもしれませんが、それを前提として考えることが重要です。

なにより、イチ輸入事業者が大手メーカーの専属・直営工場などを使えるわけがありません。まずその認識を持つようにしてください。

そのうえで、

中国の組み立て工場で認証取得(合格)はできるのか?

 

という質問に対して、当社では、

工場が協力してくれる限り、ほぼ100%可能。繰り返し言いますが、工場が協力してくれる限り、においてです。

 

と申し上げています。

誤解されている方も多いですが、PSEなどの許認可試験というのは、一回不合格になったらそこですべて終了ではなく、その対策をしたサンプルを送り直し再試験して、その内容で問題なければ合格となるものです。

また、技術資料に関しても存在しないということはまずあり得なく、誰かしらが必ず保有しています。無ければ製品は作れません。

試験不合格時の対策サンプルのディレクションなどはこちらでさせていただくこともありますが、実際に手を動かすのは工場です。また、アドバイスなどはしますが、実際の技術資料の手配も行うのも工場です。

そういった意味で、許認可実施には工場の協力が必要になります。当社が出来るのは具体的にどういうことを行えばよいのかのアドバイスが主です。もちろん、それ自体もかなりの高度なノウハウが詰まっています。

なにより工場の協力は依頼主の方との発注個数などの契約内容によって芽生えてくるものです。発注だけ受けて何もしない悪質な工場もたまにはありますが、基本的に、工場の協力が悪いというのは依頼主の発注個数が少ないというのが現実です。

まずはその点を意識にするようにしてください。仮に1000個単位で発注するようであれば、工場は喜んで協力するでしょう。

 

必要資料(仕様書・電気回路図・部品表・その他製品詳細書類等)を自社のみで用意できなくてOK?

もちろん、すべての資料が工場のオリジナルのものである必要はありません。繰り返しになりますが、むしろそれはあり得ない話なので、工場は関係工場や部品サプライヤーなどから必要な資料を集めてもらうことになります。

集まった資料の内容がPSE要求を満足しているかどうかの確認はこちらで行い、問題が無ければそのまま進めますし、資料内容と部品が一致していない、資料が不足しているなどがあれば工場に伝えますので、再度、サプライヤーに確認してもらうことになります。

その際に併せて受ける質問として、

組み立て工場は製品全体の資料(部品表、回路図等)の​​​​​​作成や提出は必要ないのか?

 

というものがあります。

「部品表」は、提出された資料をこちらでフォーマットにまとめますのであまり気にしない頂いて大丈夫です。ポイントは、代行会社(当社)が伝えた各資料をいち早くそろえてくれるかどうかです。

一方、「回路図」は工場に提出してもらうことになります。これは流石に部品サプライヤーが持っていることはなく、組み立て工場自身が有しているはずです。無ければ製品を組み立てることはできません。

もしかしたら、親工場などから言われた通りに組み立てている場合も想定できるので、その場合はその工場からと寄りよせてもらうことになります。

後述しますが、どうしても回路図が入手できないということであれば、専門業者などもいるのでそこに作成を委託することも可能かもしれません。

 

組み立て工場は電気の専門外だが、それでもPSE取得は可能か?

当社のお客様が指定する中国工場で、元々木造製品を生産・販売していて、副業的に木造製品を組み立てて電気を使用させた製品を生産している工場も少なくありません。サイズ的にもかなり大きなものが多いです。

PSEや電波法など各認証では、元々何を作っている工場なのかは問題視されることはなく、要求される技術基準を満たして製品を生産し、工場に必要な検査設備が設置されてその操作を理解していればOKです。

ただ、工場に認証をクリアするための技術的な知識やスキルが足りていないことは想像され、その点は不安かもしれません。

当社の事例としては、PSE試験向けサンプルを作り始める前に、試験の肝となるコントロールボードの資料をもらって確認したところ絶縁距離が短く、このまま作っても絶対に試験不合格になることはわかったので、そこを改善するように工場に指示したことがあります。

工場は、サプライヤーに指示し、理解しきれない部分はこちらの技術者に確認するなどしながら、話を進めていき、一週間ちょい時間は掛かりましたが、見事に問題点が改善されたサンプルを調達することができました。

こういった技術指導は当社では日常茶飯事です。正直なところ、ご質問の回答としては、「うちだったらできる」ということになってしまうのですが、認証の原理原則(ポイント)さえ押さえておけば、いろいろ転用は出来ると思うのでご参考になさってください。

 

技術資料(回路図など)の外注化は可能か?

技術的な仕事をしていないとピンと来ないかもしれませんが、例えば、回路図などの作成代行などは一般的です。試しに、「回路図 作成代行」などと検索してみれば、数多くヒットします。

中国国内でも作成代行してくれる業者は少なからず存在するようです。ただ、こういうものはオートメーション化してボタンを押せば出てくるものではないので、相応に組み立て工場の担当者との協議も必要になってくるでしょう。

また、業者のレベルもまちまちなので、工場がイチから探すのは難しく、やはり当社のような代行会社の紹介などがベターになってきます。

また、そもそもとして、工場が資料の外注化に応じてくれるかどうかは、様々な契約な問題もあるでしょうから簡単には進まないかもしれません。ただ、そうしたやり方があるということを認識しておいていただければ、認証の進みもスムーズになるでしょう。

中国工場の様子

 

いずれにしても、何より大事なのはやっぱり工場の協力

毎回毎回同じことを言っていますが、結局のところそれがすべてなので何回でも同じことを言うのですが、工場(とサプライヤー)が積極的に協力してくれれば概ね試験は進むものというのが当社の考えです。

ある程度の事前のリスクも当然見るようにしますが、何だかんだ言って、実際に試験を進めてみないとどれだけ問題があるのか・ないのか分かりかねるのが実情です。

と言っても、やはり何事も無いのが一番。しかし、それは奇跡であるくらいに考えて、やりながら進めていくというのが合理的かつリーズナブル。それが特に中国での認証スタイルであると言えます。

大事な部分は、工場に協力の約束をしっかりと取り付けておくこと。この辺は事業者の方のビジネスセンスに依る部分も大きいかと思います。当社でも、出来るだけのアドバイスはさせて頂くつもりです。

最後に蛇足ながら、当社のよくあるスタンダードな進め方(ご提案)をご紹介させて頂きます。

当初ご提示した費用感で特段問題が無いようでしたら、ご契約は進めさせていただきつつ、
ご依頼主、中国工場の担当者、当社側(技術者含む)でのオンラインミーティングを開催します。

オンラインミーティングの光景

 

そこで、工場担当者と技術者が直接中国で話しあい、現状の課題を聞いて、どのように準備・手配をしたら試験が進められるようになるのかアドバイスをしていきます。依頼主からも工場に質問などあれば、その場で通訳してお伝え出来ます。

工場側も代行会社とFace to Faceでコミュニケーションができるのでその後進みもスムーズにすることができるのです。

いずれにしても、認証で一番大事なことは工場の協力。まずはこの事をしっかりと覚えておいていただければ幸いです。

 

 

 

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