【事例インタビュー】文部科学省「GIGAスクール構想」に不可欠な輪番電源タップのPSE認証を実施
こんにちは。管理人の堀です。
今回は、当社が認証を行わせて頂いた企業様に対して行ったインタビュー記事を掲載させて頂きます。
振り返ってみると、複雑な機械のPSE特定電気用品のご依頼をいただき、筆舌に尽くしがたいほどに様々工程を経験いたしました。
まさに二人三脚という言葉がピッタリなくらいにいろいろと一緒に取り組ませて頂きまして、最終的にはお客様にもご満足頂けたようですし、当社としても今後の新しい展望が見え得てきた貴重なお仕事でした。
今回のインタビューにも快く応じて頂きまして、読者の方にもご参考になる部分があればと思い、公開させて頂いております。
それでは記事をご覧ください。
Contents
ご依頼主様
株式会社 イー・エッチ・ティー
取締役 部長 中尾彰 様
営業技術部 甲能福満 様
インタビュー:INSIGHT WORKS株式会社 堀
「『少量でも最適なカスタマイズをご提供』の発想でお客様の期待にお応えし、国内生産と長期安定供給で安心をご提供いたします。医療用と車載用のコンピュータの経験を生かし、オープンOS、オープンプラットフォームを軸とした 産業用組み込みコンピュータ事業を展開してまいります。特に、組み込みボードコンピュータを主力としてボックス型コンピュータを始めパネルコンピュータ等を製品化し販売しているメーカです。」
株式会社 イー・エッチ・ティー ホームページより引用
公式HP:http://www.eht.co.jp/
国内の官庁・民間企業などから新製品の基盤ボードやそのケースなどの受託開発などを行う株式会社 イー・エッチ・ティー(以下、EHT)。国内工場とのネットワークも広く、受注した製品の企画・開発、そして生産までを手掛けることができる。長年培ったその高い開発力には官民ともに定評がある。
PSE認証をした輪番電源タップの特徴と開発の背景
中尾取締役(以下、中尾):現在、文部科学省が推進している「GIGAスクール構想」という政策があります。簡単に言うと、学校の授業で学生一人一人にタブレット・PCなどを付与するという取り組みです。今は、小中学校がメインですが、今後は高校などにも広がっていくと思われます。
中尾取締役
堀:素晴らしい取り組みですね。恥ずかしながらご依頼を受けるまで、「GIGAスクール構想」について知りませんでした。
中尾:確かに素晴らしいのですが、ひとつ大きな問題があって、学校中の生徒が一様に機械の充電(ケーブル接続)を始めると、その瞬間すぐにブレーカーが落ちてしまいます。当社で開発したこともある「USB-HUB10ポート急速充電」というものがあり、製品名通り1台で10個のUSBが接続できますが、1クラス40人だとして4台必要になります。
中尾:先ほど言ったように、1クラスだけでも4台(40人)が一辺に充電接続をしていたら大変です。一方で、充電はずっとしている必要もなく、1~2時間毎などに1回出来れば十分です。今回、開発した電源タップは輪番式で、4つの電源が時間差で自動的にON/OFF切り替わります。
そのように電力供給をコントロールすることで、切れ目なく安定的に子供たちのタブレットに電源供給が行えるのです。
堀:いわば、文科省の「GIGAスクール構想」の実現はこの輪番電源タップにかかっているのですね。
中尾:もちろん、当社1社のみだけが作っているわけではないですが、その要素は大きいと思います。ただ製品企画が持ち上がったのが3月中旬頃で、4月から作り始めて、6月末には発売するということになりました。さすがにそんな短期間では厳しいなと思いつつ、当然ビジネスチャンスですので、製品開発とともにPSE認証の手配を急ぐ必要がありました。
輪番電源タップ
INSIGHT WORKSに認証を依頼した経緯
甲能:短期で認証をする必要があり、ネットでいろいろと代行会社を探していました。何社かピックアップさせていただいて、そのうちの2社の1つにINSIGHT WORKSさんがいました。
甲能氏
堀:当社の最初の印象はいかがでしたか?
甲能:正直、ネットで見る限り、情報量は多いと感じましたが、小規模案件をメインにされている会社様かと感じました笑。ただ、電話で堀さんとお話しさせていただいて、いろいろPSEお詳しいかったですし好印象だった記憶があります。
堀:ありがとうございます。
甲能:ただ、当初は既に動き始めていた他社様に依頼させていただくことにしました。
中尾:甲能が断りの連絡を入れた後に、その理由を聞いてきてくれたことには好感を頂きました。仕事熱心だなーって。
甲能:それが4月後半の連休前で、連休が明けたら一気に認証を進めようとしていたところ、急遽、最初に依頼していた会社が諸事情で仕事ができなくなり、あらためてINSIGHT WORKSさんに依頼させていただくことになりました。
甲能:納期まで時間がないのに、急に話が振出しに戻ってしまいとても焦っている中、堀さんとskypeで打ち合わせをさせていただくことになりました。
INSIGHT WORKSからの提案:中国(海外)の認証機関を使う
中尾:今まで基本的に日本国内で開発などを行っていたので、PSE試験をするといえば、JET(一般財団法人 電気安全環境研究所)を利用するのが一般的です。もちろん、今回の試験もそのつもりでした。
堀:中尾様からそのお話を伺ったのが5月中旬だったのですが、ちょうどコロナウィルスの影響による緊急事態宣言の最中で、JETだけではなく日本国内の検査機関は活動縮小しているという情報はあり、ご指定の納期には到底間に合わないと思ったので、中国の認証機関の利用を提案させていただきました。
中尾:堀さんから、CQC(中国品質認証センター)を利用しましょうと言われた時、正直、どこだそこ?という印象でした。販売する取引先からも同じようなことを言われましたが、経済産業省の登録検査機関のページを見てみると、しっかりと名前が記載されているので、変なところではないと安心しました。
甲能:当社では中国語ができる人材はいないのですが、INSIGHT WORKSの認証技術顧問の方が中国人で、CQCとの折衝には何ら問題が無いということで、こちらとしても納期がない中で、それに間に合わせられるというお話しだったので、正直意を決してという覚悟でお願いさせていただきました。
堀:電気用品にかかわっている方でも日本では馴染みはありませんが、CQCというのは中国を代表する国際的な認証機関であり、日本の認証はもちろん、世界各国の認証も扱っています。当然、PSE特定電気用品の検査も行っており、中国国内工場のPSE特定電気用品の検査はCQCが手掛けることも多く、今回は日本国内工場においてもCQCを利用することをご提案させていただきました。提案理由としては、今回のご依頼の肝である「納期」に対して、最大限に力を発揮してくれることがわかったからです。
中尾:本当に大丈夫だろうか?という不安があったことは間違いないのですが、こちらの質問に対して、真摯にすべて対応してくれる堀さんを見て、希望があるのであればやってみようという感じで決断いたしました。
INSIGHT WORKSの良かった点:レスポンスの早さ、対応力、技術者との打ち合わせ
中尾:検査自体は、日本・中国いずれの検査機関であろうとも進め方は一緒ですので、必要な技術書類を揃えて、サンプルを送って検査を進めてもらうというところはわかっていました。
中尾:ただ、JETなどの日本国内検査機関とCQCとでは検査項目が若干違うなど、こちらの今までの認識と違う点もあり、少々戸惑ったことも事実です。
堀:同じものを検査する場合でも、検査機関によってアプローチの仕方が違う場合もあるので、その辺はご苦労されたと思います。
中尾:マニアックな技術の話なので、あまりわからない方が多いと思いますが、絶縁体やアース線の取り扱いなど、説明を受ければわかりますが、正直言って、中間でコンサルしてくれる方がいなければ日本の国内企業がいきなりCQCで検査を受けるとしても、合格は出来ないでしょう。しかし、逆に言えば、コンサルをしてくれる人がいれば、比較的に短納期のCQCを利用できるというのも事実だと思いました。
中尾:それで、堀さんに聞かれたので答えますが笑、INSIGHT WORKSの良かった点として、1つはレスポンスの早さですね。メールしたら大体すぐに返してくれたので、こちらとしても仕事が進めやすかったです。
中尾:他には、対応力もよくて、こちらがお願いすればほとんどやってくれました。例えば、サンプルをCQCに送らないといけない時に、海外発送をやったことがなかったので、一度INSIGHT WORKSに送って、海外に転送してもらったことが何回かありました。まぁ、しっかり手数料は取られましたが笑。あと、実際に検査を行う中国ラボがすごく良く気を遣ってくれて、出来る限りこちらの納期に配慮してくれたことは有難かったです。
当時を振り返る中尾取締役と甲能氏
甲能:もう一点、対応力に関して補足させていただくと、当然、堀さんが認証業務そのものをやられていないことはわかっていたのですが、担当されている中国人の認証技術顧問とのskype打ち合わせの場を数回持てたことは大変良かったです。
甲能:その方は認証の大ベテランという感じで、こちらの日本語による技術的な質問に対してすべて的確に答えてもらえて、とても安心できました。正直なところ、営業担当の堀さんとだけずっとやり取りしていたらもっと不安だったと思いますが、要所要所で技術担当の方とお話ができて、こういう方がしっかりと管理されている知ることができたのはよかったです。
中尾:何回かやり取りしているうちに徐々に形になっていき、最初はどうなるだろうと不安もありましたが、そのうちに何とかなりそうだという安堵感が生まれてきました。
オンラインミーティング風景
認証終了とその後
堀:中尾さんと甲能さんに過分なお言葉を頂きましたが、いろいろあり最終的に当初の納期から少々遅れてしまいました。言い訳を少しさせていただくと、お話あった技術顧問も言っておりましたが、近年稀に見るくらいに複雑な試験であったということです。
堀:また、その影響もあって試験終了後の認定証発行に時間が掛かってしまったことなど、当社としても反省点はあります。しかし、今回の試験を担当させていただき、当社としても次のステージを見据えるきっかけになるお仕事を頂けたことに大変感謝しております。
甲能:いずれにしても無事に認証を終えることができ、販売先のお客様も大変喜んでおりますし、当社としてもおかげさまで大きなビジネスを進められていることを有り難く思っています。
中尾:今回の製品はまだまだ需要は大きくあり、今後もいろいろご相談させていただくことも多々あると思いますので、引き続き良きお付き合いの程お願い申し上げます。
堀:今回はどうもありがとうございました。貴社の更なるご活躍を祈念しています。
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数々の認証を経験・成功させてきた堀雄太が認証ビジネスに軸にして、中国・日本における新規認証ビジネスの構築の仕方や、中国ビジネスなどを紹介しています。
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