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PSE対象外と言われて正直助かるんですが、電気用品をPSEマーク無しで販売しても大丈夫ですか?

 2020/11/23 PSE コラム 事例 認証の原理原則
この記事は約 9 分で読めます。 32,722 Views

こんにちは。管理人の堀です。

商売柄、お客様から、「この電気用品はPSE対象ですか?」というご相談頂くことは大変多くあります。このオウンドメディアをご覧頂いている方はお分かりになると思いますが、例えば、USB給電のモノはPSE対象外です。

正直言って、そういったご質問に関しては回答しないようにしています。その理由として、
①このレベルの話であればご自分で調べればすぐにわかる
②基本的にPSE対象でないこと願う前提でご相談されている

もちろん、認証はそれなりの費用が掛かるモノなので、基本的に認証費用は払いたくないというのが事業者の方の本音でしょうが、当社としてもそれに対して時間をかけて付き合っていられないというのが本音です。

誰だって認証はしたくない(=その費用は払いたくない)のは理解できますが、当社にご相談頂く段階では、認証をするという決意がある状態でないと話が進みません。

そうしたことへの対応に時間をかけていると、実際に認証を進めている・その準備をされている方へのサポートがおろそかになってしまうのです。

しかしその一方で、PSE認証をするつもりではあるがそもそもどのような試験内容になるのか、どのくらいの費用が必要なのか、というご相談には当然対応させていただいています。それはこちらでも確認しないとお見積りが出来ないからです。

その場合、見積り作成費用として3万円~5万円を前金として申し受けさせて頂いて、お見積りが出来上がって認証をされると決定された際は、全体額から差し引き返金させて頂くようにしております。

蛇足ながら、当社の業務フローをご説明させて頂いてしまいましたが、話を本題に戻しまして、お客様から依頼あった製品の認証見積り調べていくうちにPSE対象外ということが判明するパターンもあります。

今回はそうしたケースの経緯とその後に取れる善後策などについて解説していきたいと思います。

 

特定電気用品116品目、特定電気用品以外341品目 以外の電気用品はPSE対象外

経済産業省のPSE(電気用品安全法)に関するページでは下記文言とともに、各電気用品の分類ごとに対象となる電気用品が特定電気用品116品目、特定電気用品以外341品目、掲載されています。

 

「電気用品は、区分ごと及び品目ごとに対象となる範囲(定格消費電力の上限等)が決められています。

 

特定電気用品の一部


区分一覧

電線類、ヒューズ、配線器具、電流制限器、小形単相変圧器類、電熱器具、電動力応用機械器具、電子応用機械器具、交流用電気機械器具、携帯発電機

 

特定電気用品以外の一部

区分一覧

電線類、電線管類及び附属品、ヒューズ、配線器具、小形単相変圧器類、小形交流電動機、電熱器具、電動力応用機械器具、光源及び光源応用機械器具、電子応用機械器具、交流用電気機械器具、リチウムイオン蓄電池

 

引用:経済産業省ホームページ_電気用品安全法

 

随分と対象製品が多いように感じますが、特定電気用品・特定電気用品以外いずれにしても共通しているのが、基本的に両者とも交流で電源供給をしている点です。つまり、コンセントなど(ACケーブル)を電源差込口に差し込んで使用しているということです。

もしくは、電源ブレーカー(遮断器)など、電線から電源(電気)を引くための機械などが対象になります。

基本的に、PSEは交流で電源を得る「電気用品」を対象にした法律であり、上記の対象品目も基本的にはそうした製品で構成されています。

そうした時にハッと思うかもしれませんが、「電気用品」と言っても電源コンセントを差し込まずに使用しているものもあり、実はそうしたものはPSE対象外となる可能性が高いということになります。

PSE対象外の代表例として、USBやシガーソケットで充電・給電するモノ、乾電池を利用するモノ、ACアダプターを使うモノがあります。

 

この辺は本題から少し外れるので簡単に書きますが、USBや乾電池などが対象外になる主な理由としては、基本的に電圧(消費電力)が低すぎて、事故の可能性が低い為に言わばおもちゃ扱いされて、PSEの対象にはなりません。つまり、直流扱いされるということです。

一方で、ACアダプターを使用する電気用品について、製品そのものは本体から電源コンセントが伸びていない=本体は交流ではないということでPSE対象外ですが、電源供給のために使用するACアダプターは「直流電源装置」として特定電気用品115番に該当します。

また、PSE対象品の区分表について、既存の電気用品を基準に作成されており、例えば、これまでにない・想像したこともない新しいタイプの電気用品が開発された場合、その既存のどれかに(無理矢理)当てはめるか、PSE対象外としてしまうかです。

なお最近では、太陽光発電で電源発生させるタイプのポータブル蓄電池がPSE対象外という見解が出始めています。

なお、各製品のPSE対象有無に関する経済産業省のそれぞれの見解は、下記ページに掲載されています。おそらく、ご自身が扱っている電気用品がピッタリと当てはまることはないと思いますが、折に触れてご覧頂いてみても面白いのではないかと思います。

 

電気マッサージ器の型式の区分の要素「電熱装置」について(回答例)

引用:経済産業省ホームページ_電気用品安全法_対象・非対象の解釈事例

 

そもそもモバイルバッテリーも最初はPSE対象外だった

最近、発火事故が相次いで話題になっているモバイルバッテリーがありますが、これがPSE対象になったのは2019年2月です。

そもそものところで言えば、モバイルバッテリーは直流で電源供給を行っているわけなので原則論的に考えるとPSE対象外だと思われますが、携帯発電機や蓄電池はPSE対象だと経産省が定めています。

先述したようにモバイルバッテリー(リチウムイオン電池)の事故発生の多さ、また今後需要の飛躍的拡大などを鑑みた経済産業省はPSEでの規制を開始することにしました。

このように良くも悪くもPSE対象有無の判断は経産省の政策判断によるモノだと言うことは覚えておいても良いとかと思います。

 

電気用品に関するPSE対象外と判断された時の2つの対応

さて、それで問題なのは、確認に確認を重ねて該当製品がPSE対象外と判明した時です。依頼主からするとPSE対象外で検査費用が発生しないのでラッキー!ということになるかと思いますが、そこからまた新しい問題も出てくるのです。

 

PSE対象外ということの証明書を発行

電気を使う製品に関してPSEが必要になってくることは、大半の事業者の方も何となくはそういった認識は持っているでしょう。

そうすると、「この電気用品はPSE対象外です」といくら説明しても、検査逃れをしているだけだと信用してもらえないことが多くなってくることもあると容易に想像できます。

そうなると、むしろPSE検査をしてしまってほしいと相談されることもあるのですが、検査機関としては自らの信用問題にもなるので、PSE対象外のモノを無理矢理検査してPSE証明書を発行するということは基本的にやりません。

なかには、節操ない検査機関はそういうことをするかも知れませんが、ちゃんとした検査機関は決してそのようなことはしませんし、インチキ証明書を発行しようとする検査機関はそもそもの検査内容にも懐疑的になってしまいます。

その際は、日本の検査機関:JET(一般財団 法人電気安全環境研究所)に対して、扱おうとしている電気用品の仕様を伝えて、PSE対象外であることの回答書をもらうようにしましょう。

かなり簡単な文書ですが、それでもPSE対象外であることのJETのお墨付きが得られますので、それを以て電気用品の販促などを行って頂ければと思います。

 

電気用品の安全性に関する依頼試験(自己検査)を行う

そもそもPSEが何故存在するのかをあらためて考えると、当該電気用品に関する安全性を担保するために電気用品の危険箇所を検査する為です。もちろん、それには費用が掛かるわけですが、大前提はそこにあります。

そうした際、PSE対象外だから何も検査しない、というのは理論的には間違ってもいない話ですが、電気用品である以上、使用には危険が伴うのも事実です。

要するに、PSE対象外だからと言ってそのまま当該電気用品を販売していても、取次業者は購入してくれないでしょう。試し購入程度であれば良いかも知れませんが、本当に安全かどうか分からないモノであれば、大量購入を渋るのは当然です。

先ほども書きましたが、もちろん製品にもよりますが、いずれにしても複雑な製品になればなるほどむしろPSE対象とあった方が試験が出来て取引先への信頼度が増すので、事業者にとっては都合が良かったりしてしまうのです。

そういう際は、例えば、検査機関に依頼試験として製品の安全性をレポートしてもらい証明書をもらうというやり方もありますし、例えば、先ほどのJETに関して、S-JET認証という製品の安全性の高さを証明してもらう試験もあります。

このS-JET認証の他に、JQA(一般財団法人 日本品質保証機構)によるS-JQA認証や、S-UL Japan、S-TÜV Rheinlandなど全部で4つのS認証があります。これらについてはいずれ別の機会でご説明したいと思います。

引用:電気製品認証協議会_Sマークの意味は

 

しかし、後者のS認証は認証後の信頼度はかなり高まりますが、一方で難易度もとても高く、費用も相応に発生するので大手メーカーなどでないと実現が難しいのも事実です。

まずは安全性を担保するという意味では、海外などの検査機関に依頼試験(安全性検査)を実施する、というやり方もあります。

電気製品を輸入する際はそういった広範な視野を持って取り組んで頂ければと思いますし、不明点についてはお気軽にご相談頂ければ幸いです。

 

PSE対象外が以降永続的に継続するかは不明なので定期的な確認は必要

最後に繰り返しますが、PSE対象有無の判断は永続的に変わらないモノではありません。先述のモバイルバッテリーが良い例です。

時代の流れ、製品の進化などによって適宜変化していきます。

一度、PSE対象外であったとしても、後々変更になる可能性もあるので、たまには経産省の情報を覗いてみたり、当社のような代行会社などに相談されてみたりすることをお勧めします。

そういった細かい情報収集が事業をする会社の繁栄に繋がると当社では考えております。

 

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