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アリババ取引が原因!?工場のサンプル不備で中国輸入・PSE認証失敗(途中断念)したお客様の事例

 2022/02/13 OEM PSE 中国ビジネス 中国輸入 事例 認証の原理原則
この記事は約 8 分で読めます。 1,386 Views

こんにちは。管理人の堀です。

当社では、認証成功(完遂)率は100%だと謳っておりますが、その大前提として、「生産工場が協力してくれれば」という条件を上げています。

工場の協力があれば、PSE(電気用品安全)、PSC(消費生活用製品安全法)、電波法など、基本的にどの認証においても必ず終わらせられる自信があります。

まずは工場からサンプル提出があり検査を始め、問題なければそのまま終わりますが、主に中国など海外工場で作られた製品は日本の規格に適していないこともあり、一部不合格、再検査が必要になる場合も少なくありません。

そうした場合、再試験対策のアドバイスは可能であり、それが当社のウリの一つでもあります。しかし、工場が言われた対策を実践して新しいサンプルを作ってくれないと意味がありません。

このメディアで何回もお伝えしていますが、認証のすべての肝は工場の協力です。

今回は、工場の協力が不十分だったために、認証を途中断念したお客様の事例をお伝えさせていただきます。

こうしたネタは会社にとってはマイナスの話でしかないかもしれませんが、ハッキリ言わせていただくと工場の非協力は当社の責任ではありません。契約上でもそのことはお客様と合意しています。

そうした上で、今後、海外(中国)ビジネス・認証を行う際のご参考になればと思い、皆様にお伝えしていきたいと思っています。

 

ご依頼の経緯

具体的な製品名は申し上げられないのですが、かなり大型機械のPSE特定電気用品の認証試験依頼がありました。実は、当社では以前に同じ製品のPSEの経験がありましたので、お問い合わせあった際にお打ち合わせをして、そのお話しをさせて頂きました。

通常のPSEとは進め方が違うことや、1回目の試験で発生した数々の困難とその時の対処方法などを共有させて頂き、お客様も是非当社に依頼したいと仰って頂きました。

そうしたご提案が出来た反面、最終的に認証が途中で終わってしまったことを考えると、もう少し踏み込んだご質問・ごて以南などが出来ていれば良かったと振り返る部分があるのも正直なところ。

「生産工場とはどのようなお付き合いがありますか?」

とお伺いしておけば、以降の問題もかなり軽減で期待のでは無いかと感じております。もちろん、これは決して当社の責任ではないとも思っています。

ここまで管理して差し上げるようになると、認証代行会社では無く、中国ビジネスのコンサルティング会社として、さらなる費用が発生してしまうのです。

なお、当社が1回目で散々苦労した大型機械も、当時のお客様が指定されたその工場(の社長)が協力的であったという大前提があります。今回はそれが無かったのが失敗の原因でありました。

 

なかなか工場からサンプル・資料が提出されない日々

ご契約も終わり、お客様と中国工場担当者(中国人)、当社のオンラインミーティングも行い、工場側にPSE検査には製品サンプルや技術資料などが必要になることを伝えました。

その際、工場からはサンプル制作には40営業日ほど発生するということを言われましたが、

「今から最初から作るのか。お客様には以前からお話ししていたのに、工場の対応は少し遅い」

と、私としては正直感じていました。

しかし、お客様の反応は、OK!OK!という感じだったので、「まあそれでいいのかな」と思っていました。ご契約書上では、工場の対応スピードや初期段階でのサンプルのクォリティについては当社は責任は持たないこと、と謳っております。

これを逃げ口上にするわけでは無いですが、本当にここだけは責任が持てないのが実情です。先ほども書いたように、当社が決して認証の「コンサルティング会社」を名乗らずに「代行会社」と言っているのもここがポイントです。

それぞれの言葉の定義があると思いますが、少なくとも当社では、「コンサルティング」はすべてお膳立てからやってあげるものであり、「代行」というのはお客様のある一定業務を代わりにやってあげることである、という決めております。

なので、サンプルを用意するのはあくまでお客様の仕事。もちろん、必要なアドバイスなどはさせていただきます。当社ではそのように定義しています。

話が逸れましたが、ご契約後も工場はなかなかサンプルを用意してくれませんし、技術資料も全然出してくれません。お客様も当社も、工場に幾度か催促はしましたが、工場担当者には急ごうという意識が感じられなかったというのが率直な印象でした。

 

やっと届いたサンプルが不備だらけ…

予定時期を大幅に遅れてようやくサンプルが、日本のお客様の元、中国の検査機関に両方に届きました。これで何とか仕事が進むと、私も安堵していましたが、

なんと、

お客様と検査機関のいずれからも、

「サンプルが動かない!」、「いきなり(EMI試験が)不合格になった!」

という声が上がってきました。

原因は、日本の技術基準や実際に日本で使用する際の電力・電圧環境などが全く考慮されていない言わば作っただけのサンプルであったこと。日本向けのサンプルを作っている割に、そういった部分が無視されていたのです。

当社としても、工場に状況を伝えてリカバリー対策を講じていましたが、

業を煮やしたお客様から

「この工場とは付き合いきれない。サンプルがこの状態なので、対策するのにも時間が掛かることは容易に想像できるし、そもそも、そこに到達するかも未知数過ぎる。申し訳ないが認証を中止させて欲しい」

と告げられました。

 

あらためてご担当者様とお話して分かった工場の実情・レベル

認証を中止するにあたって、お客様とお打ち合わせの時間を取らせていただきました。基本的には、お客様都合で中止するということをご理解いただいているので、話し合いも揉めることは一度もありませんでした。

そこでお客様が仰っていたのは、

「この工場はアリババで見つけただけで、それまで何の取引も無かった。今回の大型機械を比較的リーズナブルに製造しているということで、ビジネスチャンスを感じた。

 

サンプルを発注する際、不思議なことに(代金後払いの)アリババ経由の決済ではなく、前払いの直接入金をして欲しいと言われた。理由を聞くと、以前にアメリカ企業にサンプルを作って送ったけど、代金の支払いが無かったから、とのこと。

 

国際間での大型機械の取引きにはいろいろ問題があるのかも知れないと、言われたとおりに工場に直接前払い。しかし、後になって考えてみると、それはサンプルのクォリティが低く、アメリカ企業としても、こんなのには金を払えない、と判断したのだろう。

 

工場はヨーロッパ向けにも作っていると言っていたが、それはあくまで今後の目標のことであり、実際は中国国内向けにしか作ったことが無かったのだと思う。

 

だから、日本向けのサンプルを作る際に、電圧・電力容量など日本の技術基準がわからずに、そして、ろくに調べもせずに適当なサンプルを作ってしまった。」

 

ということでした。

あくまでお客様の推測なのでどこまで合っているかはわかりませんが、当たらずとも遠からずという感じだと思っています。

当社としても、お客様と工場の関係を聞ければ良かったのですが、まさかそういう展開になるとは正直思っておりませんでした。

そのことは率直お伝えしましたが、お客様からも「それはあくまでこちらの責任です」と仰って頂いた次第です。

これは余談ですが、もう一件、全く同じ大型機械のPSE認証を同時期に進めているお客様がいらっしゃいました。こちらは逆に出だしがかなり遅れた印象でしたが、技術者の方が直接担当してくれて、なおかつとても積極的。

返事のスピードに困るくらいにサンプル作成について質問を頂きました。結局、こちらは最後まで順調に進んでいくことになります。

お客様の話によると、認証最中から日本で大口の契約があるなど、絶対に失敗できないプロジェクトになったので、工場の積極的な姿勢と当社のサポートに大変感謝頂きました。

工場の対応次第でこうも違うのだとあらためて感じています。ちなみに、このお客様も決して中国に行くわけでも無く、ネットなどで見つけた工場だったようですが、そういう意味では大変ラッキーだったと思います。

 

新しく中国工場と付き合う前にはある程度の調査をしましょう

最後に、繰り返しになりますが、海外工場でPSEや電波法などの認証試験をする際には、相手がどういう工場なのかしっかりと調べるようにしましょう。

以前の記事で中国工場でのOEMサポートをさせて頂けるということを書きました

PSE認証・電波法認証などをする前に!中国ビジネスでのOEMのやり方5つのポイント【OEMパートナーのご提案】

 

実は、OEMだけではなく工場の生産体制・能力などを確認することに重点を置くこともできます。現在のコロナ禍で中国に直接行けない方がほとんどでしょうが、当社では、中国現地に工場視察を請け負ってくれる日本人のリソースを有しています。

認証の進みを運・不運を任せること無く確実に進めるためには、認証とは違う業務になるので別途費用が発生しますが、こうした事前の下調べも必要になってきますので、ご相談・ご用命などありましたら、お気軽にご連絡を頂ければと思います。

 

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