【認証Q&A⑪】PSE、PSCなど認証の対象有無の考え方についてお答えします
こんにちは。管理人の堀です。
当社では、特にご自分で調査されることなく、○○製品は認証対象になりますか?という漠然としたお問い合わせには原則的にお答えはしていないのですが、もちろん、ある程度後調査されたうえで、それでもわからない部分に関するご質問にはお答えしています。
調査をされていないということは、そもそも認証されるご意思がないことがわかりますので、当社としてもそこにはお付き合いしないという方針です。
一方で、いろいろお調べいただく中で、法解釈の問題などで認証対象有無がどうしてもわからないことあるというお客様の質問に対しては、当社の経験を踏まえてご回答させていただいております。
実は、お客様がわからないことをいいことに、不必要な認証を提案する会社もあったようで、特に、中国の検査機関と直接やり取りしていた方から相談いただいたことがありました。
当社としては、根拠もあるうえで、その検査機関が言っている検査は間違いなく不要だと申し上げたのですが、やはり念の為ということで認証されていたようでした。
そこの最終的なご判断はお任せいたしました。
この「念の為」というのが曲者で、たしかに特に中国などで日本の規格を意識しないで作られたものの中には、明確な区分がわかりづらい、いわゆるグレーゾーンのものはあります。
確かに、後から経済産業省などの省庁やユーザー(タレコミ)からいろいろ言われるリスク・コストを考えれば、最初から認証してしまっておくというのも一つのやり方です。
ただ一方、条文などで条件をしっかり調べれば、認証の是非が判断できるものはたくさんあります。
当社としては、なるべく無駄な認証はしないというスタンスで、お客様に対しては出来る限りリーズナブルなトータルコストの認証をご提案しています。
また、論理的に認証不可であると説明できるものであれば、然るべき検査機関に依頼して、「この製品のこの部分は認証不要である」ということの証明書を発行してもらうサービスも行っています。
もちろん、それについて法的根拠などはありませんが、少なくともちゃんと調べて対応しているということの証明にはなります。
今回の内容は認証是非の判断に関するものが多く、管轄省庁などに直接確認したものを事例として掲載しています。
しかし、基本的に製品ごとに見解は分かれますので、今回の内容をそのまま判断材料とされず、ご自分の商品で似たような例がある際は、必ず自ら管轄省庁などに確認されるようにしてください。
当社では、今回の内容について、最終的な責任は負いませんので予めご承知おきください。
Contents
ゴルフ用の長距離測定レーザーはPSC対象ですか?
結論から申し上げると、PSC対象外と考えられています。
主に工事現場や家庭用DIYなどに使われる距離測計レーザーのPSC対象有無については、ネット上でも話題になっており、業務用であれば対象外、一般生活用であれば対象、などという議論をよく見かけます。
基本的に、距離測計レーザーはPSC対象になるレーザー光線(波形)を発しています。その中で、
PSC(消費生活用製品安全法)は、
主として一般消費者の生活の用に供される製品を「消費生活用製品」と定義しているため、
用途が業務用であるか一般生活用であるかで、判断が変わってくるとされています。
ただ、業務用と言えども、それを一般生活でも利用する可能性があるのであれば、やはりPSCは必要になってくると考えられます。この点の判断は、商品ごとに経産省に確認した方が良いでしょう。
話を戻して、ゴルフ用の長距離測定レーザーは、そもそもPSC対象外のレーザーを発しているため、対象外という見解です。ゴルフ(ドライバー)の距離を測るには、PSC対象のレーザーでは距離が足りないというところです。
ただ、あまり距離が長いものは航空法が絡んでくる可能性があるので、その点は国土交通省などにも問い合わせてみてください。
なお、最近では、ゴルフのパター用の距離測計レーザーが登場しており、こちらはPSC対象・非対象の判断が難しいので、必ず経産省に問い合わせしてください。
これは、個人的な意見ですが、ネットでいろいろ情報を見ていて、認証の対象有無を言い切ろうとするサイトが多いのですが、これはすごい危険だと思います。法的解釈は様々出回っていますが、判断するのは管轄省庁ですので、必ずそちらに確認するようにしてください。
直管型のLEDライトを検査したいのですがPSE対象ですか?
結論を言うと、直管型LEDライトは基本的にPSE対象外でしょう。
経産省の下記資料をご覧ください。
簡単に言うと、電球形状のLEDランプはPSE対象となり、蛍光ランプ形状(直管型)のLEDランプはPSE非対象です。
なお、直管型LEDランプ自体はPSE対象外であっても、設置する際に使う電灯器具が特定電気用品以外のカテゴリー「光源及び光源応用機械器具」のNo.289「エル・イー・ディー・電灯器具」に該当する可能性もあります。
ちなみに言うと、ACタイプ(製品から直接電源コンセントが伸びている)の(直管型)LEDスタンドは、同カテゴリーNo.290「電気スタンド」に該当してきますので、ご注意ください。
ということで、直管型であればLEDはPSE対象外だ!と早計せず、電灯器具はどのようなっているかも確認してみてください。
一方で、ランプの入力電流が直流(DC)であるもの(AC/DC変換のランプ制御装置が非内蔵)つまり、直流電源装置(アダプター)を使うモノ(代表例:DCのテーブルスタンドなど)は、製品本体はPSE対象外です。なお、アダプター自体はPSEが必要です。
余談ですが、自社では電灯器具は取り扱わず、直管型LEDランプのみを製造・販売するという場合は、自社の範囲ではPSE対象外となるでしょう。
いずれにしても、LEDのPSE取り扱いは複雑ですので、必ず経産省に確認してから、判断をされてください。
PSEに関係なさそう商品にもPSE表示があるのですがこれはどういうことですか?
かなりPSEのことを勉強されていらっしゃるようですね。
確かに、ご自身が販売しようとしている電化製品がPSE対象なのか気になるところだと思います。オーソドックスな確認方法として、競合の製品を試し購入してみるということがあります。
ただ、その際に気を付けていただきたいのが、購入する際は、特にAmazonでは出品者が日本人業者であるものを選んでください。中国人業者は、PSEのことをよくわからずに、電気系製品にとりあえずPSEマークをインターネット上でダウンロードして使っている場合がよくあります。
恐らく、質問者の方のケースはこの場合だと思います。
もちろん、正規にやっている中国人業者もいると思いますが、そうでない業者も沢山いますので、疑問点あれば経済産業省に問い合わせいただければと思います、場合によっては有料となってしまうかもしれませんが、当社にご相談ください。
その際は、まずは商品全体と、PSE表示部分の写真を送ってください。
それで大よそ判断することができます。
PSE電気用品区分は経産省の取り決めのためモノであり、申請者は特に気にしなくても大丈夫ですか?
気にしなくて良い場合と、気にしなくてはいけない場合があります。
気にしなくていけない場合についてもう少し具体的に言うと、電気用品区分によって試験項目が変わることがあり、そうすると否が応でも対応しないといけません。
まず、気にしなくて良い場合を例示します。
特定電気用品以外の341種類の電気用品区分がありますが、
カテゴリー「電熱器具」の中に、
No.105「電気コーヒー沸器」というものがあり、一方、
カテゴリー「電動力応用機械器具」の中に、
No.173「コーヒーひき機」というものがあります。
当社がお問合せを受ける際は、大体、「コーヒーマシーン」という言い方で質問されるのですが、その段階では上記どちらに分類されるかは判断できません。
ただ、こういう場合において、電気を使って動作させるという基本的なPSEの試験項目は同じですので、まずは試験を行い、経産省に申請を行う際に、試験内容に基づいて経産省と確認すれば特に問題はありません。
他方、特定電気用品で、
カテゴリー「配線器具」の中に、
No.44「配線用遮断器」というものがあります。
これはいわゆるブレーカーと呼ばれるもので、一定以上の電力容量が通電すると自動的に電力遮断(俗に言う「停電」)状態にする機能のことです。
例えば、一つの製品上において、他の電気用品区分のモノにおいて、この「配線用遮断器」機能が存在していると、元々の電気用品区分に合わせて2つ以上のPSE試験が必要になる可能性があります。
これをわかっていない日本の技術者がいらっしゃることも多く、例えば、「自分は、ブレーカー機能がある『電動力応用機械器具』カテゴリーのNo.102『電気マッサージ器』を作っているが、電気用品区分は1つだけで大丈夫だ」と考えています。
そうした際に、「これは、配線用遮断器にも該当するので、試験費用が倍になるとは言わけないけど、相応の検査費用と手間がかかる」と説明すると、当社がぼったくりをしていると勘違いされてしまうことがあります。
特に、今までにないようなイノベーティブな製品を輸入したい、製造したいと考えていらっしゃる方は、製品機能が斬新な分、消費者の安全の為に検査内容が複雑になることも十分に考えられますので、まずはどういう検査をするのか、そういったところも情報収集するようにしてみてください。
特定電気用品の検査は何故なかなか見積もりが決まらないのですか?
かなりマニアックなご質問ですが笑、特定電気用品の特徴をご説明するためにも取り上げさせていただきました。
簡単に言うと、特定電気用品は内部構造が複雑であり、サイズが大きい製品はもちろんサイズが小さい製品でも様々な部品が使われています。また、部品の機能も多岐に渡ります。
そして、PSE検査自体において、基本的に製品一個丸ごとを検査するわけですが、使われている部品そのものもPSE認定やUL認定されている必要がある場合も多いのです。そして、認定品であれば検査が免除されることが大半です。
検査機関側からしても、当然必要な検査は間違いなく行いますが、不要な検査はやはり手間ですし、申請者に対しても不利な話でしかありません。
なので、そうした際に、検査機関側からは「この部品のメーカーに問い合わせて、認定されているものであれば認定証を取り寄せて欲しい」というリクエストがあります。
そういうやりとりが繰り返されて、正式な見積りが決まってきます。理想を言えば、申請者側から必要となる書類をすべて揃えたうえで申請していただければ、スムーズに試験が進むのは確かなのですが、検査に慣れていない方であればそれも難しいでしょう。
また、すべての書類がそろわないと検査がスタートしないということであれば、それはそれで検査が遅くなる原因でもありますので、当社のやり方としては、大枠の見積りをご提示してご入金いただきまして、ひとまず検査を進めてしまうというものもあります。
そのうえで、一部試験免除で費用が安くなった分は差し引きご返金をしたり、その他実費などが途中発生したものに充当するという方法を取らせていただいております。
進め方は各代行会社でも違うと思いますので、特定電気用品の検査をする際はそういった観点からでもご選択してみてはいかがでしょうか?
【お知らせ】士業・コンサルタント向けコンテンツをリリース!
当社では、士業・コンサルタントの方がお客様に認証ビジネスを提案するための一連ノウハウが満載したコンテンツをリリースします。
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