ランチェスター戦略の勘違い!一点突破を使わないブルーオーシャン戦略とは?
こんにちは。管理人の堀です。
巷ではランチェスター戦略というものへの信仰は根強くあります。
簡単に言うと、1つのモノ・商品に経営資源を集中させ、そこで一点突破をして企業を成長させようという経営理論です。
特に経営資源が少ない中小企業にとって、ランチェスター・一点突破理論は必須であるとも言われています。確かに、中小企業もしくは起業したての人があれもこれもと手を出すことは物理的に難しくもあると思いますが、一方で、絞り過ぎた商品展開ではそれこそお客が少ないままで、成長を阻害することになります。
教える方がうまくないのか、教わる方の理解力が乏しいのかわかりません。ビジネスにおいて大事な一点突破の考え方について書いていきます。
Contents
日本人が間違えている一点突破思考
日本人は極端すぎるのかもしれませんが、「一点突破」というと本当に一点しか扱おうとしない人が多いです。
専門店主義こそが美徳であり、いろいろ扱っているのは邪道という考えをしている人たちを数多く見てきました。
大事なことは専門店であろうと、いろんなものを扱っていようとお客様が買ってくれることです。商売のスタイルにこだわってしまいビジネスの本質を見失ってしまっている事業家は多くいらっしゃいます。
またいろいろ扱っていて中途半端だから売れないというのは間違えていて、そもそも売れないものばかりを集めているから売れないのです。また、専門店化して高級なものを扱うから売れるというわけでもありません。
ビジネスの本質として、一番大事なことはお客様が欲しがる売れ筋の商品を扱うことです。そして、その売れ筋を見つけて、自社で販売するルートの確保や販売オペレーション作りこそがビジネスなのです。
しかし、一方で、売れ筋一つだけを扱っていてもビジネスは大きくなりません。単純にどんな売れるものであっても一つだけではお客様の数・購買点数に限界があるからです。
それなのに、商品をたくさん扱うのがめんどくさいのか、売れ筋以外に手を出してはいけないというこだわりがあるのかわかりませんが、単品だけで勝負しようとする人が不思議なことに多くいらっしゃいます。
そしてそれを「ランチェスター・一点突破」と言っているのですから、手に負えません。ビジネスの考え方が少しずれてしまっているように感じます。
一点突破だけど多くの商品を扱う
問題なのは「一点突破」を勘違いしていることです。
正直、私もランチェスター戦略の原書をあたったわけでもないので詳しいところまではわかりません。しかし、勘違いなのかそもそもそういう教えなのかは判断できませんが、少なくともランチェスターと称して、一点突破をしようとしている人の多くは戦略を間違えています。
確かに、経営資源が少ない中小企業・個人事業主は業態を絞って行うことは必須です。例えば、小売り販売業やって飲食業やって、レンタカー業など関係ない業態を複数まとめてやることは不可能です。
そういう意味で、どれか一つの業態に絞った一点突破は必要だと言えます。ただ、ここで勘違いしてはいけないのは、例えば、売るものも一つに絞った一点突破にしないことです。
一例を挙げると、ペンを扱いたいので「ペンショップ」を開くというイメージです。確かにペンそのものは複数あるかもしれませんが、ペンだけしか売っていなかったらお客様は大変不便です。人間の生活においてペンだけが必要になることはほとんどなく、ペンと一緒にノートを買ったり、定規を買ったり、その他の文房具を揃えるのです。
仮に上記のような文房具屋をやるとしたら、文房具というのが一点突破であり、ペンだけでは本当の意味で一点突破とは言いません。単なる品数不足です。
中には、ペンだけといったように単品のみを扱って成立している店舗もあるかもしれませんが、そういうお店は、都心の一等地にありお客さんの数も多く、広告費も相応に使っているので達成できるビジネススタイルです。
要は資本が大きいのです。これを中小企業や一事業者がまねをしようとすると、かなり痛い目に遭ってしまうでしょう。
上海で開催された工作機械・広告POP関連展示会①
○○を主力にした△△ビジネスという考え方
「餃子」という日本人のみならず外国人の方も含めて人気のある売れ筋のコンテンツ(商品)があります。その餃子を看板にした飲食店を見かけますが、繁盛店・チェーン店と一店舗のみ成立している店舗と何が違うのでしょうか?
餃子の味でしょうか?それはもちろん店舗ごとに違うのは当たり前ですが、目から鱗が落ちるくらいに劇的に違うかと言えば、残念ながらそこまでの差はないと思います。中には、餃子マニアの方が店舗ごとの味の違いを楽しむという光景はよくありますが、それと店が繁盛することとは別物です。
どんなにおいしい餃子屋でも一店舗のみで経営しているということは、正直言って、そこまで餃子で大儲けはしていないということです。大儲けしていたら、2店舗目3店舗目…、どんどん拡大していっていることでしょう。
一方で、当然不味くはありませんが絶品に美味しいかと言われれば決してそうでもない餃子屋が繁盛しているパターンがあります。
それは餃子を主力にした中華レストランです。
具体名を出すのはあれですが、「餃子の○○」「熱烈中華食堂〇〇屋」といったお店です。
これらは餃子をメインに他の中華フードをラインナップしています。お客様は決して餃子だけを食べたいのではなく、炒飯やラーメン、レバニラ炒めなどを一緒に食べたいのですし、お酒も飲みたくあります。場合によっては餃子を抜きしても注文できます。
もちろん、「餃子の○○」は中小企業ではありませんが、それでも「中華レストラン」という業態で一点突破をしています。中華に加えて和食や洋食などはやっていません。「餃子の○○」で、刺身やパスタは出てきません。
当社でも、PSE、PSC、電波法などの認証を扱っていますが、認証だけを扱っているわけではありません。認証とは関係ない中国から仕入れた商品の販売も行っていますし、中国ビジネスをやりたいお客様のサポートなども行っています。
認証だけに特化してしまうとお客様の数は限られてしまいます。一方、自社で販売も行い中国ビジネスそのものも手掛けていると、ビジネスの幅はグンと広がるので、結局、認証のお客様にも有利なお話が提供できる可能性もあるのです。
当社の業態は、認証を主力とした中国(輸入)ビジネスです。いろいろやっているようで、すべて中国に絡めた仕事をしています。日本国内の工場で何か作らせるということはしていませんし、それこそ国内で飲食店などもやっていません。
ビジネスがうまくいっていない、成長できない方たちの共通点として考えられるポイントの1つは、最初から手広く何でもやり過ぎてしまうか、ランチェスター戦略と言って限られたものに固執してしまうか、大体どちらかです。
前者は広すぎるので手が回らなくなってしまいますし、後者はそもそも客数が少なくなりそこに経営(時間・お金など)資源を注いでも、リターンは大きくありません。
取り組む事業範囲を見定めて、その中で出来る限り多くの商品・サービスメニューを取り扱う適正なビジネスを行っていくことが必要かと思います。
当社もよく認証だけに特化したら?と言われるのですが、それだけですとお客様は減ってしまいますし、中国ビジネスという業態の中でまだまだ取り組めることは多いと考えています。少なくとも、そのくらいは仕事しないといけませんね。
規模が大きい方が一点突破もうまくいってしまう
中小企業の方こそが一点突破がうまくいく、という言い方をよく聞きますが、本質的なところとしては、経営資源の少ない中小企業は一点突破しかできないのです。ただ、経営者・事業者が自分の好きなようにビジネス内容が決められるスピード感と決定力が大きな強みです。
社会のニーズに即したビジネスを見つけたらすぐに始められる行動力があるからこそ、中小企業には一点突破が有効です。
率直なところ、大手企業にそのくらいの行動力があったとしたら、一点突破も大手企業の方が有利でしょう。理由は簡単、人もお金も有しているからやろうと思えばどんどん進められてしまうからです。ただ、組織の論理で新しいことをやるにはいろいろ難しいこともあるでしょうから、一点突破をする大手企業はあまり多くありません。
大まかにまとめると、
中小企業の方こそが一点突破がうまくいくが、
経営資源の少ない中小企業は一点突破しかできない。
ただ、絞る範囲は単品ではなく業態にする。
その業態の中での扱う商品によってブルーオーシャンが生まれてきます。
ということになります。
上海で開催された工作機械・広告POP関連展示会②
まずは話題になっているビジネスに手を出してみる
最後に、ではどんな業態を扱えばよいのか?
以前にも書いたように、経営の原理原則で教えてくれる、Every Day(毎日)、Every Body(誰でも)の商品・サービスに関するものを取り扱うのが有利かと思います。老若男女すべての人が毎日使うものを扱えば、ビジネスは枯れることはありません。
当社の中国ビジネスで言えば、中国ビジネス自体はEvery Day(毎日)、Every Body(誰でも)の商品・サービスではありませんし、老若男女みんながやるわけではありません。ただ、中国ビジネスによってもたらされる商品・サービスを使うシーンや人はEvery Day(毎日)、Every Body(誰でも)です。
旧来型のビジネスは飽和化していると言われ始めていますが、確かにそうかもしれません。ただ、その分、5GやIoTなど新しい産業もどんどん生まれてきていますし、劇的に社会が変わろうとしている昨今、新産業は山ほどあります。
まずは、そうした新分野で関われること部分がないか、探してみるのも一つの手かもしれません。
どんな仕事があるのか、そういったことを探すところからビジネス(副業)はスタートしていきます。
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