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最近増加中のZigBee(ジグビー)、Bluetoothとの違いやその電波法認証について

 2022/08/13 事例 認証の原理原則 電波法
この記事は約 8 分で読めます。 5,106 Views

こんにちは。管理人の堀です。

ZigBeeという言葉を聞いたことがありますか?

Wikipediaによると、

ZigBee(ジグビー)とは、センサーネットワークを主目的とする近距離無線通信規格の一つ。この通信規格は、転送可能距離が短く転送速度も非常に低速である代わりに、安価で消費電力が少ないという特徴を持つ。従って、電池駆動可能な超小型機器への実装に向いている
引用:Wikipedeia_ZigBee

 

簡単に言うと、ZigBeeを搭載した機器を特定の端末で無線コントロール出来るネットワークとなります。そして、電波法認証の対象となります。

利用シーンは、ビル・オートメーション、スマート・シティ、医療、資産管理など各分野で広く使われています。

どちらかというと産業用というイメージも強いのですが、特に最近では、スマートホームでの利用も多く見られるようになってきています。これまで当社が扱った例としては、スマートスイッチ、スマート照明、スマート換気扇などがありました。

産業用分野への進出は難しいかも知れませんが、ZigBeeを活用したスマートホーム分野に進出したい企業様、特に住宅関連メーカー様は今回の話は抑えておいて頂きたいと思います。

今回も認証代行会社の視点から書いていきます。

 

ZigBeeとBluetoothの同じ点・う点

ZigBeeBluetoothいずれにしても基準となる端末を用いて、モジュールなどが搭載された各機器を操作します。そして、Bluetoothは基本的にスマホが端末なることが大半ですが、ZigBeeでは専用端末もありますし、スマホ(タブレット)を使うこともあります。

そうすると、ZigBeeとBluetoothで何が違うのか整理しておきましょう。

 

共通点

2.4GHzという同じ周波数帯(ISM帯)
低速
近距離
低消費電力
ZigBeeBluetoothより省電力と言われていますが、基本的にその部分では両者に大きな差は無く、ZigBeeはスリープからの復帰時間の短く、結果として、省電力に繋がっているという理解がわかりやすいかもしれません。

 

違う点

Bluetooth

1つの操作端末で複数、また製造メーカーが異なる場合でも同期が可能。但し、1つの端末で7種類くらいが目安。断線も比較的多いのが特長。

 

ZigBee

一方、ZigBeeは市販の搭載機器があまり多くないため、双方にZigBeeモジュールを組込むような専用機器同士でのシステム構築に向いています。端末と機器で同一の規格が必要のために、複数メーカーのZigBeeはまとめて接続できません

一方、ZigBeeは複数台同時接続を得意とする無線規格です。ひとつのZigBeeネットワークには、最大で65,536台のZigBee端末を接続することが可能で、1台のコーディネータから複数のエンドデバイスにブロードキャストでデータを送ることができる上、各エンドデバイスに個別に送ることも、逆にエンドデバイスからコーディネータへデータを送ることも可能です。

 

 

ZigBeeはまとめて1つのメーカーから導入するとお得、単発ならBluetoothがお得

両者を比較した際に、結局、どちらがお得なのかという話になると。

そもそも、販売業者側がメーカー(生産工場)に対して、製品の通信規格を要求することはなく(出来ず)、メーカーが取り決めた既成の規格を使うことが大前提であるとは思います

それを前提にした上で言うと、ZigBeeでは1つのメーカーから複数の機器を導入するのであれば、製品の購入費用も下がるでしょうし、電波法認証も1つにまとめることで費用の節約も可能になるかも知れません。

また、ZigBeeを扱うスマートホーム関連メーカーも多くあります。

一方、何かのシリーズに絞ることなく、普通に製品単体で導入するのであればBluetoothを扱うのが一般的でしょう。

 

ZigBeeと他の通信規格の領域をおさらい

マニアックな話ですのであまり詳しく理解頂く必要はありませんが、ZigBee、Bluetooth、そしてWifiやRFID、4Gなど、このメディアで登場する各通信規格が、それぞれどのような位置づけになっているのか、簡単に確認しておきましょう。

 

ここで簡単にでも理解しておいて頂きたいのが、ZigBee、Bluetooth、Wifi、RFID、4Gなど、それぞれの通信規格によって、使っている周波数帯域が全部違うということです。

以前の記事

横浜DeNAが電波法違反!?そもそも電波法を守る意味と最新動向の解説

 

そもそも電波法(技適)認証を行う意味とは?」で書いた記事を一部再掲します

日本では、航空機や医療機器、救急車、人工衛星、など数多くの電波使用機器が存在しています。それらの電波を妨害するものが存在すると、上記の重要電波機器に障害が及び、それによって社会に混乱が起きる可能性があります。

 

例えば、航空機で誤作動があったり、医療機器に計測ミスなどがあれば人命に関わる問題です。

 

その為に、お互いの電波が干渉しないように、一般ユーザーが使うような無線電波機器にも割り当てられている周波数帯域があり、その中で使用されていれば特に問題ないということになります。

 

ただ、製品が本当に割り当てられた周波数帯域の中にあるかどうか、検査しない分かりません。特に、海外製品では日本の周波数帯域を考慮していないものも多くあるので、それを確認するためにも電波法(技適)試験があるのです。

 

大量の製品のみならず、1~2個の少数だから関係ないということではありません。数少ないものでも検査をしていない製品には、どんなに危ないものがあるかわかりません。

 

電波法製品を扱うのであれば、必ず電波法試験をして日本社会の安全を確保したうえで、販売する必要があります。

 

詳しい周波数帯域の実数値まで理解する必要はないと思いますが、通信規格によって違う電波法認証をする必要があり、ご自身が扱おうとしている製品がどれに該当するのか、は理解しておいて頂くのが良いかも知れません。

そうした最低限の知識があると、認証を進めるための段取りもスムーズになってきます。

 

製品がZigBeeなのか他の周波数帯域なのか、しっかり確認しておこう(当社事例)

最後に、周波数帯域などの知識が全くなかったお客様からのご依頼で、こちらも確認に手間取ってしまい、試験開始が遅れてしまったという当社事例についてご紹介させて頂きます。

お客様から当初ご依頼の際は、ZigBee仕様のワイヤレススイッチを電波法認証したいということでした。

その場合、周波数帯域は2.4Ghzとなり、検査機関も問題無くOKでした。しかし、依頼主からは、必要な資料はすべて工場から取り寄せて欲しい、とのことでした。

本題とは少し外れますが、試験をスタートさせてから、工場が全く対応せず、中間に入っている代理店の女性も対応がグダグダ。認証をスタートさせるための関係各所の話が通じるの数ヶ月かかる始末。

当社の本来の業務とは違うのですがそれでも散々工場や代理店の女性と連絡を取り合い、ようやく工場から資料やサンプルが提出されることになった際、工場からの衝撃的な一言。

 

このスイッチはZigBeeじゃないよ。315mhzだよ。

 

技術者も相当焦りました。

そして、予定していた検査機関からは、

 

うちは315mhzの試験できない

 

と言い出す始末。最初は315mhzそのものが日本の電波法認証が出来ないのではないか、とも考えて、法律もあらためて確認することになりました。

ただ、あまりあれこれ情報を集めても逆に錯綜するだけなので、一旦落ち着き依頼主に対して、

まずは製品仕様書などの情報をお客様の方から出してください

 

と少し強めにお願いし、出てきた資料を見ると、それは端末から操作するZigBeeではなく、ワイヤレススイッチと電源ソケットの2者間のみで無線接続するモノでした。

イメージとしてはWi-Fiに近くあります。ただ、それでもWi-Fiではなく小型、低電圧、低消費電流で使うために315mhzを利用するとのことが判明。無事にその周波数帯域で電波法認証が出来る検査機関も見つけられました。

手前味噌になりますが、これは当社でなかったら、試験そのものができないままにお蔵入りするパターンだったなと感じています。

基本的にお客様なので、あまり通信規格に詳しくなくても丸投げして頂きたいと思うのですが、丸っきり違う話をされると、かえって試験が遅くなってしまうと言うことはご認識頂ければと思います。その為にも、このページを読むなど最低限の理解を深めて頂けますと幸いです。

 

 

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