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PSE特定電気用品の試験をJETでやることの難しさよ…原因は基本的に中国生産工場の理解不足

 2023/10/29 PSE 中国ビジネス 中国認証 事例 認証の原理原則
この記事は約 7 分で読めます。 1,136 Views

こんにちは。管理人の堀です。

このメディアで何度もお伝えしていますが、PSE(電気用品安全法)には丸形PSE(特定電気用品以外)と菱形PSE(特定電気用品)の大きく二つに分けられます。

PSEマーク

 

本当にざっくり両者の特徴を分けると、丸形PSE(特定電気用品以外)は一般家電品、菱形PSE(特定電気用品)は配線系および大型・複雑家電品となります。もちろん例外は沢山あります。あくまでざっくりな話です。

中には、同じ電気用品区分だとしても、使用する電力容量の違いなどによって丸形と菱形が変わってくる製品もあります。

当社で認証代行を受けるのも基本的に丸形PSEが多いのですが、時折、菱形PSEの代行を依頼されることもあり、今回はそうした際の注意事項を書きたいと思います。

 

菱形と丸形の法制度上の一番の違いは適合性検査の有無

両者の違いの特徴はわかったとして、法制度上の違いはなんなのか。経済産業省のPSEフローを見てみましょう。

引用:経済産業省ウェブサイト「電気用品安全法_届出・手続の流れ」

 

このフローは丸形と菱形の両者に共通しています。その中で、「基準適合確認」というのは、いわゆる製品(サンプル)検査です。丸形の場合におけるPSE検査とは、この「基準適合確認」のみとなり、あとは、管轄の経産省における行政手続きだけとなります。

一方で、菱形(特定電気用品)の場合には、「基準適合確認」に加えて、「適合性検査」というものがあります。それは生産工場への立ち入り検査のことです。この検査は、PSE対象製品を製造する際に使用する検査設備が工場に設置されているかどうかの確認となっています。

 

その課題は登録検査機関でしか検査実施が出来ないこと

では、適合性検査があると何が問題なのでしょうか。立ち入り検査を受け入れるため、工場は検査設備を準備する必要があるので、元々設備がない工場は新たに用意をしないといけません。もちろん、最初から工場が持っていれば特に問題ありません。

検査設備は相応の費用が発生するので、事業者(依頼人)と工場のどちらがそれを負担するのか、少々協議が必要になってきます。しかし結局、大体の場合において、事業者が負担することなります。

検査設備の話は今回のテーマとはズレるので置いておきますが、適合性検査は経済産業省に指定された登録検査機関でしか行えません。もう少し厳密に言うと、登録検査機関から指定された検査機関が代行することも可能です。

例えば、海外工場の試験において日本のJET(一般財団法人 電気安全環境研究所)に委託した際、JETと提携している該当地に近い検査機関を、工場に派遣してもらうことはできます。

今回の問題は工場立入検査の方ではなく、ポイントは特定電気用品の「基準適合確認」も登録検査機関で実施する必要があるということです。

実は、丸形PSEは決められた技術項目をしっかり確認していれば、その検査実施機関はどこでも良く、極端に言えば、生産工場自ら行うことも理論上可能です。ただ、必要な検査設備を有し、かつPSEの技術基準を全て把握しているスタッフがいる工場は皆無でしょうから、理論上おいて生産工場が自ら行うこともほぼ不可能であるわけです。

話が逸れましたが、菱形PSEの場合は、「基準適合確認」はどの検査機関がやっても良いということはなく、登録検査機関自らが実施することになります。

そうなった場合の課題として、経産省指定の登録検査機関なので、日本の技術基準に基づいてかなり厳格な試験になりますし、融通も利かせづらくなります。

当たり前だと言ってしまえばそれまでですが、試験を受ける立場から言うと、検査が通りづらくなるという状況に陥ります。特に、海外工場において日本の技術基準にぴったり合わせることを求められると、かなり試験が難しくなってきます。

 

配線系のPSE試験はJETでないとほぼ実施できない

一方、海外(中国)工場における特定電気用品の検査も、中国のCQCやドイツ系のTUVで実施可能なものも多いので、そちらは幾分やりやすいかもしれませんが、配線系の特定電気用品は日本のJETでしか行えないものも多くあります。

これはあくまでお客さんから聞いた話ですが、JETは新規客に対してつっけんどんだし、不親切だし、事業者の方々からは「あそことは仕事をしたくない」と何度も聞かされたことがあります。これは当社の見解ではなく、あくまでお客様から聞いたお話しです。

そのように、入り口からして仕事がやりづらいうえに、検査内容も厳しいので、輸入系の事業者さんからするとまさに鬼門。しかし、それでもJETで試験をせざるを得ないであれば、やるしかないのが実情で、そうした際に当社にお声掛け頂くことがあります。

 

JETの要求を理解しきれない中国工場

繰り返しお伝えしているように、JETの要求は厳しいです。もちろん、それは日本の安全を守るうえで必要な厳しさである一方、本当にそこまで必要なのか?と首を傾げる部分があることも事実です。

そして、当の海外(中国)工場としても、日本以外にもいくらでも売れるのに、正直、それほど大きな市場でもない割に厳しいことを言ってくる日本にコミットする必要がないのも確かです。

もちろん、少しでも販路を広げたいでしょうから、出来る限りの努力はしてくれますが、そもそも自国と違う他国の、それもやたらに厳しい基準となると、理解を仕切れずに手を抜いてきたり、とりあえずこれで大丈夫だろう、という根拠のない自信を発揮してくることもしばしばあります。

当社側の認証コーディネータ(技術者)としても、理解するのが難しい日本の技術基準をわかりやすく伝えるのが仕事ですので、それこそ何十回、、何百回と繰り返し連絡を取りますが、最終的に手を動かすのは工場です。

また、工場がこれで大丈夫、完成した!と言ってくれば、それを確認するすべもないので、工場の言うことを信用するしかありません。

もちろん、依頼主の方で、(日本の技術基準を理解した)別の開発コンサルの会社を利用するのであれば事前に確認は可能かもしれませんが、認証代行というのはあくまで必要な技術基準を伝えて、相対する検査機関をアサインするのが仕事です。

えっ!?代行会社の仕事ってそれだけなの?

 

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそれ自体がかなりのノウハウが必要な話であります。製品開発と認証代行は別の話なのです。つまり、複雑な電化製品を許認可認証するというのは、それほど難しい話であり、それを実現できるからこそ大きな利益を生むことにつながるわけなのです。

また、工場の理解は認証代行側としては担保できないのが現実のところです。

例えば、学校(塾・予備校)を思い浮かべていただけるとわかりやすいかもしれませんが、教える内容(日本の技術基準)は同じだとしてもそれを理解するのは子供たち(海外工場)です。

その理解、実践スピードについては管理できません。

もちろん競合他社が多い分野においては、教える側(講師など)のスキルの高い・低いも競争の要因の一つになるわけですが、少なくとも現状の許認可認証代行の世界ではそうしたコミュニケーションスキルは担保できないのが実情です。

先述したように、それは開発コンサルの領域になり、それこそ費用は桁が一つ違ってきます。こういう世界線が正しいかどうかはわかりませんが、事実としてそのような状況にあるわけです。

ただ、当社の場合では、工場とネイティブコミュニケーションができますし、この道40年に近い大ベテランが担当しますので、基本的には抜群の成績を収めてはいます。一方で、言葉は通じても心は通じないことはよくあることで、それは日本でも同じことで、そのギャップは埋めきれないのが本当のところです。

もしかしたら、今後そうした分野もすべて解決できる会社やツールが出来てくるかもしれませんが、その時は当社も廃業かもしれません。しかし、いずれにしてもそれはもう少し先の話になるでしょう。

 

日本の事業者側も一般常識としてそのことは理解しておくべき

やはり海外ビジネスや、許認可認証について理解が深くないとここまで把握は出来ないと思います。ただ海外製品における許認可認証、特に、菱形PSE特定電気用品の試験はこのレベルまで考える必要があるということは、事業者としての必須知識だろうと感じています。

 

 

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