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PSE・PSCの適合性検査は具体的にどんなことをするの?簡単5つのフローでご紹介

 2020/07/25 PSC PSE 中国ビジネス 事例 認証の原理原則
この記事は約 12 分で読めます。 11,303 Views

こんにちは。管理人の堀です。

PSEの特定電気用品、PSC製品いずれにおいても、経済産業省が指定する登録検査機関による適合性検査、いわゆる工場検査が必要になってきます。

これは、認証機関による製品サンプル検査が終了した後に、同機関が生産工場の設備や生産体制などを確認する工程です。

工場検査が実施される背景として、PSE特定電気用品やPSC製品などは製品の構造が複雑であり、また取り決められた安全基準のもとに生産されずに万一それで製品事故が起きた場合に、国民の生活に重大な支障を及ぼしかねないなどという理念があります。

言ってみれば、製品だけであればどこかの工場で作って提出するということも可能です。

そこで、事前に工場の住所を正式な書類などで確認し、実際に検査員が出向いて現場確認し、そのうえで生産体制などを確認して、間違いなく当該工場できちんとした体制で製品が作られていることを確認するのです。

そうは言っても、工場検査で具体的に何が行われるのか、これから検査を検討している方にはわかりません。何故かと言うと情報がないからです。その理由として大きく3つほどあります。

そもそも人口比率で考えた際に、PSE・PSCの適合性検査を受ける事業者は圧倒的に少ないのが一点、

もう一つが、メーカーや工場勤務の方が仕事で仕方なく受けるという感じでわざわざブログで書くようなこともしないという点。守秘義務の関係もあるかもしれません、

そして、一番の大きい問題が、基本的に認証機関は適合性検査の内容を公表できない、また事前に依頼者に対して開示できないということに法律で決まっているという点です。

今後を依頼人になる可能性がある事業者も含めてすべての事業者に対して公平性を期すということらしいのですが、この仕事をやっている自分からしても少しピンとこないのが正直な印象です。

しかし、いずれにしても現状、そのような決まりになっている中、初めて適合性検査を受ける事業者の方は、コンサルを入れないと100%合格は出来ないでしょう。試験項目がわからないと対策が立てられないので、それは当然のことです。

今回は、自身でもPSC適合性検査を依頼者として経験し、またお客様のPSE・PSC適合性検査をサポートさせていただいている経験もあり、その立ち位置から簡単にですが、実際に現場でどのようなことが行われているのか書かせていただきますので、ご参考ください。

 

そもそも一連の検査の中での適合性検査の位置づけを確認

これまで何度か登場したPSE、PSCの検査フローをもう一度見てみましょう。

引用:経済産業省ウェブサイト「電気用品安全法_届出・手続の流れ」

 

 

それぞれのフローの中に適合性検査(工場検査)という項目があり、それに合格すると、認定証が発行され、事業者はいよいよ製造・販売が行えるようになります。ちなみに、適合性検査の一つ前にある基準適合確認というのは、サンプル検査のことです。

サンプル検査を先に行う理由は、サンプルは必ずしも一度で試験合格することはなく、幾度か作り直す事も多々あり、完成形が作れる状態で工場検査を行うことが基本だからです。

 

実際に適合性検査ではどのようなことが行われるのか?

適合性検査、すなわち「工場検査」というどんなすごいことが行われるのか気になりますよね。変な話、工場一棟すべてを検査するのか?

そういった情報が全くありません。

例えば、工場検査の実態を知らないうちに、海外工場に対して工場検査に協力してほしいと言えば、まず間違いなく断られるでしょう。

実際のところ、どんな検査するのか?

それがわかっていなければ工場も協力のしようがありません。


工場検査はあくまで当該製品の生産ライン及び検査設備の確認

まず大前提ですが、工場一棟のすべての確認を行うわけでありません。工場だって、一社一つの商品だけを作っているわけではなく、複数の会社の多種多様な製品を作っている訳で、当然そこには守秘義務が発生します。

当該製品以外の情報を見る権限は認証機関にも与えられていません。


生産ラインの確認

認証機関は、工場の大まかな造りや構成などを確認しつつ、例えば、工場も複数のラインで生産稼働しているので、認証当該製品はどのラインで生産される予定なのかを確認していきます。要は、生産の実態調査というイメージです。


検査設備の確認

例えば、PSEの電気用品であれば絶縁体試験は必須なのですが、工場はPSE基準に準拠した検査設備を有し、かつ機械に故障なく、またそれを工場の人間が使いこなせているかどうかを確認します。

また、PSCレーザーポインターで言えば、レーザー光線の波長・波形などを測定する機械が必要で、PSEの時と同様に、正しい取り扱いが求められます。

逆に言えば、確認する事はこのくらいです。

後は、工場そのものに関する雑談ベースでの質問などです。工場としても、検査と直接関係ないことであれば、回答を拒否しても構いません。といっても、検査員も回答を拒否されるようなことは最初から聞かないと思います。

検査時間はおよそ半日程度で終了し、あとは検査員が検査内容を持ち帰り、問題ないようであれば、既に実施されているサンプル検査と合わせて認定証が発行されます。

 

工場検査時の打ち合わせ風景①

 

検査中につまづくポイント

検査時間はおよそ半日で終わると書きましたが、むしろそのくらいで終わらないと検査員も工場も次の予定があるので、検査が迅速に進むように工場に指示を出しておくのが事業者の仕事になります。

工場もPSE、PSCの適合性検査に慣れていれば良いですが、そんな工場は国内外ともに希少でしょうし、ほとんどが始めての受検だと思いますので、細かくは事業者もしくはその代行者が工場に指示をする必要があります。

その中で、検査中のつまづきポイントを列挙しておきます。

検査員と言語上の問題でコミュニケーションできない

これは認証機関の但し書きでも記載されているので、さすがに大丈夫でしょうが、例えば中国工場での検査の際、日本の検査員が訪れた際に、工場に日本語を話せる人間がいなければ、検査の進めようがありません。基本的に、検査員は海外語は話せません。

逆も然りで、仮に日本工場検査でCQCなどの海外検査機関を使った際、中国人が工場検査をするので、工場には中国語が話せる人材(通訳)が必要です。

なお、工場の検査の現場に依頼主(事業者本人)が同席することは必須ではありません。実際に工場のオペレーション・作業を行っている人間がいて、検査員と言語上のコミュニケーションが行える状態であれば、問題はありません。


開示を要求された資料がすぐに出てこない

検査設備の作動状態などを確認する際に、機械が本当にPSE、PSCの基準に準拠した設備であるかも確認する必要があるので、その証明書の開示を求められます。その際に、すぐに書類が出てこないようだと時間のロスになります。

あまりにモタモタしていて検査がすべて終わらなかったということになってしまう場合があるかも知れません。その際、後からデータを送れば良いということになれば良いですが、検査未了ということで後日やり直しなどになってしまいますと、本当に致命的です。

聞かれる書類は大体決まっているので、そうしたモノはすぐに出せるようにしておきましょう。

設備機械に関する質問に答えられない

工場の人間であればそうしたことはほとんどないと思いますが、例えば、PSE・PSCともに当該製品を作るためだけに設備導入している場合、工場の人間がそれの使い勝手を理解しきれていないということもあるかもしれませんので、その点は徹底しておきましょう。

 

工場検査時の打ち合わせ風景②

工場の様子①

 

適合性検査の事前に用意・注意すべきこと

先に検査実施中の注意点を書いておりしたが、話を少し前に戻して、適合性検査実施前つまり認証申込時・サンプル検査中に対策が必要なことを書いておきます。


工場の正しい住所を把握する

特に中国工場の話になりますが、アリババなどに記載されている住所はまず間違いなく誤っていると認識しておいた方が良いでしょう。故意なのか、たまたまなのかそこはわかりませんが、何故か中国工場は正し住所を公表しようとしません。

認証を始めるにあたって、経産省や認証機関にとりいそぎ工場住所を届け出る必要がありますが、適合性検査前に必ず一度工場現地を訪ねて、正確な住所を把握するようにしてください。工場の入り口などに証明書があるのでそれを抑えるようにしましょう。

そして、正しい住所を入手したら、変更届を出すようにしてください。それをしないでそのまま適合性検査に臨むと、住所記載内容間違いということで一発で不合格になる可能性が高いです。

日本工場の場合、そうしたことは少ないでしょうが、それでも登記簿などで確認しておいても良いかも知れません。万一、それで不合格になって損害を被るのは事業者です。

工場の証明書


正しい検査設備リストを作成・提出する

ここはトラップという感じがしないでもないのですが、認証申込時に工場の検査設備リストを提出します。この書類に対してYESもNOも言われません。

事業者が何も知らないままでいると、その内容に不備があったとしても試験はそのまま進んでいき、検査員が工場に行った際に、リスト内容の設備では試験不合格ということになってしまいます。

PSE・PSCの適合性検査を受けるくらいの事業者の方であれば、いろいろ調べてその辺はクリアしていると思いますが、基本的に、認証機関からアテンションはありませんので、
注意しておいてください。

リストについても適合性検査前に再提出は認められているので、しっかり確認して、不備が判明したら迅速に再提出の対応をしましょう。


リストに合わせて正しい検査設備を用意しておく

検査設備といっても、1台数百万円もするようなものは必要なく、中には、Amazonで売っているような数万円程度のモノで十分だったりします。

大事なことは必要な検査設備を確認しておくこと、工場職員にその操作を覚えておいてもらうことです。

工場が以前からその設備を有しているのであれば問題ありませんが、やはり当該製品のために導入するのであれば使うのも初めてでしょうし、基本的にその製品でしか使わないでしょうから、使い方も不慣れのままという可能性があります。

その様子を検査時に検査員に見られて、いろいろ突っ込まれると面倒くさいことになりかねないので、その点も事前に準備するように促しておきましょう。

 

工場の様子②

 

適合性検査を数多く経験してきた当社ができるサポート一例

簡単にですが、適合性検査の概要と注意点について振り返ってきました。

お伝えしたように「工場検査(適合性検査)」をするとだけ言われると、一体全体どんなことをするのか、とんでもない作業に巻き込まれるのではないかという感覚に陥りがちですが、実際にやることを整理していくとそれほど大変なことが待ち受けているわけでもない、ということがご理解頂けたと思います。

ただ、残念ながらやることのイメージが沸いたからといって、ご自身のみで適合性検査を実行できるようになるかといえば、そんなことはありません。

今回の内容をご覧頂いていたら既にお気づきかも知れないですが、結局のところ、業務を完結させるには、検査機関と生産工場の橋渡しになるコンサルタントの存在が必要不可欠になってきます。

サンプル検査の他に必要な設備を洗い出してリストを作成、さらに設備に不備があれば必要なモノを揃えさせないといけませんし、使い方もおぼえてもらわないといけません。

これは海外工場だから大変ということではなく、日本国内の工場においても、工場自体が必ずしもPSE・PSCに精通しているわけではないので、効率的に進めるのであれば業務コンサルタントの存在は欠かせません。

最後に当社の業務紹介となってしまい恐縮ですが、具体的にどういったことができるのかご参考までにご覧頂ければ幸いです。その上で、他社様と比較して頂ければと思います。

また、当社では基準適合確認(サンプル検査)のみ、適合性検査(工場検査)のみ、両者セットという様々なパターンでご依頼をお受けしています。基本的には、両者セットが一番スムーズに仕事を進めさせていただきます。


設備品リストの作成、不足設備の指摘など

何回か話にでている設備品リストに関するノウハウは、絶対の自信を持っております。

特に、基準適合確認まで自力で何とか辿り着いた方もいらっしゃいましたが、適合性検査は自社だけではどうにも出来ない、ということでご依頼いただきました。

基準適合確認と適合性検査は全くの別物で、特に設備品リストについてはインターネットで検索しても絶対に出てこない情報ですので、ここはアウトソーシングするしかないと考えておいて頂ければと思います。


工場事前指導/工場検査立会い

特に中国工場などはどういった設備を有しているのか、実際に見てみないとわかりません。仮に書類上では設備が整っていることになっていても、蓋を開けてみたら実は何にもないということも想定できます。

また、実際に適合性検査でどのようなことが行われるのか、事前に工場職員に直接伝えて理解しておいてもらわないと、当日の現場で何も動けないこともあるかも知れません。

他にも、先述したように工場の公称住所と実際の住所の相違も確認しておく必要があります。

これらの確認の意味でも、中国工場への事前指導は必須だと考えられます。

一方、工場検査立会いに関して、同じ国同士の工場職員・検査機関職員で、事前準備がしっかり出来ていれば、立会い無しでも何とかなる可能性は高いですが、異国間となると言語の問題などでそもそもコミュニケーションが成立しません。

当社では、日本の認証に精通した日本語可能な中国人技術者がおりますので、そういった問題はすべて解決することが出来ます。


最適な認証機関のご紹介、工場への技術指導

現在、コロナウィルスの影響により、各国間の検査員の移動が事実上不可能になっています。

そうなると、適合性検査を含むPSE特定電気用品、PSC製品の検査は、しばらくは生産工場が所在する国の検査機関で行われることになると想像できます。

例えば、中国工場で適合性検査を行う場合は、CQCなどを使う必要がありますが、当社ではあれば言語面において何ら問題はありません。むしろ、CQCとは幾度となくも仕事をしているので、普通よりスムーズに出来るというのが当社の強みです。

また、一方、日本国内における適合性検査においても十分に対応できます。

加えて、PSCはJQAやUL Japanなど日本国内の検査機関でしか認められておらず、海外工場での検査は渡航解禁にならないと実現しない、と考えられがちですが、例えば、受け皿になってくれる日本国内工場さえ見つかっていれば、当社が技術指導を行い、検査可能な態勢を築くことも可能です。

 

PSE・PSC適合性検査について、実際にどのようなことが行われるのか簡単にですが書かせて頂きました。今後、そういった製品の認証を必要になった際などにご参考頂けましたら幸いです。

 

工場の社長さんとマネージャーと一緒に記念写真

 

 

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