中国製品で安くて完璧にPSE自主検査する方法とは、証明書の有効期限の考え方
こんにちは。管理人の堀です。
PSEに関するNo.3に入るくらい多い質問。
自主検査ってどのようにすればよいのですか?貴社で代行していただけますか?
これに対する回答としては、
自主検査は基本的に生産工場に委託するものです。ちなみに、当社では代行していません。
そもそも「自主検査」という響きで、自分自身でやらないといけないイメージもあるかもしれませんが、法的には自主検査を行う事業者を規定はしていません。あくまで、届け出事業者側の誰かが検査実施をして、届け出事業者自身がその検査記録を保管しておけばよいのです。
また、「自主検査」というと仰々しいイメージもありますが、要は「検品」です。物販を行う人間であれば、電気用品であろうとそれ以外であろうと、生産して出荷する前に検品を行うのは当たり前。
PSE(電気用品安全法)では、その検品(と記録保管)を義務付けているだけです。ただ、義務となると一連の仕組みや実施する体制づくりをしっかり考える必要があります。
特に、(中国の)生産工場にやらせればよいといっても、本当にやってくれるのか?そうした疑問が当然あります。一方、意思疎通が取りやすいといって日本の自主検査代行会社に依頼すれば、かなりの費用が発生してしまいます。
今回は、自主検査の仕組みのおさらいと、完璧に検査実施するやり方についてお話ししていきたいと思います。
また、同時に質問が多い、PSE証明書の有効期限の考え方についてもお伝えしておきます。
Contents
自主検査の流れのおさらい
そもそもPSE電気用品安全法では、電気用品輸入・製造事業者に対しては下記の5つの義務が課せられています。
① 届出の義務
② 技術基準の適合義務
③ 自主検査の実施及び検査記録の保存義務
④(特定電気用品の場合)適合性検査証明書の保存義務
⑤ 表示の義務
この中で特に③の自主検査は、対外的に何かするのではなく、何かあった際のために記録を自分で残しておく、という外から見えづらい行為なので、正直何をするべきなのか曖昧な部分があります。
なお、自主検査の流れについて下記の記事にご参照ください。
その中で、事業者の方がやるべき具体的な部分を再掲します。
経産省ページにある自主検査内容
届出事業者は電気用品の製造又は輸入を行う場合、国が定めた検査の方式により検査を行い、検査記録を作成し、これを検査の日から3年間保存する必要があります。
検査の方式は、省令において特定電気用品と特定電気用品以外の電気用品についてそれぞれ定められています。
これに、下記内容を加えて検査記録として保管しておきます。
・電気用品の品名及び型式の区分並びに構造、材質及び性能の概要
・検査を行つた年月日及び場所
・検査を実施した者の氏名
・検査を行つた電気用品の数量
・検査の方法
・検査の結果
表を見てもわかりづらいですが、主なPSE自主検査内容の以下の通り。
①外観検査(製品を一般流通させる際の決めた通りの外観になっているか)
②通電検査(製品に電気を通電させて、正常に作動するか)
③絶縁耐力検査(製品に電気を通して、規定通りの電磁波に収まっているか)
リチウムイオン電池については、出力電圧検査もあります。
それらの検査項目とともに、上述している必要項目を添えて1つの検査レポートを作成します。なお、②③に関しては、単純に合格、不合格というよりは、そのときに使用した電力量などを記載しておくのが一般的です。
自主検査でとりあえず覚えておくべきポイント
自主検査で行う上で、わかりづらい点を挙げます。
自主検査は基本的に工場が行うもの
製品生産後の自主検査は誰がやるんですか?という質問への回答になりますが、自主検査は基本的に工場がやるものです。その理由は、生産設備がない会社がやるとしたら、設備を揃えるところから始めないといけません。
工場が生産したものを他の場所で検査をするというのは、非効率な話なのです。
自主検査は全数検査ですか?抜き取り検査ですか?
PSE自主検査は全数検査が義務付けられています。
検体分の記録用紙が必要ですか?
輸入事業者が保管すべき記録は頭紙の1枚で十分だと経産省の見解があります。ただし、検査記録そのものは工場にデータ保管しておいてほしいということです。
記録用紙のフォーマットなどはあるのでしょうか?
経産省から定められた特段のフォーマットはありません。必要な検査内容などが盛り込まれていれば書式は問われません。
自主検査内容ってPSE独自のものなのでしょうか?
基本的にPSEの自主検査で特別なことをすることはほとんどありません。PSE(日本)だけではなく、世界のどこに出荷する場合でも必要な最低限の生産後検査ばかりです。つまり、まともな工場であれば本来どこでもやるべき内容を、PSEの自主検査レポートとして保管しておいてください、という話なのです。
事業者としてステージアップするためには厳格な自主検査は必須
上述したように、自主検査を行うのは基本的に生産工場であると考えています。それが原理原則なのですが、中には、全数検査を嫌がって工場が協力してくれない、という事態も少なからず発生します。
そうした際、工場に全数検査をやらせずに適当にやり過ごしている事業者の方も多いのではないかと予測してしまうことも時折あります。
ただ、それが通じるのはネット物販の世界だけでしょう。リアル量販店で販売する際、購買担当の方から自主検査記録を求められる可能性は高くあります。
その際に、やっていません、という回答はできないでしょうし、即座に提出が出来ないとそもそも自主検査をやっていないものと判断されてしまうこともあるでしょう。
流通店舗の担当者は、自店の信用問題になるのでかなり細かくチェックしてくると思われます。
なので、自主検査も生産工場がしっかりと行ってくれれば良いのですが、検査数量が多ければ渋ってきたり、そもそもキッチリと検査をしたかどうか不明です。しかし、日本国内の代行会社を使うと高くついてしまう。
そういう時は、中国の検査機関に自主検査を委託することが可能です。検査機関はそもそも検査をするのが仕事ですので、その内容の信頼性は高くあります。
ここが今回の話の主旨です。
いずれにしても、全数の自主検査は経産省から提出を求められる可能性が低いから適当にやり過ごす、というやり方をしていると、結局、最終的にしっぺ返しを食うのは自分自身ですので、ちゃんとやる・できるルートはしっかり確認しておきましょう。
また、PSE試験を合格しているからと言って、その後に良好な製品が安定的に供給される保証はどこにもありません。そういう意味でも、しっかりとした検査ルートを確保しておくというのが、今後伸びる事業者として必要不可欠な一手となってきます。
PSE証明書の有効期限は3年? 5年? 7年?
PSEって何年有効ですか?
これもPSE試験をする事業者の方からよく聞かれます。
ケースバスバイケースなので、一概には言えませんが、簡単にまとめておきます。
丸形PSE(特定電気用品以外)について
基本的に、一度試験した丸形PSE(の証明書)に関する有効期限はありません。つまり、一度取ってしまえば、ずっとその効力は継続されます。
しかし、試験の技術基準となる試験規格が更新された時点で、その試験は無効となり、また新しい規格で試験を行う必要があります。
但し、規格の更新自体も滅多にあるものではありませんが、更新になった際に事業者に連絡があるわけでもないので、自身で定期的にチェックしておく必要があります。
なお、そもそもとして、「規格」とは?と思う方はこちらの記事もご参照ください。
菱形PSE(特定電気用品)について
菱形PSEでは、指定された登録検査機関より「適合同等証明書」が発行されます。それには、5年7年などの有効期限があります。
但し、菱形PSEにおいても、検査する規格が更新となれば、有効期限内においても再試験が必要になる可能性があります。規格が更新されるという情報を入手されましたら、一度、経産省などに新規試験が必要かどうか確認されてみてください。
以上が、PSEの有効期限についての解説でした。申し上げたいこととして、PSEの認証・検査はすべて技術規格に基づいているという点です。
試験に合格してそれですべて終わりではないので、一つ一つの詳しいことはわからなくても良いですが、自主検査は有効期限など大まかな流れなどは把握するようにしておいてください。
それが電気用品を扱う事業者としてステージアップしていくための秘訣となります。但し、自社でそれをすべて行うことが難しいようであれば、当社のような代行会社利用することをお勧めします、といういつものポジショントークで今回は終了させていただきます。
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