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タイガー魔法瓶が電気用品安全法(PSE)違反!?事例解説と違反にならないための対策について

 2022/04/23 PSE 事例 時事ネタ 認証の原理原則
この記事は約 8 分で読めます。 5,938 Views

こんにちは。管理人の堀です。

今回はPSE違反による製品を自主回収した企業事例をお伝えしたいと思います。

PSEは守らなきゃいけないのはわかるけど、違反した場合実際どうなるの?

 

というご質問を受けることはよくあります。
そういった場合の法律上の罰則などを書きながら、今般PSE違反が判明したタイガー魔法瓶株式会社の事例内容と、事件が起きた背景の考察、事業者の方々が今後そういったことにならないための対策について述べていきたいと思います。

 

タイガー魔法瓶の電気用品安全法(PSE)違反の概要

そもそも今回、タイガー魔法瓶はどのような違反を犯したのでしょうか?
記事を引用する形でご紹介したいと思います。

タイガー魔法瓶は、2020年3月21日から2022年2月20日までに製造した電気ポット、マイコンジャー炊飯器、IHジャー炊飯器の一部の機種で、付属の電気コードの差し込みプラグに、電気用品安全法に規定された技術基準に適合しない材料が混入していたことが判明したと発表した。対象製品の電源コードの、無償交換を行なう。

対象製品は、2020年3月21日〜2022年2月20日に製造された、電気ポット、マイコンジャー炊飯器、IHジャー炊飯器の一部の機種。現在までに、本件に起因する製品事故の発生は、確認されていないという。

電気ポットや炊飯器の、一部製品の電気コードを無償交換する。写真は、「蒸気レスVE電気まほうびん <とく子さん> PIM-G300」

対象製品の1つ「IH炊飯ジャー <炊きたて> JPF-A550K」(カラーがサテンブラックのモデル)

引用:家電Watch_タイガー、電気ポットや炊飯器の電気コードを無償交換

 

同社の会社広報でも公表

マグネット着脱式電源コード無償交換のお知らせ
及び電気用品安全法技術基準違反に関するお詫び

弊社が2020年3月21日から2022年2月20日までに製造しました電気ポット、マイコンジャー炊飯器、

IHジャー炊飯器の一部の機種にて、付属の電源コードの差込みプラグに、電気用品安全法に規定された

技術基準に適合していない材料が混入していることが判明致しました。

現在、本件に起因する製品事故発生は確認しておりませんが、電源コードの無償交換を実施致します。

4月15日より、弊社ホームページ及び専用電話窓口によるお申込みを承る予定です。

引用:タイガー魔法瓶株式会社_品質不具合に関する重要なお知らせ

 

経済産業省のページにもリコール情報が記載

今回の件は、大手メーカーによるリコール事件としてかなりおおごとだと捉えられたようで、経済産業省のページにも記載があります。

事件の経緯などの細かい部分は重複する部分があるので割愛しますが、実際にどの製品喉の型番がリコール対象になるのか、写真入りで説明されています。企業としては面目丸つぶれでしょう。

引用:経済産業省_リコール情報

 

PSEに違反した場合の罰則規定と実際のところ

こうした違反はユーザーの安全性を脅かすものであります。一方で、同社は製品回収に踏み切っておりますが、そもそもPSE違反をした場合、どのような罰則規定があるのでしょうか。

電気用品安全法の危険等防止命令(法第42条の5)には、以下のように定められています。

届出事業者又は販売事業者が法第27条に違反したとき又は技術基準不適合品を販売したとき、危険及び障害の拡大を防止するため特に必要な場合に、国は届出事業者及び販売事業者に対し、回収を図ること等必要な措置をとることを命ずることがあります。

引用:経済産業省_電気用品安全法_試買テスト・流通後規制

 

それらの罰則として、簡単にまとめると1年以下の懲役若しくは(最大)100万円以下の罰金又はその両方が課せられ、加えて、内容がひどいものに関してはさらに1億円以下の罰金、となっています。

かなり厳しい内容だと思いますが、当社がこれまで仕事をしてきた経験の中では、懲役・罰金を課せられた事例は目にしたことがなく、基本的に製品回収ということになっています。

もちろん、(代金引き換えの)製品回収は会社としてはかなりの痛手になりますし、対応する従業員の人件費コスト、会社の社会的信用(コンプライアンス)などを考えると、それも相応なペナルティになるでしょう。

ちなみに、経済産業省は事業者による事業届けの受理のみではなく、定期的に市場に流通している商品を買い上げて、本当にPSE基準に満たしている商品かどうかを確認する業務(試買テスト・流通後規制)も行っています。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

PSE、PSC、計量法、電波法技適などの認証後が気になる方に、自主検査などの5つのコツを伝授!

 

なぜ違反が起きてしまったのか、専門技術者による考察

違反に該当する部分

「付属の電気コードの差し込みプラグに、電気用品安全法に規定された技術基準に適合しない材料が混入していたことが判明したと発表した。」

これについて当社技術者に見解を聞くと、

差し込みプラグはPSE特定電気用品(菱形PSE)に該当するので、必ず登録検査機関による試験が行われているはずだ。

それについて違反があったというのは、試験合格後に、コスト削減などの理由で安い材料を混入させたのではないか。基本的に試験合格時に使用する部品は決められている。

ということでした。あくまで見解なので本当のところはわかりませんが、

付属の電気コードの差し込みプラグに、電気用品安全法に規定された技術基準に適合しない材料が混入

という事実だけは残っています。

 

実際に当社に届いたAmazonからの自主回収メール

ちなみに、この件について何も知らない当社は以前に、違反対象になるかもしれない商品をAmazonで購入しておりました。

先日Amazonから届いたメールをご紹介しておきます。

[重要] 過去にご注文された商品についてのお知らせ
お客様各位

平素はAmazon.co.jpをご利用いただき、誠にありがとうございます。
この度、お客様が過去にご注文された下記商品について、不具合の可能性があることが判明いたしました。

商品名:タイガー魔法瓶(TIGER) 電気ポット 蒸気レス 節電VE保温 とく子さん 5L ブラックPIE-A500-K

不具合内容:電源コードの差込みプラグの材質に相違が生じ、技術基準不適合品が混入されていると判明したため、販売元での対応が行われています。お客様が購入された商品が該当する可能性がございますので、お手数ですが、該当・非該当及び対応方法などの詳細は下記公式サイトにてご確認ください。https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/file/220415-1.html

URL:https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/file/220415-1.html

URLの情報をご確認いただき、ご注文された商品が該当しているかご確認の上、ご対応をお願い致します。

また、ご不明な点についてはURL内に記載されているお問い合わせ先にご連絡くださいませ。

ギフトにてご注文された場合は、お受取主のお客様にこの情報をお伝えくださいますよう、お願い致します。

 

Amazonもかなり厳しいので、申し出あった顧客からの返金は必ず応じないといけません。そうした意味でも、違反事業者は大きな損失となってしまうでしょう。何よりも顧客の信用も失墜することになります。

 

違反にならないための対策について

こういった違反事例には決まって「本件に起因する製品事故の発生は、確認されていない」という一文が添えられていること多くあります。

そうなると、事故が起きてないんだからいいんじゃない、ということにもなるのですが、事故が起こってからでは遅いです。

また、日本のPSEは無駄に厳しくて製品の安全性を担保するのであれば必ずしもそこまで検査しなくても良いのではないか、という話もありますが、そこまで厳しくしているからこそ日本の安全が保たれているという話でもあります。

いずれにしても、電気用品を販売するのであれば、そのくらいの安全を確保するのが事業者の務めであります。

ただ一方、PSE取得していないものを故意で販売するのは論外だとしても、中国工場で既にPSE取得しているものが本当に正しいのか、自らPSE取得しても本当に工場が正しく生産を続けてくれているのかどうか、事業者自らが確認する必要があります。

また、しっかりと生産後の自主検査を行うことも重要です。

日本の安全を守りましょう!という大上段的なことを申し上げるつもりもありませんが、しっかりと検査をしていない状態で起こす違反、コンプライアンスでの信用失墜、取引先からの排除される、などのリスクがあることをわかっていれば、事業者として真剣に取り組まざるを得ない問題であるといえるでしょう。

 

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