ちょっと待った!そのままじゃ折角のPSEも台無し!?海上輸送でよくある事故事例を大公開
こんにちは。管理人の堀です。
以前に(海外での)許認可認証は貿易ビジネスの一部であり、より確度の高い貿易ビジネスを実践していくためには、貿易実務、特に輸送手配をしっかり学ぶ必要があるという記事を書きました。
自分で言うのもなんですが、これは全くその通りだと思っています。貿易業務に携わっているにもかかわらず、貿易実務のことを何も知らない方は、一回依頼すればなんでも無事に自分に思った通りにモノが届くと信じています。
ここは日本じゃないんですよ(笑)
と優しく諭して差し上げたい気分です。
古来から貿易は儲かるものなのですが、ただそれに携われるのは一部の特権階級や政府から認められた人間、ごく一部の超気合の入った英傑のみでした。またそこには、難易度の高い貿易知識・スキルが求められていました。
しかし、時は移り変わりインターネットの発達などで個人でも簡単に貿易業務ができる時代になってきました。昔は、代金の支払いさえもコルレス銀行を経由しなければならないなどありましたが、今は普通に銀行への直接支払いやインターネット決済も可能です。
そうした中、日本に居ながらにして欲しい・仕入れたい商品があれば、何もかもがオートメーション化で手に入ると錯覚してしまいますが、どんなに時代が変わっても現場で人が作業していること自体は変わりません。
その現場の実務を知らないで、ボタンをワンクリック!メール1本!ですべて完了と思い込んでいる方のなんと多いことか。
事故(不具合)事例というものは多岐に渡りますが、今回は当社のお客様の事例をもとに解説していきたいと思います。
Contents
海上輸送中に破損!?その実態は?
許認可認証のご相談を頂いているお客様から、輸送についてもアドバイスしてほしいというご依頼がありました。
お話を聞いていると、中国工場で生産されたかなり大きな割れ物系の海上輸送を工場に丸投げしたとのこと。お客さんからすると、海外輸送に慣れている感じのその会社に依頼すれば、適切に送られてくると思っていたとのこと。
ちなみに、それまでの日本への輸送はその方のみとのことです。
送られたてきた荷姿をみると裸同然の状態!!そして、コンテナスペースを節約しようと思ったのか、横積みで輸送。普通に考えて、この商品であれば平積みであるのが基本。そして、届いたら見事に破損ということで、納品先からクレームの嵐。。。
加えて、悲惨なことにこの事業主の方は貿易保険の存在も知らず、、、商品が壊れていても何の補償もなく、まさに泣き寝入りでした。
さすがに、これはおかしいと思い、工場側に問いただしてみても、
送る前は完璧な状態だった
とのこと。そりゃそうだ、ですよね。送る前から壊れていたら大問題です。
見る視点によれば、
ちゃんと指示しない依頼主が悪い、
ちゃんと送らない工場が悪い、
いろいろ言えますが、結果として商品は壊れていて、保険もないので損するのは依頼主です。そうした事態を防ぐには、依頼主(事業主)側が賢くなるしかありません。
ちなみに、この事業主さんは、「安くしろ」が口癖でかなり頑固な方。こんなことばかり言っているので、工場側も交渉・確認するのが面倒くさくて、安く済むように適当に送ったのかもしれません。
まさに口は禍の元というか、海外ビジネスにおいてもちろん値段交渉は必要ですが、過度な要求は相手に面倒くさがられるだけ。だったら、自分が日本国内で高く売る方法を見つけないと相手に愛想を尽かされることになると気づいた方がよいでしょう。
輸出に慣れていない工場は結構適当に送る
中国工場と一口で言っても、主に中国国内向けに生産している工場、主に(中国から見て)海外向けに生産(輸出)している工場、両方に向けて生産している工場など多岐に渡ります。
工場の輸出実績をちゃんと確認しないで日本に送れと言った場合、ちゃんと送ってこれるかどうかは未知数です。
中国工場の良いところでもあり、悪いところでもあるのですが、わからないものはとりあえずやるというポジティブ(?)なマインドがあります。なので、自分たちが輸出に慣れていないとしても、とりあえず送ってきます。
これが吉と出るか、凶と出るかは、まさに運次第です。
今回のお客さんは、不運にも凶と出てしまったのです。
壊れ物系を送る際は木箱は必須、貿易保険も必須!
と言っても、そもそもとして(巨大な)壊れ物を海外輸送する際は、木箱などが必須です。裸(同然)で送ろうとする方がどうかしています。
木箱のイメージ
ただこれは中国人だからというわけではなく、当社のお客さんで、日本国内工場のお客さんが試験をする中国の検査機関に大型の機械サンプルを送ろうとした際に、経由する当社に対して裸で送ってきたことがありました。
その際は、当社で段ボールを特注して、マットなどを同梱して輸送手配をしました。要するに、国籍問わず、海外輸送に関する知識があるかどうかだけの問題です。
なので、工場に海外輸送の経験が無さそうであれば事前に確認する必要はあるでしょうし、そもそもどのような荷姿で送ろうとしているか写真を送ってもらって確認すべきでしょう。
そうしたこともせずに、単に「安くしろ、安くしろ」という人はある種の病気ではないかと感じてしまいます。
また貿易保険の存在を知らない人もかなり多いのですが、一品目が高価なもの、輸送中に壊れる可能性が高いものは貿易保険を掛けるのが常識です。保険自体はモノにもよりますが、数千円レベルから可能です。
基本的にこういったことは工場から提案はないでしょうから、事業者が自ら確認して手配をするのか、工場側に委託するのか、その判断は必要になってきます。
工場に輸送の丸投げ禁止!厳禁!
海外輸送は実のところ確認すべきことがたくさんです。国内でヤマトや佐川急便に頼むのとはわけが違います。
少なくとも上記のようなリスクもある中で、工場に丸投げというのが信じられないのですが、それも結局知識の問題となってしまいます。
中には、それは海外輸出をする工場が負うべき手間であるという意見も理解できます。しかし、作業をやらせるとしても、相手からの自発的な提案を待つことも大変リスクです。また、工場に指示を出すとしても、何を言えば良いかわからない、ということもあります。
結局解決策として、事業主が自分で学ぶ必要があるのですが、どのように学べば良いのかわからないということであれば、専門家(現場でいつも業務をしている人)に確認するしかありません。
その費用が高い!という人は、一度痛い目に遭うしかないのでしょうが、少なくともこのメディアで読んでいただいている方は、そもそもとしてそういうリスクがあるので、最初の一回くらいはちゃんと専門家に相談したほうが良いと理解いただけると思います。
仮に、「木箱が重要なんだ」ということを読んで理解したとしても、具体的にどのような木箱をどの業者に発注すればよいかわからないでしょう。また、工場に対しても「木箱を用意して」といっても、自分たちで本当に腹落ちしていなければ、正確な対応は難しくあります。
結局、現地(中国国内)で中国語を使ったコミュニケーションが必要になるのです。
何もせずに海外からモノが無事に届くと思わないマインドが重要!
海外から仕入れた商品に(輸送中の)傷があったなどという事業者の方も多くあります。もちろん、中国工場においても問題なく届ける義務はありますが、忘れていけないのは相手は海を挟んだ海外にいて、その気になればすぐに連絡を途切れさせられること。
そして、日本自体が大して大きいマーケットではない(=どんなに頑張ってもあなたの会社は小規模事業者である)ということです。つまり、決して、上顧客ではないということです。
これは決して、海外ビジネスをやめろということではなく、相手はそのつもりでいるという事実を受け止めて、そのうえでどのようにビジネスを行い、自社に利益をもたらせられるのかという視点が重要ということです。
単に自社単独の都合で安くしてほしいという人は、そもそもビジネスをしないほうがよいでしょう。
つまるところ、全自動で済ませられるものは何一つなく、特に海外ビジネスにおいてすべては自分で確認する必要があるということを覚えておきましょう。そのうえで、自分のできない業務は外注するようにしてみてください。
金が無いと言いながら、すべて丸投げしようとする事業者にはいつも驚かされています。
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