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現在急増中!?AmazonのPSE出品規制の対応方法虎の巻

 2021/08/29 PSE 事例 時事ネタ 認証の原理原則
この記事は約 9 分で読めます。 3,109 Views

こんにちは。管理人の堀です。

今年の5月に、当社でモバイルバッテリーのPSE試験を代行し、経済産業省への事業届出も行ったお客様が、AmazonのPSE製品出品規制に遭った話について書きました。

AmazonでPSEモバイルバッテリーの出品ができない!?見直すべきポイントを実例から徹底攻略

 

基本的に、稀なケースかと思っていたら、今月(2021年8月)になってから、立て続けに2件の相談があり、AmazonもかなりPSE製品の出品に厳しくなってきていると感じています。

全体的な傾向はともかく、当事者としては一刻も早く解決したいが、そもそも何をして良いのかわからない、ということで当社にご相談を頂きました。

今回は、一連の背景から解決方法、注意点などを書いていきたいと思います。なお、前回記事と重複する部分もありますが、AmazonのPSE出品規制の対応の極意としてあらためてお読み頂けると幸いです。

 

INSIGHT WOKRSに相談を頂いた経緯

以前にPSE試験の代行をさせて頂いたお客様から、営業時間外にお電話を頂きました。

お客様
「Amazonから出品停止の連絡がありました。決して、当社が違反しているというわけではないのですが、必要な資料を出して欲しいとのこと。とりあえず、PSE事業届や検査レポートなどを送ったのですが、書類が足りないらしいです。どうしたらよいかわかりません。」

お話しを聞いて、前回と同じ事例だったので解決方法は何となくわかったのですが、まだ件数も少ないですし、そもそもAmazon独自の基準を把握しているわけでもないので、

当方
「100%のリカバリー保証はできません。また、当社は全額前金制なので、万一再出品が出来ない場合があるかも知れませんが、それでもよろしいでしょうか?」

とお聞きしたところ、

お客様
「構いません。INSIGHT WORKSの仕事ぶりは前回のPSE試験の際に理解しています。勝算があるのであればそれに賭けます。また、この商品は当社の売れ筋であり、Amazonからも本数を増やして欲しいと言われていた矢先でした。担当部署のシステムの行き違いもあるかも知れませんが、いずれにしても、Amazonの再出品は至上命題です。」

ということでした。

電話が終わった直後に請求書をお送りし、即座にご入金の連絡がありましたので、早速取り掛からせて頂きました。

前回記事を織り交ぜながら、何故Amazonで出品規制が増えている背景や、その解決方法などについて書いていきたいと思います。

 

Amazonで出品許可が下りない理由

昨今、中国事業者などを中心にしたPSEやPSC、電波法などの未認証商品や、偽造PSEなどがECサイト市場に溢れ、それによる製品事故などが増加している社会的状況下において、Amazon側としても規制を強めています。

しかし、その出品規制ルールは、経済産業省の法制度を用いつつAmazon独自のものであります。

まずはAmazonの状態を整理してみましょう。

 

Amazonで出品するために必要な資料・情報

必須情報

・会社名
・出品者トークン/ ベンダー ID
・Eメールアドレス(Amazonに登録のもの)
・電話番号
・出品を申請(または販売の継続を希望)するASINのリストとASIN毎の輸入業者(製造者)の名称・工場名称
・書類
※ASINごとに以下の書類を提出してください。(添付する文書のファイル名にASINを含めてください)

 

電気用品安全法(PSE)
特定電気用品以外の電気用品

1.電気用品製造事業届出書もしくは電気用品輸入事業届出書の写し(この書類には、経済産業省(METI)の受領印が押印され、型式の区分表が記載されている必要があります);または、「保安ネット」上の製造又は輸入事業の開始届出情報(型式区分表も必要です)
2.定格銘板の写真(本体に表示されているもので、PSEマーク、届出事業者名、定格電圧などが読み取れること)
3.定格銘板に経済産業省へ届け出た事業者名とは異なる名称(略称)を表示する場合、経済産業省から承認を受けた際の根拠となるもの
4.すべての完成品の自主検査記録(全数の検査であることが分かるもの)
引用:Amazon セラーセントラル_Amazon.co.jpでの電気用品の出品について

 

いろいろと認証の仕事をしてきて、PSE製品を扱うのであれば、どれも揃えて当たり前の資料・情報ばかりですが、Amazonの出品規制に関して、ポイントとなるのは、「4.すべての完成品の自主検査記録」であることはわかっていました。

 

PSEで求められる自主検査とは?

PSEは取得すれば終わりではなく、生産された製品1つ1つについて経済産業省が取り決めた検査内容を実施し、その内容をレポートとして保管しておく義務があります。

自主検査の概要についてはこちらをご参照ください。

引用:経済産業省_電気用品安全法_届出・手続の流れ_自主検査

 

今回ご相談があったのは、PSE特定電気用品以外の上記で言うと、「その他」に該当します。
検査項目として記載されているのは、「外観」、「絶縁耐力」、「通電検査」です。赤線箇所。

外観検査
文字通り、製品が規定通りの外観をしているかの確認です。

 

絶縁耐力
簡単に言うと、その製品に触れる・使用することで、ユーザーが感電しないかどうか、規定通りの電力構造になっているか、製品外郭となっているか、などの検査です。

 

通電検査
電気を使用して動作するかの検査です。

 

これらの検査・検品を行った上で、製品を出荷・販売していることを事業者は確認する義務があるのです。しかし、通常、検査などは輸入事業者自身で行うものではなく、生産工場が行うことが一般的です。

その理由として、検査をする為にも、設備が必要になります。輸入販売の事業者はそうした設備を持っていないことが大半ですので、効率面などを考えると工場が行うのが妥当でしょう。そして、輸入事業者は、工場が行った自主検査の記録を保管しておけば良いのです。

 

自主検査レポートは書式自由で、全数記録は不要

ここで解釈の問題となりますが、

検査(記録)は全数必要ですが、自主検査レポートは全数分必要ありません。

という回答を経済産業省からもらったことがあります。

例えば、500個の製品を生産・輸入した際、500枚のレポートを保管するというのは、現実的ではありませんので、レポートは1枚に集約して輸入事業者が保管し、(全数分の)検査データそのものは工場で保管してあれば良い、ということです。

なので、Amazonが要求する「4.すべての完成品の自主検査記録」というのは、少し解釈がズレているように思います。この辺がAmazonの独自ルールだと考えます。

ただ、この辺については、Amazonに説明をすれば納得してもらえたという手応えもありました。

 

【必見!】自主検査レポートと実際の内容の●●が出来ていない

Amazonが要求する資料を全て提出したお客様ですが、Amazonからの回答は、

自主検査レポート内容に不備がある為出品をお受け出来ません。また、不備理由は安全管理上お伝え出来ません。

と一点張りということでした。これは前回も同じです。

前回のお客様の際は私もどのようにすれば良いかわかっていませんでしたが、一度やったので、同じことを再現しようと考えました。

ポイントをおさらいすると、

通常、輸入事業者が保管する自主検査レポートは全体の取りまとめ表であり、個別の検査内容は記録されません。

Amazonとしては自主検査レポートの内容(テキスト)が本当に正しいかを確認したいのではないか、となります。

以上から、生産工場に対して、日本のPSE自主検査ではどのようなことを行う必要があるのかを伝え、検査行った際の写真(個別レポート)を送るように指示しました。

 

今回のお客様は、中国現地に工場と橋渡し役になる日系人の方がいらっしゃり、すべてその方を通じて連絡を行っていました。正直なところ、そういった方がいらっしゃらなければ、工場に直接指示をするのは難しいかも知れない、とも思います。

出来上がった資料をお客様に提出し、お客様も即日Amazonに再申請。それから3営業日くらいに無事に出品許可がおりました。

お客様からお電話を頂きまし、大変喜ばれている様子で私自身も嬉しくなりました。

前回と合わせて複数回うまくいったので、恐らくこのやり方で大丈夫なのではないかと思っています。もちろん、他のやり方もあるでしょうから、1つの方法として覚えておいて頂ければと思います。

 

Amazonの対応が100%正しいとも言えない

前回も書きましたが、基本的に自主検査レポートと検査内容の紐付けは、決して経産省から求められているわけではありません。あくまでAmazonルールです。

また一方で、当社が以前に電動ドリル(PSE特定電気用品以外)を出品した際に、付属するリチウムイオン畜電池のPSE証明書各種に加え、製品のMSDS(安全データシート)の提出を求められたことがありました。

その際は、自主検査レポートの提出は要求されませんでした。

ハッキリ言って、自主検査レポートもMSDSも販売時における必須資料ではありません。この辺も販売モールの一存で決められてしまうものであり、そこで販売を行う以上はそのルールに従わざるを得ないのも事実です。

ただ、率直なところ、先述したようにモール(Amazon)側の担当者もわけがわかっておらず、とりあえず規定通りに出品者に要求するだけなので、販売者側が理論武装して、相手側に振り回されないようにしていきましょう。

そうしないと、時間だけが経過して、販売チャンスを逃してしまうことになってしまいます。

法律(ルール)は覚えて使い倒すくらいがちょうど良いのではないかと思います。少なくとも認証に関するルールは当サイトでしっかり学んで、貴社ビジネスにいろいろとご活用頂ければと思います。

 

 

Amazonに出品しているPSE製品が出品規制になってしまった方は、出品再開に関するアドバイスをさせて頂きますので、お気軽にご連絡ください。

 

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