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中国輸入、アリババ仕入。中国でPSE、電波法など認証成功のためのマル秘交渉術

 2020/08/10 PSE コラム 中国ビジネス 事例 認証の原理原則 電波法
この記事は約 10 分で読めます。 3,809 Views

こんにちは。管理人の堀です。

認証成功のためのマル秘交渉術とは、最初に答えを言うと、
関係者同士が現地語(中国語)で対面になって話し合ってもらうことであり、
認証依頼主の方はそうした場をつくることです。

そうした経緯について説明していきます。

ご依頼を受ける際お客様から聞かれるご相談内容で一番多いのが、「認証は成功しますか?もし、失敗した場合は返金されますか?」などということです。

お客様からすると、大金を払うわけで、依頼した認証が上手くいくかどうかはかなり気になるのはわかりますが、長年認証実務に携わっている人間の立場から言わせていただくと、認証が失敗するって基本的にあり得ないのです。

但し、生産工場が認証に協力してくれる限りにおいては、です。

このサイトでも何度もお伝えしていますが、認証がうまく進むかは生産工場が協力してくれるかどうか、それに尽きます。

認証というとかなり複雑のことをやるというイメージを持つ方も多いですが、もちろん中には複雑な認証もありますが、基本的にPSEで言えば経済産業省、電波法で言えば総務省が定めた検査項目を行うだけであり、当社ではそうした基準はすべて網羅しています。

つまり認証の試験自体は内容が決まっていて、認証機関・検査機関は当然その内容を把握しており、代行会社である当社はその内容を熟知しているわけなので、変な話、認証が進まない・進められない、すなわち失敗するという理由はないのです。

繰り返しになりますが、生産工場が認証に協力してくれる限りにおいては、です。

例え、一度は試験不合格になったとしても、工場が試験に通るための新しいサンプルを用意してくれさえすれば、多少試験期間に影響はありますが、試験は必ず進められます。当社では、そうした際のアドバイスなども行っています。

しかし、工場が動いてくれなければそれ以上話を進められることができません。

もちろん、生産工場が日本国内であれば依頼主からもいろいろ協力要請ができると思いますが、生産工場が中国などだとその意思疎通のレベルも急激に下がります。

そうした状況においても、少し厳しい言い方をすると、中国工場に協力依頼を取り付けるのは依頼主様の仕事であり、当社などの認証代行会社はその話の中で仕事をするわけなので、認証が進まないというのは結局のところ、依頼主様から工場への交渉力不足によるものである、ということになってしまいます。

ただ一つ言えるのは、当然ですが中国の生産工場も商品を販売したいので、出来る限り日本事業者に協力するつもりがあるという大前提があります。これはほぼ全部の工場に当てはまります。

しかし、何故それが実現しないのか?それは単に工場とのコミュニケーション不足が原因です。依頼主からすると十分に意思を伝えたつもりですが、そもそもその言語はGoogle翻訳を使った英語だったりします。

それでも、相手もある程度の英語でも理解はしてくれますが、納得はしてくれません。要は、話の内容が腹落ちしていないので、担当者が動いてくれないのです。

逆に言うと、相手が納得さえしてくれれば、話はどんどん進んでいきます。

今回は、この点について当社事例に基づいてご説明させていただきます。

 

工場には工場の理由がある

こう言っては不快に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、まだまだ日本人は中国(生産工場)に対して、下請けに仕事を出しているという気持ちが強いと感じられます。

また、お金を出しているのだからこちらが客であり、客の要望・言うことには絶対に従うべきという思考も根強くあったりします。

もちろん、私自身も中国ビジネスを始めるまではそうした気持ちがあったことは否定しません。

しかし、長く続けていると、こちらが当初提示した条件が通らない工場に接する機会も多くなり、その原因として、こちらの要望自体に無茶があるのではないかと感じるようになりました。

そもそも、「中国の生産工場」と言っても種類は数多くあり、消費者への販売機能を有するメーカーの元請け工場、その元請け工場から受注して生産だけする下請け工場、仕様書や回路図などの技術書類を購入して自ら生産・販売をする独立系工場などが存在します。

もちろん、中には依頼主自らが生産委託を繰り返している提携工場というものもあるでしょう。

もっと違った形態の工場も考えられます。

なので、PSE認証をしたいので技術資料の提供とともに、認証の協力をしてほしいと工場に伝えたとしても、工場の形態によって返事はマチマチでしょう。

一方、何も知らずにアリババなどから初めて連絡した工場だとしても、運が良ければ一回の交渉で難なく認証協力OKととなり、スムーズに話が進められるケースがあることも確かです。

いずれにしても、その辺の事情を理解せずに工場が協力してくれないと嘆くのは早計ですし、大事なこととして、何度か連絡していれば工場側は協力できない理由などを漏らしてくるのでその情報を見落とさないことでしょう。

その理由を聞けたらまずは、工場の言い分を解決できないか検討してみましょう。

工場側が協力できない理由として、注文個数が足りずもっと多くの注文が無いと工場が赤字になってしまう、技術資料は工場独自のものではないので自分たちの一存では決められない、などなどいろんなものが出てきます。

間違ったとしても、うるせー!客のいうこと聞け!という態度をとっていたら、工場は返事をしなくなるだけです。工場には工場の理由があり、わざわざ海を越えてまで煩わしい客と付き合う必要は工場にはないのです。

そういったことにも理解を示さず、工場が協力してくれない!認証が失敗した!という方とは、同じ日本人の会社であっても、当社としてもあまりお付き合いしたくないと考えます。

まずは工場の言い分をしっかりと聞いて、その上で対策を考えましょう。ビジネスをする以上は、中国工場と対等であると考えるようにしましょう。

そして、繰り返しになりますが、工場への協力交渉は認証代行会社や検査機関、サプライヤーの仕事ではなく、依頼主の仕事です。その部分は、自社で動かないことには何も始まりません。

 

日本側の話に懐疑的になることも多い

まずは話を聞いて、出来ることを提案しましょうと言うことと矛盾してしまうかもしれませんが、日本人が直接提案する内容に工場側は懐疑的であったりします。

例えば、当社のお客様と中国工場の間で、

工場)機密書類であるために技術資料は提出できない、資料を出さない範囲であれば認証協力はする。

 

日本人)資料が全部ないと認証を進めることができない。例えば、検査機関とNDA(機密保持協定)を結ぶなりして、認証に協力して欲しい。もちろん、NDA手続きの段取りはこちらで行う。

 

工場)NDAの内容はどこまで遵守されるかわからないので、当社としては結びたくない。

という押し問答がありました。日本人担当者の方は英語が堪能だったので、やり取りは英語で行われていました。工場の責任者も英語ができました。

しかし、結局、交渉が決裂して当社に相談があり、こちらから提案して、当社の認証顧問(経験豊富な中国人)と工場責任者の話し合いの場を設けることにしました。

工場側としても海を越えた日本人からいきなりNDAを結ぼうと言われても、本当に大丈夫なのか?という疑念を頂くことは当然ですし、販売個数の調整はお金が動けばすぐに対応してくれるでしょうが、工場の機密内容など少し深い話になると動きも鈍くなります。

そうした際に必要なのが、中国工場側と日本事業者側の両方の事情を知っている、中国語ネイティブの存在になってきます。

 

中国人同士がネイティブ言語(中国語)でFace to Faceの会話

結論から言うと、ものの15分ほどで交渉は成立しました。

最初は、工場も機密書類は外部に出せないと従来通りの主張をしていましたが、当社顧問が中国語で検査機関とのNDAにリスクがないことを説明すると、すぐに理解・納得してNDA締結に応じてくれることになりました。

すると、その日のうちに社内に対して、NDA締結する旨の稟議を行うと約束してくれて、その約束を実行してくれました。

お客様にも大喜び頂きまして、多大なる感謝のお言葉を頂戴することになりました。

ここでポイントになるのが、日本企業による提案が一度は断られ、再度の交渉ですぐに納得してくれた理由ですが、

・認証の専門家が話に合いに応じ、雰囲気からも信用できることがわかったこと

・同じ中国人同士で話をして工場の言い分を理解しつつ、提案をしてくれたこと

・Face To Faceで直接中国語で話したことで信用を得られたこと

などが挙げられえます。

また、当社の認証顧問の話によると、

工場担当者は一見ぶっきらぼうなイメージがあるが、すごく仕事に対して真面目で誠実な印象だった、

ということでした。

つまり、工場としても自分たちの立場があるわけで、キッチリと仕事をしようとすればするほど、ガードが固くなることも当然なわけなのです。

むしろ、何でもYesYesという工場の方が、後から煩わしいリスクに直面する可能性もあるので、最初は融通が利かない工場の方が信用できたりするかもしれません。

 

かなり長い前振りになりましたが笑、当社ではこういったように日本の認証に精通した中国人技術者が担当いたしますので、場合によっては中国工場との交渉に立ち会わせていただくことも可能です。

認証を進める覚悟はできたけど、どうしても肝の部分で中国工場と握れていないようで不安などという方はご連絡頂ければと思います。

但し、話し合いの場(skypeやZOOMなどのオンラインミーティング)を設けて、実際に交渉をする事になりその時間も必要ですので、基本的に認証をご依頼いただくことが前提となってきます。

また、どうしても話し合いをした上で認証をするかどうか決定したいということは、打ち合わせ費用別払いということでも対応していますので、そちらについてもお問い合わせください。

なお、基本的に当社は認証代行会社ですので、このような工場との交渉は依頼主様のお仕事なのですが、認証費用とは別費用を頂戴する形でお受けすることも有ります。

今回のお客様も認証費用は先にお支払いいただいておりましたので、別途サービスとしてご依頼を頂いた次第です。

skypeミーティング風景

 

補足:どんな時でも謝意を忘れない

最後に、直接本題とは関係ありませんが、中国工場と仕事をしていて大事だと思うことは書いておきます。

今回の打ち合わせでも、無事に交渉が成立してお客様が大喜びだったことはお伝えしましたが、お客様は交渉の後に工場に対して、

私たちは、貴方の工場と末永く取引をしていきたいと思っているので、これからもどうぞよろしくお願いします。

と言い、当社の技術担当者が中国語に翻訳して伝えると、工場担当者も

「谢谢。 同样。」(ありがとう、こちらこそ)
と言って、にっこり笑って手を振ってきました。

中国工場だって守るべきものはあるわけで、そこを理解したうえで、(相手に伝わる手段を用いて)こちらから提案をすれば、よほど最初から無理な条件を出さない限り交渉が決裂するということ自体が少ないと考えます。

こういったステップなどを知らず、ただ単純に「認証は失敗しませんか?」という質問をすることは、代行会社からも怪訝に思われてしまうかもしれません。

もちろん当社にご相談いただいた際には、しっかりと説明はさせていただきます。また、こういった情報を見たからと言って必ずしも当社にご依頼いただく必要はなく、他社様にご連絡する際などにもご参考いただければと思います。

キッチリと段取りを踏んでいけば、認証は決して難しくないと考えて、当社は日々活動を行っています。

 

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