先端ICT機器、ドローンなどワイヤレス・無線機器の電波法技適認証の依頼が急増、当社が代行会社として選ばれる理由(前編)
こんにちは。管理人の堀です。
現在でもなかなか終息を見せない新型コロナウィルスの感染拡大が続く中、経済は大幅なマイナス傾向にあり、許認可認証など単価の高いサービスにも多大な影響があると思われるのが一般的かもしれませんが、むしろ時代に逆行するかのように認証の依頼は増えています。
特に、電波法技適認証の依頼が軒並み顕著に増加しています。
当初は、当然相見積もりの情報収集という形でご連絡をいただくのですが、当社のサービス内容を説明させていただくだけで、あとは特段の売り込みもしませんが、そのままご契約いただくことが大半です。
今回は先端ICT機器、ドローンなどの電波法認証の依頼が増えている背景、当社のサービスの優位点のご説明、そして電波法認証に関するよくある質問などに回答させていただきます。
自社サービスの優位点を書くということは手前味噌でもあるのですが、一方で、これからの時代の電波法認証のあるべき姿を実践しているという自負もあり、今後認証をする際の参考になればと思っています。
Contents
高度インターネット社会において製品の商品サイクルが短くなり、電波法認証もスピード化が求められている
目前に迫っている5Gの世界、全てのものがインターネットに接続されるIoT(Internet of Things)、スマート家電に代表される従来品などが無線・ワイヤレス化した最先端ICT機器、などが続々登場するなど、今後ますます電波法認証は必要になってきます。
必ずしも一概には言えませんが、PSEやPSCなどと大きく違うのは、それらは基本的に従来品であり、1回認証したらずっと長く使うことが前提の製品であったりします。だから、ある程度認証に時間が掛かっても大きな問題ではありません。もちろん、早く認証が終わるに越したことはありませんが。
一方、時代の先端をいくワイヤレス製品はその時その時で爆発的に売れるとしても、1年後も同じものが売っているかどうかは全くわかりませんし、下手をすると商品ライフサイクルは数か月で終わってしまう可能性もあります。
決してどちらが良い悪いということではなく、両者の大まかな特徴として挙げています。
そう考えると、総務省が先進的な無線製品はエリアを限定して6か月間だけ電波法認証せずに実験が行える特例措置を導入していますが、6か月も経ったらビジネスチャンスが終わっている可能性も高く、こういうところでも役人のビジネスセンスのなさが露呈しているように個人的には感じています。もちろん、製品によっては違うかもしれませんが。。
短期間の売り切りも辞さないとなると、必ず現れるのが認証を行わない違法業者で、時折、大々的に違法品をネット販売している業者も見かけますが、こういう違法業者は絶対に刺される(通告される)ことになるでしょう。
一度刺された業者が再びビジネスシーンに登場するのは難しいです。
そういうことがわかっているベテラン経営者や、大手企業は、多少のコスト・時間を費やしてでも電波法認証を取り、自社のノウハウとしていきます。
一方で、素早い認証を求めており、スピーディーに対応できる代行会社や検査機関へのニーズは非常に高まっているのです。
INSIGHT WORKS電波法認証の3つの強み:NDA締結、言語の壁を超える、周波数調整
そのようにスピードが求められている電波法認証の世界で、当社が代行会社としてお客様から選ばれている理由、3つの強みについてご説明いたします。
生産工場と検査機関とのNDA締結の仲介ができる
言葉は悪いかもしれませんが、今までの中国工場は日本をはじめ、世界で流行している製品の模倣品生産が多かったので、仮に中国工場で認証すると言っても、技術の流出ということは考えられませんでした。むしろ、技術流出させていたのが中国企業でした。
しかし、近年では中国工場自ら最先端商品を製造しているということが珍しくなくってきており、その技術流出を中国工場が懸念するようになってきています。その中国人の国民性にモノ申したい方は多くいらっしゃるかもしれませんが、とりあえずその点は横に置いておきます。
もちろん、中国工場もたくさん売りたいので注文があること自体は何ら問題ないのですが、それが各国の(電波法)認証が必要な製品ということになると、検査機関に対して技術資料の提出が求められてくるので、ここで一気に工場の態度は硬化します。
ちなみに、技術流出は海外だけではなく、中国国内の他工場に流れるというケースもあるので、やはりその点は慎重にならざるを得ません。
すると、日本の事業者が電波法認証したいのでよろしく!と依頼をしても、流出を恐れて検査機関などに技術書類を外に出したくない工場は対応してくれないこともよくあります。
そうなると、日本の輸入事業者は困り果ててしまうのですが、それを解決するための方法がNDA(機密保持契約)の締結です。NDAの意味はご存じだと思いますので、説明は割愛いたします。
そもそも検査機関としては取引先の情報を流出させるというバカなことをするわけもないのですが、工場としては万一流出した場合の責任の所在をハッキリさせたくあります。
両者が平行線になっていても話は進まない中、当社は両社が安心して認証に取り組めるよう、NDAのフォーマットを用意する一方で、両者の橋渡しを行うことも可能です。
工場が認証に協力したくないと言った場合、そもそもこういった背景があることを覚えておいていただけると、よりスピーディーに認証が進められるようになります。むしろ、それを知らないと、対策が打てず時間ばかりが過ぎていくという事態になりかねません。
言語の壁を超える
これはいろんなシーンで当社の強みとして挙げておりますが、まさしく最大の強みと言ってよいのが、言語(中国語)の壁を超えるという点です。
当社では、日本の認証(電波法)に精通した中国人技術者が代行実務を行います。
生産工場に対して日本の電波法についての説明や、後述する日本の電波法を受けるためのテストサンプルの作成方法について、中国語で説明を行えます。
通常、日本事業者が同じことをしようとしたら冗談抜きで一生終わらない作業になるかもしれませんし、また日本国内の認証機関は工場に対して直接のコンサルティングなどは出来ませんので、中国工場としても日本の電波法を受けようとしても、実際にどのようにすれば良いのかわからないのです。
日本語ができる中国人スタッフが在籍する工場も存在はしていますが、その人たちすべてが日本の電波法を理解しているかと言えば、必ずしもそんなことはありません。
実力のある中国工場は自力で日本の電波法認証が出来る場合もありますが、それは稀なケースなので、やはりスピーディーに進めるのであれば、日本の電波法を理解している中国人がネイティブ言語で中国工場に説明する必要があるでしょう。
依頼主様と中国工場担当者と当社とのSkypeミーティング風景。当社と工場担当者が中国語で打ち合わせ。
日本の電波法を通すために周波数調整などを工場の技術と交渉ができる
具体的な数字を出すと余計にわかりづらくなるので、少し抽象度のあるお話しですが、各国によって決まっている無線の周波数というものがあります。
簡単に言うと、日本、中国、アメリカ、ヨーロッパなど世界各国で独自の基準があります。
そして、世界の工場である中国は世界各国の製品を作っているわけですが、当然、世界各国のメーカーは自分たちが販売しようとしている国・地域の周波数で製品を作らせています。
すると、ヨーロッパ向けの電波法製品を見て、これを日本に輸入したいと考えても、日本で定められている周波数に合わない可能性は非常に高いので、そうした場合は生産工場に対して、ある程度の周波数調整を求める必要が発生してきます。
特に最近で多いのがドローンです。
これも基本的には、日本向けに作られているわけではなく、世界スタンダードのモノを日本に導入しようとするわけなので、周波数などは日本仕様に合わせないといけません。
日本事業者はあくまで、ドローンなどを使ったビジネスの専門家なので、工場にどのように指示を出したらよいかわかりませんし、当の工場も、日本の周波数に合わせるためのやり方を知っているわけがありません。
こういった点でも、日本の認証(電波法)に精通した中国人技術者が存在しているかどうかで、認証のスピード感が格段に違ってくるのです。
何気に手間の多い検査機関への書類申請作業もすべて代行
見過ごされがちですが、事業者が自ら行う場合に地味に大変な作業が申請書類提出です。これは、製品の技術書類とは別の内容です。
例えば、日本を代表する電波法認証機関・一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター(通称:テレック)で工事設計認証を依頼する際、申し込みをするだけで下記のような書類提出が求められます。
引用:一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター_申し込みに必要な書類_工事設計認証の申し込みの場合
【1】工事設計の認証申込書、【2】工事設計書、【3】申込書別紙資料、【4】無線設備系統図、【5】確認方法書、【6】部品の配置を示す写真又は図、【7】無線設備の外観図(写真)など。
これらの書類を自分で揃えてようやく申請が開始されます。これが簡単か難しいかは各事業者様の判断となりますが、基本的にどの検査機関でも同様の内容が求められます。
日本国内の工場の製品を認証するのであれば、日本語の通じる工場と協力して進められると思いますが、中国の工場を利用する場合、書類に記載する様々な内容を中国語・英語→日本語に翻訳する必要が出てくるかもしれませんし、いずれにしても手間が多く時間が掛かることも確かです。
そうなると、何度も申し上げているようにスピード感が求められている電波法認証は、なかなか現実的ではなくなってきます。
だからこそ、中国工場で認証をする場合は中国検査機関を使った方がとても有利なのです。
当然、中国工場を利用する場合に中国検査機関に対しても同様な申請書類提出が求められるのですが、そうした作業はすべて当社側で行わせていただきます。
依頼主様に作成していただく書類は、依頼主様情報(会社名・住所、代表者名、担当者名:日本語・英語))、工場情報(工場名・住所、担当者情報:中国語・英語)、製品情報(製品情報・型番)のみです。
こうしたところでも依頼主様の業務効率アップに寄与させていただいております。
電波法認証の為に検査機関に提出するもの
技術資料
認証をするために必要な書類は、ISO9000書類、アンテナ仕様書、回路図など、工場の生産体制を証明するモノや、製品の設計に関するもの10種類ほど必要になってきます。
この資料ついては、必ずしもすべての検査機関で統一されているわけではなく、総務省が規定する技術基準に則ったものであれば、書類の呼び名や中身は検査機関の基準で行っても構いません。
ここにすべての内容を記載するとノウハウの流出にもなってしまうので、実際に試験を検討されている方は、直接お問い合わせください。リストを提示してご説明いたします。
ただここで覚えおいていただきたいのは、
①電波法認証には数多くの書類の提出が求められること
②工場も必ずしもすべての書類を一元管理しているわけではないこと。
部署ごとの管轄だったり、部品に関する書類はサプライヤーが保有していたりして、揃えるのに時間が掛かる場合がある。
③製品設計に関する機密書類の可能性もあるので、工場から提出を拒否される場合もあること。
その際は、書類提出先の検査機関とNDAなどを結ぶこともある。
テスト用サンプル
電波法認証の際は、通常(市販用)のサンプル1台と、試験のためのテスト用サンプル1台の、計2台を用意する必要があります。そして、このテスト用サンプル作成が、電波法認証の最大の要であると言っても過言ではありません。
現在の周波数を日本の周波数に合わせる
先述しましたが、日本で生産される電波機器であれば当然、日本で適用されている周波数に合わせて作っています。一方、海外、主に中国で作られている電波機器というのは、当然ですが、日本の周波数をベースに作られていません。
その為、日本の電波法認証をするためには、海外の電波製品を日本の周波数に合わせないといけませんが、その周波数を合わせるという作業をテスト用サンプルで実施します。
海外(中国)工場の担当者が日本の電波法に詳しければよいですが、基本的に現在の中国工場からすると日本市場は必ずしも大きいマーケットではないので、そういう人材を抱えていることの方が稀かもしれません。
そして、周波数を変更するためには機器に内蔵されているチップの設定変更をするか、チップそのものを変更する必要があります。いずれにしてもチップのサプライヤーに調達の指示を出さないといけません。
工場担当者が明確に理解していれば良いですが、基本的に自分の通常業務外の話なので、どこまで時間を割いてやってくれるかは依頼主様との契約次第ですが、当社代行では工場担当者にやるべきことを明確に指示して、少しでも余計な時間が発生しないようにさせていただきます。
測定イメージ
テストモードに設定する
もう一つの難点は、テストモードの設定です。周波数を機械で測定するためにはサンプルをテストモードに設定しないといけません。その場合、通常用(市販品)では機械で電波を測定することができず、必ずテストモードにする必要があります。
先ほどにあったチップを変更したうえでのテストモード設定ですので、担当者のレベルにもよりますが、初めてやる工場担当者が独力で行うことはかなり難しいです。当社では、実務そのものを代行することはで物理的に出来ませんが、担当者が作業を行いやすいように、様々に指示出し・アドバイスを行うことができます。
中には、工場担当者も途中で面倒くさくなってしまい、中途半端な段階で検査機関にサンプルを送って結局差戻しになったり、設定方法がイマイチ不可解な場合は検査機関に呼ばれて立会い試験になることもあります。
こうした見えない業務で認証期間がどんどんかかってしまうことがあります。
つまり、工場担当者と検査機関はそうしたサンプルのやり取りも比較的多いですので、中国工場を利用する際は、日本の検査機関を選んでしまうと、難儀することも多いかもしれませんので、そういう意味でも、中国の検査機関をそのまま使ってしまった方が話は早いかもしれません。
そうした際は、日本の認証に精通した担当者が対応させていただきます。
長くなってしまったので、続きは次回に。
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