PSEマーク、PSC、電波法(技適)など、認証が遅れるのは誰のせい?当社事例から解説します
こんにちは。管理人の堀です。
PSE、PSC、電波法、その他どんな認証においても、依頼主の方が気にされるのは認証にどのくらい時間と費用がかかるのか、ということだと思います。
それで今回は、認証費用のことは置いておき、認証にかかる時間、それも当初の予定より遅れている場合にどのようなことが原因なのか、当社事例から解説していきたいと思います。
このサイトで何度もお伝えしていますが、認証の合否・スピードなどすべてのキーポイントは「生産工場の協力具合・能力次第」です。なお、今回の話に出てくる「(生産)工場」は基本的に中国工場であるとご認識ください。
そう言ってしまうと、認証代行会社の存在そのものを否定しかねないのですが、正直な話、生産工場が100%全力を注いで、認証に協力してくれるということであれば本当に不要かもしれません。
ただ、契約を結んでいるレベルの提携工場、下請け工場でもない限り、そのようなことはあり得ないわけで、工場としても自分たちの他の仕事があるので、やはりそれほど関係も深くない日本企業の認証にあまり協力はしたくない、時間は割きたくない、というのが本音です。
若しくは認証に協力するつもりは十分にあるけど、日本の法律による認証になるのでどのようなことをすればよいかわからない、自分たちで調べるノウハウもない、などということになれば、認証代行会社に頼るという選択肢は十分にあると思います。
話を戻して、認証が予定より遅れる直接の原因は工場の対応です。
基本的にはそれしかありません、他方で言うと、工場に十分な協力を得られなかった依頼主にもその原因の一端はあるとも言えます。
これが今回のテーマの大前提なのですが、少し要素を分解しながら「認証が遅れる」原因について解説していきたいと思います。
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何度でも繰り返しますがすべての認証において資料とサンプルが必須
特に初めての方は仕方ないかもしれませんが、PSE、PSC、電波法、計量法などどんな認証をするにしても、技術資料と製品サンプルが必要だということをまずご理解していない方は大変多くいらっしゃいます。
例えば、「この製品をPSE認証したいんだけど、費用いくらかかるの?日程はどのくらい?で、認証って何すんの?」などという質問をされる方もいらっしゃるのですが、こういう方に費用概算を伝えると、高い!時間かかりすぎ!とすぐに話をやめてしまいます。
もちろん、やめるのは自由なのですが、こういう方とはビジネスの話はできませんし、そもそも工場から既製品を購入するのが精一杯でしょうから、資料やサンプルの準備をしてもらうことはできないでしょう。
特に、電波法認証においては通常用とは違うテスト用サンプルが必要です。
認証を行うにはそういった準備が必要ですし、もちろん代行会社(当社)でも工場との折衝はお手伝いさせていただきますが、認証に協力をしてもらう関係性作りは依頼主の仕事であることは覚えておいてください。
“何事も無ければ”という前提をどうしても忘れてしまう依頼主
特に認証終了を急いでいるお客様からは、「どのくらいで認証は終わりますか?」ということは何度も質問されていますが、こちらの回答は一律的に、「何事も無ければ6週間から8週間ほど」となります。
この「何事も無ければ」というのは本当にその通りで、例えば電波法認証で工場がさっさとテストサンプルを正確に間違いなく作ってくれた時には、試験自体は2~3週間で終わり、あとは書類整理のみで全工程6週間ほどということは何度もありました。
一方で、どうしても6週間ほどで電波法認証を終わらせたいと思っていたお客様などのケースで、工場が提出したテストサンプルがヨーロッパ向けのモノだったということで、当然日本の電波法としては不合格となり、再度サンプル作成を依頼したところ、サンプル制作に追加2か月、残りの試験などで6週間ほどかかったことがありました。
この件は、次回に詳しく事例スタディとしてご紹介するつもりですが、この流れについてお客様はカンカンになり、当社側に落ち度があったと何度も責め立てて来たのですが、そもそも間違ったサンプルを送ってきたのは工場の責任ですし、再度、すぐにサンプルを作成できなかったのも工場の責任です。
そうした方に限って、「最初の話だと6週間ほどで認証は終わるはずだと聞いていた、遅延はそちらの責任だ」と言うのですが、こちらは何事も無ければと何度も説明しています。
皆さん、自社の場合になると、何事も無いものだと思い込んでしまいますが、この辺はどうしても工場の対応・能力で当たり外れがあるのも正直なところです。
ただ、少し長い目で見た際に、特に一見の工場で多少のサンプル問題があって遅れたとしても、無事に認証が終わったから良しとするのも賢明な判断であるとも考えます。また、そのような手順を踏んで、少しずつ工場と関係性を築いていくというのもビジネスの判断としてあるのではないかとも思います。
工場の非協力による遅延は検査機関、代行会社の責任ではない
この話は当社の契約書にも必ず盛り込む内容ですが、「工場の非協力(資料提供、サンプル作成など)による遅延の責任は持たない」ということでやらせていただいております。
上記で述べてきたように、認証の進み具合は「工場の協力」それしかありません。
また、中国語ができる代行会社なので中国工場とネイティブで繋がれるのだから、何か問題があれば、中国人同士でやり取りしろというお客様もいらっしゃいますが、それも一理ありますが決してすべてではない、というのが真相です。
もちろん、言葉が通じるので普通に言葉を交わすこと自体は可能なのですが、日本人同士でさえ、会社外の人間と良好にコミュニケーションすることは難しい場合もあります。同じようなことが中国人でも言えるのです。
やっぱり人間のタイプによって得手不得手もありますし、中国人の特徴としてしつこく催促していると急に連絡を途絶えさせることもしばしばです。また、ハッキリ言って、日本人より仕事が遅い中国人は多いです。
諸々そういったリスクをすべて背負いこむのは物理的に不可能ですので、中国工場による遅延は当社の責任としていません。もちろん、出来る限りの協力をしてスムーズに認証が進めていくのが当社の仕事でありますが、工場の対応の良し悪しだけは担保できなくあります。
これはどこの認証代行会社でも一緒だとは思います。そういった条件では認証はしたくないというお客様とは、当社としても仕事ができないというのが現実のところです。
と言っても、検査機関のミスは時折見かけます
これに関しては、完全にこちらが平謝りする部分なのですが、これまでの例としても、認定書の発行日記載ミス、日本の法律でアップロードされている書類にそれが為されていなかった、認定書に記載する日本語不自然過ぎて経産省より指摘あり、などがありました。
その度に仕事のやり直しなどがあり、いささか時間が経ってしまったこともあり、それに対してはお客様にご迷惑をおかけしたと思っています。
一方、工場がサンプルをうまく作成できない、試験のやり直しが多くなりイライラし始めると、検査機関が認証をわざと遅延させていると錯覚してしまうこともあるのですが、決してそんなことはありません。
検査機関も多くの仕事を抱えているので、出来る限り、一件一件の仕事をスムーズに進めたいという気持ちは持っているのです。しかし、重要なこととして、検査機関としては具体的にどのようなサンプルを作ればよい、などということは説明してはいけないことになっています。
そうしたところで、当社のような代行会社が必要になってくる部分でもありますので、工場にはどんどん質問して欲しいですし、依頼主からも工場にはそのように促していただきたいと思います。
より精度を高めるために中国サプライヤーなどを利用するのも一つの手
最後に認証を早く進めている会社の特徴として、信頼できる優秀な中国人サプライヤーと組んでいるということです。
依頼主と当社(と中国人技術者)でオンラインミーティングをする際に、基本的には工場担当者に出席してもらうのですが、その際に日本語の出来る中国人サプライヤーの方が同席していることが何度かありました。
日本を流暢に操って仕事をしているサプライヤーは本当に優秀で、こちらが日本語で説明したことや、中国人技術者が工場担当者に中国語で説明したことをよく理解して、ミーティング後も工場担当者のことをよくサポートしてくれています。
この人たちにいくらの費用が発生しているのか、そもそもどのようなツテで知り合ったのかわかりませんが、優秀なサプライヤーを抱え込むというのも一つの手段であることは覚えておいてください。
もちろん、中国人技術者が工場と交渉できるのが当社のウリでもあるのですが、やはり何社も担当していると、全ての工場に対して平等に時間を使うことは難しく、特に一旦工場の返事が遅くなってくると、再度連絡するタイミングを見計らうのも大変になってきます。
工場のレスポンスも認証時間に大きく影響してきますので、場合によってはそうしたサプライヤーを味方に付けるというのもビジネス的には重要な判断なってくると言えるでしょう。
認証代行会社のポジショントークが多分に含まれている内容だったとは思いますが、大手企業以外が海外で認証をするためにはこれが現実であります。
もちろん、だから認証は出来ませんよ、ということではなくこうした現実を踏まえたうえで、どのように認証を進めていけばよいのか、認証を検討されている方は是非ご相談いただければと思います。
そうしたご質問にお答えするのも認証代行会社の仕事の一つだと考えています。
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