PSE違反製品を実際に買ってみたらたった2週間で故障した実例をご紹介
こんにちは。管理人の堀です。
これまで中国メーカー(工場)が独自手配した丸形PSE(特定電気用品以外)の検査レポートに不備があることなどを取り上げてきました。
検査レポートに不備があるということは、経済産業省への事業届も満足に行われていない可能性があり、結局のところ、PSE基準を満たしていない電気用品が市場に出回ってしまうことになります。
当社では、仕事柄、PSE手続きを行っていない販売者の商品は、ECサイトの画面を見ただけで大体わかります。もちろん違法品であることがわかったものは購入しないことにしているのですが、モノは試しで一度購入してみることにしました。
届いてみて、PSE確認をしてみたらやはり違法品。ツッコミどころ満載でした。あまり大勢に影響はないかもしれませんが、それでも購入した方が一人でも、ケガをしてしまった場合、一体誰が責任を取るのでしょう。
国内販売事業者であれば、その責任を追及できるかもしれませんが、海外販売事業者であればそれも難しくあります。クレームを入れたところ返信がなければそれでおしまい。もちろん、訴訟などもできません。
そういう意味でも、ユーザーの方には確かな知識を得て購入をしていただきたいと思いますし、事業者の方はあらためてしっかりと勉強して販売に臨んでいただければと考えます。
今回は、「PSE違反製品を買ってみた」というテーマでお伝えしていきます。
Contents
丸形PSEの法制度おさらいと昨今の課題
おさらい
ここで一度、丸形PSEの法制度についておさらいしておきましょう。
まず、丸形PSEは経済産業省が指定した登録検査機関での検査・確認は義務ではありません。もちろん指定登録検査機関に検査・確認してもらっても良いのですが、自由に検査機関を選ぶことが出来ます。
場合によっては生産工場が自らPSE検査を行うことも理論上では可能です。
但し、それは工場自らがPSE検査基準をすべて把握し、検査設備を有し、検査そのものを実施出来ることが前提であり、日本の工場でもそれらをクリアするのはなかなか難しくあります。中国工場では尚更でしょう。
ですので、丸形PSEでも、しっかりと設備・経験・ノウハウを有した検査機関で行うのが一般的です。
中国国内には有象無象の多数の検査機関が存在
しかし、それらはすべてが日本向けではなく、ヨーロッパやアメリカ向け、その他東南アジア諸国向けであったりします。
中には、そもそも日本の基準レベルに達していない、日本のPSEのことをちゃんと理解していない検査機関も存在していると、経験上感じています。
中国工場自身も日本のPSEのことを熟知していない訳なので、よくわかっていない検査機関からの認定書・レポートをそのまま信じて、自分たちはPSE認証していると思い込んでしまっていると見受けられます。
海外事業者による丸形PSEでの課題
もちろんフローにある全てが大事なのですが、下記フローの特に課題になっているのが「事業届」と「基準適合確認」です。
事業届がされていないと万一事故の際の責任が追及できませんし、基準適合確認というのは上述したPSE試験のことで、これをきっちり実施していない海外事業者が散見されるというのが昨今の課題です。
Amazonで購入した電気ミルクウォーマー
実は当社では、飲食事業を行っていたことがあり、業務で使うミルクウォーマーが必要でした。FC(フランチャイズ)なので、本部から指定があった商品を購入することにしましたが、販売画面を見てみるとそれが思いっきり違法品。
もちろん、本部担当者は、違法品云々のことはわからないでしょうし、こちらから説明してもチンプンカンプンになるだけ。また、他の製品を使って同じ味にならないのも問題なので、立場的に気持ちは複雑でしたが、とりあえず購入することに。
PSEの場合、違法品であってもそれを購入して使用すること自体は法律の罰則対象になりいません。あくまで販売事業者の問題です。ちなみに、電波法で認証未取得の違法電波製品を使用した場合、販売事業者は罰せられず、ユーザーが罰則対象になります。
そんなことも考えたのですが、当社・当店としては、不謹慎かもしれませんが、違法品をあえて買ってみるという良い機会ではないかと思い、購入に至りました。
ミルクウォーマー
使用して2週間で故障
結果として、2週間で故障しました。当店では6人のアルバイトさんが代わる代わる仕事をいていたので、細かい取扱いを徹底させる事は難しくあります。それでも、市場に流通している限りは、それなりに使用と出来ると思っていたのですが、それが甘かった。
さすが違法品。
原因を究明してみたのですが、どうやら機械本体にある(給電台との)接続端子部分に水が触れると故障の原因になるようです。
販売ページには、
ご注意:本製品のボタンと本体の底は防水機能を備えていません。水入れた後はボタンの故障や調整不能などの不具合が発生する場合がありますので、水が入らないようにご注意ください。
と書かれていましたが、水(液体)が接触して故障する可能性が高い場合、防水などの対応が必要です。何故かというと、ユーザーが濡れた手でそこに触れた場合、感電してしまう事が想定されるからです。
これはユーザーの自己責任では無く、販売者側が先んじて対策を講じておかなければならないことなのです。
これはメーカー間の特許権や意匠権などの権利問題などではなく、ユーザーの安全性の問題です。率直なところ、他国に違法品を販売する海外事業者には憤りも感じますし、販売を許してしまっているECサイト側にも問題があると思います。
さらに言うと、税関で止められないというのも法制度上の不備だと言わざるを得ません。
ただ、そうは言っても自分の身は自分で守るという意味でも、ユーザーが賢くなる必要もあるのではないかと考えます。
返品したらすぐにお金が戻ってきた
2週間で故障したので返金対象になりました。商品を送り返したらすぐに返金されましたが、この手間代はどうしてくれるのでしょうか。
日本の一般市場で販売するのに不自然な点
日本の家庭品は2ピンプラグであるのが一般的
この製品は中国(製品)でよく見掛ける3ピンプラグでした。当店は店舗でしたので、コンセント差し込み口も2ピン・3ピンどちらでも対応出来るようになっていましたが、一般家庭では2ピンが一般的です。
つまり、この製品は3ピン用の交換器が必要です。こんなデタラメ商品を販売させてはいけませんね。
商品レビューでもこの点については、★1のコメントがかなり見受けられました。
2ピンプラグ※3ピンプラグはさらにもう一本、丸いプラグが中央に配置されている。
そもそもとしてPSEラベル表示が全然間違っている
製品に添付されているPSEラベルをご覧ください。
輸入事業者名がない
そもそも致命的な点として、輸入事業者名がありません。つまり、経済産業省に正式に事業届けをしていない違法品という事が確定しています。
定格周波数が60Hzしかない
電気用品の周波数に関してはこちらをご覧ください。
全国で販売するには、50Hzと60Hzである必要があります。60Hzしかないと西日本でしか使えません。本来であれば、西日本販売限定とするべきですし、日本の事業者はそこまでしっかりとやっています。
もちろん、小型製品ですので実際には使えましたが、使っていてどうなることやらさっぱりわかりません。
電力量が500Wも必要?
まず最初に、「AC電源」という表示は間違いで、「(定格)消費電力」と表示しなければなりません。つまり、その製品を動かすために必要な電力量です。通常、ミルクウォーマーでしたら、300~400Wくらいが妥当だと思うのですが、異様に電力量が多い。
この辺も気がかりです。
AmazonでもPSE違反対策は強めている
最後に、違法品に関してECサイト側の対応が甘いという事を取り上げましたが、実際問題として、特にAmazonでは販売規制が強まっているようです。
当社で認証をされたお客様も、Amazonからエビデンスを求められたという事が何度もありました。しっかり認証をしているので問題無かったということですが、突然販売停止になり、書類の提出がされなければ再開されないという通告。
事業者本人としては、たまったモノではないと思いますが、こうした取り組みは必要かも知れません。いずれにしても、違法品業者はそのうちに自然淘汰されていく事になるでしょうが、販売者・ユーザーともに正しい知識を持って、販売・購入をしていって頂ければと思います。
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