キュービクル式高圧受電設備(配電盤)のJIS認証を海外(中国)で行うには!?
こんにちは。管理人の堀です。
当社では、PSE、PSC、電波法などいわゆる絶対に認証しなければならず、代替性がない強制認証を主に扱っています。必ず行わなければならない一方で、相手先が中国など海外工場の為に、そのコミュニケーションなどが難しいため、当社にご依頼が集中するという現象が起きています。
今回お伝えするJIS(日本産業規格)というのは、私が知る限り必須認証ではないですが、エンドユーザーと接する最前線の会社様が、JIS認証をされていないものは使用しない、というある種の強制認証の状態になっています。
ユーザーの安全性などを考えれば当然の話でありますが、特にJISで多いのは電気設備関連などです。
ここで問題になるのが、JIS認証は日本国内の検査機関でしか実施できない点であり、その一方、電気設備部品の原材料不足・高騰などで日本国内での調達が難しくなってきていること。
つまり、日本国内でしか検査ができないのに、日本国内で製品を完結させることが難しくなってきている、ということです。
そうした厳しい状況の中でも、当社では解決策があり、それをお客様の事例とともにお伝えさせていただきたいと考えています。
以前に電設設備の認証について書いたことがありますが、今回はその具体例。重複する部分もありますがご覧ください。
Contents
そもそもキュービクルとは!?
難しい説明は割愛して簡単に言うと、発電所から電線を経由して流れてくる高電圧の電気をビルや集合住宅(マンション)などで利用できるために低電圧に変圧する筐体型変圧器のことを指します。
ビルや集合住宅などの敷地内で誰もが一度は必ず目にしたことがあると思います。
こうした変圧器がないと電線から流れる高電圧を繋げませんので、関係業者には必須の電設設備となります。もちろんこうした筐体型以外にも様々な変圧器もありますが、今回は説明を割愛させていただきます。
電気関連の仕事をしていないと日常で目にするこのボックスも一体何なんだ?という疑問を持つかと思います。名前もよくわかりませんし、機能もよくわかりませんが、実はキュービクルという電線からの高電圧を利用できるようにするための変圧器だったのです。
キュービクルを設置する業者はJIS認証試験を受けるのが一般的なのですが、そうした今までの状況に変化が訪れているのです。
JIS認証はIEC認証で代替が可能!?
キュービクルのJIS認証の前に、簡単にJISとIEC(国際電気標準)について見ていきましょう。
まずJISについて引用します。
JIS(日本産業規格)とは、産業標準化の促進を目的に産業標準化法(昭和24年)に基づき制定される日本の国家規格です。そしてJISは、国際規格であるISO規格やIEC規格を翻訳し、作成されています。日本国内の国家規格ですが、国際規格と整合性が図られています。その理由は、物・サービスの国際取引が増大し、世界経済のボーダレス化が進んでいるからです。製品や技術は国を越えて世界共通で利用されるので、国際的な貿易の円滑化を目的として国際規格との整合化が進められています。
引用:設計を試作で効率化 筐体設計のススメ_JIS規格・ISO規格・IEC規格の基礎知識
引用中にもあったIECをもう少し詳しく見ていくと。
IECは、「International Electrotechnical Commission」の頭文字を取った言葉で、日本語で「国際電気標準会議」と訳されます。ISOで取り扱っていない、電気・電子技術分野の国際規格の策定を行っている国際標準化機関です。IECは、1906年に13カ国で発足し、「電気および電子の技術分野における標準化のすべての問題および規格適合性評価のような関連事項に関する国際協力を促進し、これによって国際理解を促進すること」を目的にしています。平成30年1月現在は、正会員と準会員を併せて84カ国が参加し、7,500以上の規格を管理しています。
引用:設計を試作で効率化 筐体設計のススメ_JIS規格・ISO規格・IEC規格の基礎知識
簡単に言うと、そもそも日本のJISというのはIECを真似て作られており、その為両者には共通する内容があるということです。
冒頭で申し上げたように、JISは法律的な強制認証ではないにしても、販売先がJIS認証を大前提としている事実上の強制。そして、JIS認証を行えるのは日本の検査機関のみということでした。しかし実のところ、そのJISをIECで代替することが可能なのです。
JIS認証が必要という背景としては、相応の試験がされているかどうか確認するため。確かに、工場出荷されたものをノー試験でそのまま使うのは危険すぎます。そこで登場するのがIEC認証なのです。
ご説明したようにJISとIECは互換性があるうえに、そもそもIECの方が本流です。製品が海外にあるためにJIS試験が出来ないのであればIECでやればよいのです。手前味噌になりますが、当社ではその手配が可能です。
今回取り上げているキュービクルに関しても同様です。中国の検査機関は世界各国の認証を取り扱っているのでむしろIECは得意。キュービクル(日本工業規格 JIS C4620:2018)をIEC 62271規格に基づいて試験しました。
上記でご確認頂けるように、IECの方がむしろ本流ですので、内容はIECの方が厳しい試験も多くあるのです。
当社お客様の事例
今回キュービクルをIEC認証で行ったお客様の事例をお伝えします。
株式会社ムロオシステムズ海外事業部長 沓野 龍夫様
「物流ソリューション事業」「流通システム事業」などを展開する企業様からのご依頼
(他社も存在する中)INSIGHT WORKSのサービスを利用した理由
当社では、コンテナ式データセンターの日本国内展開を進めており、本データセンターへの電力供給に必要なキュービクルも含めたトータルシステムとして供給しております。
コンテナ式データセンターで使用するキュービクルはコンピュータ台数、性能によりますが、機器構成をシンプル化するためキュービクルを1台とすることを基本としております。
これまで、キュービクルは日本国内で生産されJIS(日本産業規格)に基づいた試験を行うのが一般的でしたが、世界的な原材料不足の影響などで日本でのキュービクル製造に必要な原材料・銅などが入手困難になってきたこと、大型キュービクルの日本メーカからの調達は特注品となってしまうことも踏まえ、中国生産のキュービクルの採用を検討することにしました。
中国でも、実績が豊富で技術力のあるメーカを使用するため、品質上の問題はないと考えておりましたが、必要な試験をどのように手配すれば良いのかわからない中、中国に強い認証代行会社のINSIGHT WORKS社を探し当てることができました。
INSIGHT WORKSを利用してみてよかった点
一番良かった点は、キュービクル試験をIEC(国際電気標準)認証で手配してくれたことだと思います。専門的なことは省きますが、JISとIECは互換性があり、日本の検査機関でしかできないJIS認証の代替措置として、中国の検査機関でのIEC認証を提案してくれました。
恐らくこういったことができるのはINSIGHT WORKSだけではないでしょうか。
さらに、IECはJISより厳しい国際標準ですので、当社としても自信を持ってしっかりとした検査が出来たと思います。
また、検査は電設設備の試験では世界的にも有名な検査機関が実施したとのことで、工程の厳しい中、集中的に当社のキュービクルを検査してくれたのは大変ありがたかったと思います。
その他、認証をしてみた感想
堀社長とは何回電話でご相談させていただいたかわかりませんが、検査以外の資料提出や中国側との調整など色々と大変なことにもご対応を頂き大変感謝しています。
おかげ様で新規プロジェクト・事業は軌道に乗りつつあります。
引用:INSIGHT WORKS ホームページ
検査風景
IEC認証も使えるという知識は今後必要
今回はキュービクルを例に上げましたが、例えば、分電盤や制御盤などもJIS認証に該当します。一方、冒頭で申し上げたように原材料不足などで、製品を構成する部品すべてをJIS試験したもので賄うことも難しくなってくると予想されます。
つまり、一部の電気部品はIEC対応しているものを使う、というイメージです。そうすると、JIS試験を合格すること自体が難しくなる場合もあり、そもそもIEC試験でないと通せないということが発生してくるかもしれません。
新規参入を考えているいらっしゃる事業者様はJISやIECの法律的な解釈には慣れていらっしゃらないでしょうし、既存事業者様も生産を中国に切り替えるということもなかなか容易ではないと思います。特に、工場をどうやって見つけるのか?
当社ではそういったご相談にも対応しています。机上の空論ではなく実践的な知識と経験、リソースを以てお話をさせていただきます。
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数々の認証を経験・成功させてきた堀雄太が認証ビジネスに軸にして、中国・日本における新規認証ビジネスの構築の仕方や、中国ビジネスなどを紹介しています。
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