PSEマーク対象外!?【必見】最近のPSE違反ニュースなどをピックアップ
こんにちは。管理人の堀です。
前回記事では、タイガー魔法瓶の電気用品安全法(PSE)違反事例について、内容を深掘りした形で紹介をさせて頂きました。
その際は、タイガー魔法瓶1社を取り上げる形になりましたが、実際世の中には電気用品に関する違反や事故などが多数発生しています。
今回はPSE違反に関する最新の記事を複数ピックアップしていきたいと思います。
Contents
モバイルバッテリーの発火事故
モバイルバッテリーの発火事故は以前から散々話題になっていました。そもそもモバイルバッテリーはPSE対象ではなかったのですが、近年事故が多発するにつれ、経済産業省が2019年2月からPSE対象とした経緯があります。
引用:経済産業省ウェブサイト「電気用品安全法_モバイルバッテリーについて_1.概要」
その点については下記記事もご参照ください。
それで今回の記事でも、非純正(PSE試験を受けていない)モバイルバッテリーによる製品事故について記載されています。
市場に出回る電気用品の取締りなども行っている独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、非純正バッテリーの事故事例を3月30日に発表しました。
主な事例として、
【事例1】電気掃除機の非純正バッテリーによる事故
電気掃除機のバッテリーパックを充電中、出火し、周辺を焼損した。電気掃除機に取り付けられていた非純正品のバッテリー内部で短絡が生じて異常発熱し、焼損したものと考えられる。
【事例2】電動工具の非純正バッテリーによる事故
ネット通販で購入した電動工具用バッテリーパックを充電器で充電していたところ、異音がして出火し、周辺を焼損した。非純正品のバッテリーパックに、充電中の電池のバランスを検知する回路がない構造であったため、電池が充電されすぎてしまい、異常発熱し、焼損したものと考えられる。
加えて、
上記の事故事例を始め、NITEに通知のあった非純正バッテリーの製品事故情報は、2017年から2021年までの5年間に134件あり、これらの事故はすべて製品や周囲が焼損した事故だという。直近の3年間は事故が多く、毎年家屋の全焼事故が発生しているという。
また、偽のPSEラベル表示をする事業者も後を絶たないよう。
写真は非純正バッテリーのコピー品という悪質な物。電気用品安全法の技術基準で求められている事項を満たしていないにもかかわらず、基準を満たしていると誤認させるためにPSEマークを表示
引用:家電Watch_安価な非純正バッテリーに落とし穴、火災で家が全焼する事例も
当社も中国工場が保有しているモバイルバッテリーの検査レポートが怪しいというご相談は多く受けますが、大体その内容は間違っています。また、上の写真のPSEラベルも輸入事業者名が書いていないので偽物だと一発でわかります。
モバイルバッテリー(電池)はかなり危険なので、PSE検査などしっかりと所定の検査・手続きを行って販売するようにしてください。
テレワーク普及が原因!?配線器具の発火事故が増加
上述した製品評価技術基盤機構(NITE)による報告をもう一件。
家電の電源プラグに耐火性のある素材を使うことが2016年に義務づけられ、事故は減少傾向にあったが、20年から増加に転じた。NITEは新型コロナでテレワークが普及し、自宅で電気器具を使う機会が増えたことが背景にあるとみている。
NITEによると、16~21年の6年間にメーカーや警察などから通知された配線器具の発火事故は全国で250件。4人が死亡し、1人が重傷、22人が軽傷を負った。
(中略)
16年に63件あった発火事故は年々減少し、19年には23件まで減った。だが、20年は一転して26件に増え、21年も32件に増えた。
引用:朝日新聞デジタル_配線器具の発火事故が2年連続で増加 テレワーク普及が影響か
コロナでテレワークが進み、家庭内で接続する電源タップや延長コードなどの増加が、事故の原因になっているのではないか、という内容。
テレワークと事故の関係性は正直よくわかりませんが、いずれにしても配線器具による事故が増加しているということで、少なくとも中国事業者の怪しい配線器具は使用しないように気を付けたいものです。
ACアダプター 2品目 電気用品安全法に抵触
ボルト締結機器、トルク管理機器などの総合工具メーカーのTONE株式会社による、「LEDライト付属アダプター」「トルクチェッカ付属ACアダプター」製品において電気用品安全法(PSE)に抵触していたことが判明したため、回収・交換の対応に関する記事。
参照:ACアダプター 2品目 電気用品安全法に抵触
メーカーのウェブサイトにもお詫び記事が掲載されていました。
TONE株式会社_ACアダプター無償交換のお知らせ
それによると、2015年以降に販売されていたLEDライトとトルクチェッカに付属していたACアダプターに、認証機関及び販売事業者(輸入事業者)の名前が記載されていなかった、電気用品安全法(PSE)の所定手続きを行っていなかった、という内容です。
これだけ時間が経っている話しなので、今更、製品を送り返してくるユーザーはいないかも知れませんが、ネット上では記事が残り続けるので、企業の信用力という面では痛手になるでしょう。
特に、これが大きな企業になればなるほど、コンプライアンスでも問題になってくると考えられます。
PSEシール貼り忘れ事件
アメリカのコンピュータネットワーク機器などのハードウェアを製造販売しているネットギアの日本法人であるネットギアジャパン合同会社が、同社が販売する2種類のACアダプターにPSE表示をしていなかったことを公表。
購入したユーザーに対して、PSE表示ラベルのシールを郵送するという事件。製品のPSE手続きは問題無くクリアしているものとして、ユーザーに対してラベルシールの貼付を呼びかけています。
参照:JIJI.COM_RBK352-100JPSおよびRBK353-100JPSのPSEラベルシール送付対応開始について
単純な凡ミスだと思いますが、それでもこうしたニュースになってしまう話。ある程度の規模がある会社さんなので大丈夫でしょうが、これがスタートアップ系の会社であれば、一斉に叩かれる可能性も否めません。今回の担当さんは冷や汗ものだったのではないでしょうか。
クラウドファンディングのプラットフォーマーが法令遵守宣言
クラウドファンディングのMakuakeが、同社独自の品質基準を策定したことがニュースになっています。
Makuakeが品質基準策定。「法令を遵守」
応援購入サービスのMakuakeは、独自の「Makuake品質基準」を策定・公開した。プロジェクトの支援者に納品されるすべてのリターン(商品)について、品質基準に適合することをプロジェクトの実行者に要求する。利用者は、同品質基準を満たしたプロジェクトを選んで応援購入でき、「健全な応援購入体験を提供できる」としている。
公開された品質基準では、「プロジェクトページに記載した外観、機能を有していること」「販売国にて規定されている全ての法令を遵守すること」などが定められており、商品に応じて、製造物責任法(PL法)、電波法、電気用品安全法などの法令を遵守するよう求めている。またプロジェクトページについてもまぎらわしい表示を禁止と、景表法等の遵守を求めている。
当社にもクラウドファンディングに電気用品関連を出品する際に、電波法や電気用品安全法(PSE)をどのようにクリアすれば良いのか、出品者の方からのお問い合わせが増えています。
クラウドファンディング側としても、出品者のミスで自分たちの信用を傷つけられたくないでしょうから、この傾向はますます強くなっていくと思います。
第三者認証Sマーク普及について
Sマーク認証機関は現在、一般財団法人 電気安全環境研究所(JET)、一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)、株式会社UL Japan、テュフ・ラインランド・ジャパン株式会社の4機関。Sマーク認証された製品は認証機関名が併記されたSマーク認証のロゴが表示される
Sマークとは、「公正・中立な第三者認証機関が、公正な立場から当該製品の安全性を客観的に評価し、安全性が確認された製品であることを表すもの」であり、PSEのように強制認証ではありませんが、PSEの上位認証として製品の品質の高さを証明する1つの手段です。
記事では、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などIoTに対応した家電が増えるなど、製品が複雑になるつれ、製品の安全性を担保するためにもSマークの普及が必要だと論じています。
それは正論であると認める一方、当社の見解としては、Sマーク認証は高価なので、通常のPSEですら高くて実施をためらう業者が多い中、机上の空論感も否めません。事実、Sマークを行っているのは、大手メーカーと大手量販店のみ。
また、Sマークを取り扱う検査機関も無駄に細かく、新規参入を促すような態勢は出来ていないと感じています。
ただ、啓蒙活動として、日本社会にはSマークというものがあることをユーザー側にリーチしていき認知が高まれば、事業者側もやらざるを得ないということになるかもしれません。
引用・参照:PHILE WEB_拡大するネット通販も課題、「第三者認証Sマーク」が担う役割はますます重要に
ネット通販の世の中こそ、Sマークの普及が大事
先述した記事と同内容のものをもう一点。基本的にはSマークの普及を目指そうという内容ですが、PSEすらちゃんとやらない業者が多い中で、その上位のSマークの重要性を訴えるのは議論が一段抜けてしまっているように感じます。
しかし、文末が
消費者にも自ら判断する厳しい目がますます求められてくる。
参照:PHILE WEB_ネット通販、消費者が安心して安全な製品を購入できる環境構築へ。関連団体が初の意見交換会
と締めくくられているように、安全は誰かに守られているだけのモノではなく、自分自身の確認が必要だということを,ユーザーが気付くことも必要なのかも知れません。
その為にも、当社としても、認証=社会の安全ということを訴え続けていきたいと考えています。
INSIGHT WORKSホームページからメールでのお問い合わせ
認証ビジネスについて学びたいなら最新情報をキャッチ
無料メルマガ「認証の原理原則」に登録!
数々の認証を経験・成功させてきた堀雄太が認証ビジネスに軸にして、中国・日本における新規認証ビジネスの構築の仕方や、中国ビジネスなどを紹介しています。
初めて認証に取り組みたい方へのお役立ち情報や、自身で依頼主様の認証サポートを行いたい方に向けてセミナーや勉強会なども予定しておりそうした情報をいち早く告知させていただきます。
2020年8月21日(金)より毎週1回配信!