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PSE、PSC、電波法(技適)などそろそろ流通後検査・試買テストの時期なので気を付けましょう

 2021/10/30 PSC PSE 事例 日本国内ビジネス 認証の原理原則 電波法
この記事は約 8 分で読めます。 2,037 Views

こんにちは。管理人の堀です。

早いもので激動の2021年もあと2か月で終わりを告げようとしています。この時期になると一年の振り返りなど、皆さん様々に物思いに耽ることもあるでしょうが、認証に関する仕事をしている当社とっては、この時期になると毎年の恒例行事のようなものがあります。

それが経済産業省などの流通後規制(試買テスト)です。

流通後規制に関しては、以前書いたページの一部としてまとめられていますが、今回は当該部分に特化して追記、また最近の小ネタなどを交えて書いていきたいと思います。

PSE、PSC、計量法、電波法技適などの認証後が気になる方に、自主検査などの5つのコツを伝授!

 

そもそも流通後規制(試買テスト)とは?

これはPSEに関する経済産業省の文面ですが、他の認証にも共通する部分がありますので代表して引用させていただきます。

経済産業省では、製品安全政策の一環として、製品事故の未然・再発防止を図るため、市販されている電気用品を買い上げ、電気用品安全法令に定める事項の遵守状況(技術基準の適合状況及び電安法施行規則に基づく表示の妥当性)を確認し、電気用品の安全性確認とともに、製造事業者及び輸入事業者に対する指導監督に資するデータを得ることを目的として、毎年、試買テストを実施しています。

 

既に流通している(販売されている)認証品を経済産業省が委託した機関が買い上げ、PSEマークがしっかり表示されているか、検査機関に提出した技術資料通りに作成されているかなどのチェックが行われます。

試買テストはPSEだけではなく、PSCや計量法などでも実施されます。

また、総務省による電波法製品に関しても流通後規制は存在ます。

正直なところ、試買テストはかなりマニアックな話ですが、認証製品を扱う事業者としては必須な知識です。

なお、経産省や総務省などは試買テストについて、認証取得時や申請時に教えてくれるものでもありません。役所の担当者の方と少し長く話す時間があれば教えてくれたりしますが、基本的に教える義務はないので、事業者の自己責任です。自分で調べないといけません。

各法律における試買テストに関するページや資料のリンクを貼っておきますので、さらにご興味がある方はこちらをご覧ください。

当然、各ページに関してSEO対策などはされていないので、リンクを探すだけでも大変だったりします。

経済産業省:PSE 流通後規制 関連ページ

経済産業省:PSC 流通後規制 関連ページ

経済産業省:計量法

総務省:不法無線局対策の取り組み

 

実際に認証をされている方であれば、PSEマーク、PSCマーク、電波法技適マークなどを表示しないということはあり得ないと思います。

ただ、実際に製品の中身が毎回、検査内容通りに作られているかどうかはある程度工場と日頃から確認しておいた方がよいと思います。後ほども説明いたしますが、当社で扱ったレーザーポインター(PSC)でも試買テストの対象になりました。

 

流通後規制の内容をもう少し詳しく

電気用品安全法(PSE法)では、流通後の電気用品の安全性を担保するための措置の一環として、製造・輸入届出事業者や販売事業者に対して「報告の徴収」や「立入検査」などを行うことができるとされています。

当社のお客様の中でPSEに関する知識が不足していたために、製品の中身は問題ないにしても、PSEマークの表示に不備があったとして経産省から指摘を受け、対応するためのご相談を頂いたことがあります。

その際は、経産省の取り締まり対象となり、販売した商品の全品回収と正しいPSE手続きの実施、業務改善報告書の提出を求められ、当社では正しいPSE手続きと報告書作成についてサポートさせていただきました。

この辺の法律を理解しないままに、認証製品を法律に反する形で扱っていると後から大変な思いをしますので、事前にしっかり勉強をしておくこと必要があるでしょう。

また、いずれの認証製品においても、万一重大事故などがあれば、行政や管轄省庁などに報告の義務などがあります。加えて、重大な欠陥のある商品を扱った事業者として、世間に公表されてしまう可能性もありますので、認証に合格したからと言ってそれで終わりとしてはいけません。

認証後も生産工場との定期的なやり取りは必要でしょうし、場合によっては、工場訪問などを行い、工場にしっかりとした生産を促すことも必要かもしれません。

正直これを見て大変だから認証をやめておこうという考える方もいらっしゃるかもしれません。

ただ何度も申し上げるように、販売・製造事業者として、別次元に行くためにはこうした取り組みをする必要はあるでしょう。

 

なぜこの時期(年末・年始)にやるの?

流通後規制(試買テスト)の意義はわかったとして、ではなぜそれが年末年始の風物詩となっているのでしょうか。

それは簡単な話で、役所の予算消化(予算の調整)が理由であると考えています。極端なことを言うと、年度初めの4月や5月などに流通後規制が行われたという話を聞いたことはありません。

もちろん、第三者からの通告などがあれば一年中対応すると思いますが、省庁が自発的に行うものとしては、年末年始にかけて実施され、年度末ギリギリの2月くらいにレポートにまとめられ、その内容がホームページに掲載されます。

絵に描いたようなお役所仕事なのですが、もちろんそれが違法品の抑止力になっているのも事実です。また、そうした事情を知らない販売業者は、規制の対象で調査が入った時点で青天の霹靂だと感じるかもしれません。

ちなみに、経産省の流通後規制の事業を請け負っているのは、その外郭団体であるJET(一般財団法人 電気安全環境研究所)やNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)、一般財団法人 製品安全協会などです。

総務省の流通後規制を請け負っている団体はわかりませんが、基本的にお役所機関であると思われます。

 

当社お客様の事例

認証の仕事をしていると、当然知識もついてくるので、PSE、PSC、電波法のいずれにしても認証をしていない違法の状態で売るということが信じられないのですが、数多くいる事業者の方の中には、認証のことを何も知らない方も少なからずいらっしゃいます。

そうした方がECサイトで販売していた折に、先述した外郭団体から調査の連絡があり、青ざめて当社にご相談頂くケースもありました。

また一方、印象深いのは、ある地方のお客様のエピソード。

その方(Aさん)は、しっかりPSEの手続きも行ったのですが、その地方ではPSE事業届を出す業者がほとんどいないようで、変な話、事業届けを出すだけで目立ってしまい、NITEの地方支部が調査にやってくる、ということがありました。

販売した数はまだ数個レベルなのに、自主検査レポートはちゃんとできているのかなど、指導に来るようで、率直なところ、仕事がない地方の行政団体が実績作りの為にやっているという印象を受けました。

何ともコメントしづらい話ですが、日本の認証というのは既得権益との戦いであるのも事実であり、その一方で、事業者はそれを守らないと厄介な話になるので、その辺は知識・情報を身に付けてスマートに対応していっていただければと思っています。

 

昔の当社事例

実際に当社でも扱っていたレーザーポインター(PSC)の試買テスト対象になったことを書いておきます。

何年か前ですが、例によって11月の中旬という年度末に差し掛かった時期に、経済産業省より試買テスト事業を委託された一般財団法人 製品安全協会の担当者の方から電話を頂きました。

 

安全協会:貴社のレーザープレゼンターが試買テストの対象となったのでご協力いただきたい

 

当方:どのように協力するものですか?

 

安全協会:製品購入は自分たちでするので技術資料を提供してほしい

 

当方:技術資料は中国工場に保管されているものであり、工場にとっては機密文書なので工場が応じてくれるかわからない

 

安全協会:その内容で一度経産省に確認してほしい

ということで、経産省に聞いてみると、

 

経産省:提出ができない場合はそれで問題ないし、それによる不利益は発生しない

 

という回答。
一体、何のための連絡だったのかわかりません。

急に言われるとびっくりしていろいろと従ってしまうかもしれませんが、ある程度は毅然と対応して交渉する余地はあります。言いなりにならないことは重要です。

いずれにしても、最終的に技術資料の提出は行いませんでしたが、製品の購入はされたようでした。その後、特に連絡もなかったので試買テストは合格だったのでしょう。(当然!)

取り留めのない話ですが、こうした流通後規制の仕組みを知っておくことも今後の参考になるかと思い、書かせていただきました。

 

いずれにしてもちゃんと認証・検査したものを販売しましょう

今回は、流通後規制・試買テストの裏話的なものを書かせていただきましたが、しかしこういうことが言えるのも基本的に認証・検査を行っているからです。何にもしていない状態で調査が入った場合には、何も言い逃れは出来ません。

その点を留意して、認証対象商品を扱うようにしてください。

 

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