【認証Q&A⑩】PSE認証するための検査機関・生産工場との交渉方法などにお伝えします
こんにちは。管理人の堀です。
お客様の問い合わせの中で、「えっ!このPSE検査はJET(一般財団法人 日本電気安全環境研究所)以外でもできるんですか?」などと頂いたり、現在でも電波法認証のことを「TELEC認証」と呼ぶ方がいらっしゃいます。
TELECというのは「一般財団法人 テレコムエンジニアリングセンター」のことで、日本で初めて電波法認証をしたことでも有名であり、日本を代表する電波法認証機関です。
そのため、電波法認証のことをTELEC認証と認識している人もおり、中には電波法認証はTELECでしかできないと勘違いされる方もいらっしゃいますが、電波法認証を実施できる検査機関は、国内外で数多あります。
PSEに話を戻すと、もちろん、JETでしかできない検査もありますが、他の検査機関でも行えるものもたくさんありますし、工場検査が伴う特定電気用品の検査においても、海外の検査機関を使えることがあります。
また一方、海外(中国)工場の工場検査においても、なるべく安くJETを使う方法もあります。
つまるところ、PSEにしろ電波法にしろ、認証というのは検査機関選びから始まっているわけで、そういう選択肢があることを知らないと、PSEはすべてJET、電波法はすべてTELECという判断をすることになってしまいます。
もちろん、JETやTELECが悪いというわけではなく、工場の所在地や検査内容によって費用を安く抑えられることもありますし、仮にJETが繁忙期であった場合、他の検査機関のアテがないと認証が後回しにされてしまうこともあるのです。
実際に、約1か月半でPSE特定電気用品の検査をしたいというお客様がいらっしゃいましたが、JETがコロナウィルスによる自粛営業をしているため、とてもその期間で間に合わせることが難しかったので、当社では代替手段を提案させていただいたこともありました。
こういうプランが提案できるのも認証代行会社の務めであり、単純に「検査合格させます」と言っている会社を見ていると、それは当たり前の話であり、問題はどれだけお客様のニーズにあった提案ができるかどうかというところがポイントになってきます。
ただ、お客様のニーズは認証なんかしたくなく出来る限り安く、というところにあるのはわかっていますが、さすがにそれを実現するのは難しい部分が多くあります。
それでも認証は国家に定められた法律としてやらないといけないものという前提に立って、なるべくご要望に応じたサービスを提供したいと考えています。
今回は、検査機関や検査内容は自分のニーズである程度選ぶことができる、ということなどをテーマにしつつ、お客様から実際にあったご質問内容を紹介していきたいと思います。
Contents
日本国内の工場でもPSE特定電気用品の検査は中国検査機関を使えますか?
答えを最初に申し上げると使うことは可能です。もちろん、中国だけではなく、近隣諸国で言えば、台湾検査機関などの利用もできます。
日本国内工場であればJETを利用するのが基本だと思いますし、JETは非常に優れた機関ですので、ほぼほぼ問題はないと思います。費用的な観点から言っても、決して高すぎるということもありません。
さらに、JET担当者は当然日本語で対応してくれるので、国内工場で検査をするJETを使うことは自然の成り行きと言えるでしょう。もちろん、当社はJETへの申請代行も行っています。
ただ、一つ知識として覚えておいていただきたいのが、だからといって、日本国内工場が特定電気用品の検査を中国検査機関を使う可能性が0%といえば、決してそんなこともありません。
例えば、どうしても正味約1ヶ月半くらいで認証をしないといけない、また認証終了のデッドラインが明確に決まっており急ぐ必要がある、などなど、そういった場合、ケースバイケースですがJETに依頼するといわゆる特急費用が発生することもあります。
この金額はそれなりの金額が発生し、大手企業であれば簡単に支払えるでしょうが、中小・中堅企業であれば、そうした費用もなるべく抑えたいでしょう。
その場合、中国の検査機関を利用することを視野に入れていただけます。これもケースバイケースですが、基本料金はJETと同様でも、特急料金も加味すると、海外の方が急激に安くなってきたりします。
しかしその分、交渉相手が海をまたぐことになるので担当者の方も検査を丸投げということができず、相応に対応・協力していただくことになりますが、それでも費用面を考えたらかなりお得になります。
もちろん、中国検査機関で特定電気用品の検査をすることにハードルも多くありますが、せっかく開発した新商品の認証を発売日までに間に合わせたいということであれば、試してみる価値はあるでしょう。
詳しく知りたい方は、直接お問い合わせ頂ければと思いますが、まずはそういったことが出来るという知識だけを覚えておいてください。
試験はすべて一つの検査機関で行う必要はありますか?
必ずしも一つの検査機関で検査実施しなければならないことはありません。
認証試験はどこか一つの試験機関で試験が全部出来れば良いですが、実施できない内容があれば、その部分を別の検査機関に委託して、提出された検査レポートを採用するなどして、一つの試験として認証することが出来ます。
PSEを例にすると、一つの製品において、Aという内容は海外の検査機関でも検査が出来るけど、Bという内容は日本のJETでないと検査できない、ということがあります。
この場合、海外・国内双方の検査機関とコンタクトを取れるノウハウがあれば、うまく調整しながら一つの試験としてコーディネートすることが可能です。
一方で、検査機関との交渉するノウハウがない方や、そもそも中国語が出来ない方は、検査はJET一択という選択肢しかなくなってしまうのです。
もちろん、JET一択でも認証そのものは実行できるので、問題ないと言えば問題ないですが、前項でも書いたとおり、選択肢が少ないといざという時に高い費用を払わないといけない、費用を払ってやってくれるならまだいい方で、場合によって、希望日まで認証が終わらないというケースも生じてきます。
例えば、最近あったご相談では、モバイルバッテリーの電池自体は中国で生産するが、組み立ては日本工場なので、検査は日本の検査機関を使う必要があるか?というものがありました。
当社の回答は、すべて日本の検査機関でPSE電池試験をすると費用は割高になってしまうので、モバイルバッテリー電池単体(セル)は中国で検査を行い、組み立て品(電池パック)は国内の検査機関を使えばかなり費用を抑えられる、というものです。
基本的に検査機関を2つ以上に分けることはあまりないかも知れませんが、そういうことも出来るのだという認識があれば、納期が短い・予算がない、などの状況の中で、比較的優位に検査が出来る可能性があるので、その点は頭に入れておきましょう。
電波法関連の製品を中国から輸入する予定ですが、工場担当者にCE認証していると言われたのですが、関係ありますか?
残念ながら、日本の電波法とヨーロッパの技術基準であるCEは関係ありません。
中国工場は世界中に製品を提供していることがあるので、ヨーロッパのCE認証を取得していることはよくあります。
そして、それをそのまま日本に導入しようとする方もいらっしゃり、「CE認証あるので、(当然)電波法認証は不要ですね?」という質問を受けることは多々あるのですが、繰り返しますが、CE認証と電波法認証は無関係です。
日本で販売する際には電波法認証が必要です。
正直言って、CE認証しているレベルの製品であれば、技術的には問題ないと思うのですが、日本には日本の電波法がありますし、それは日本だけではなく各国で定めた電波法があり、それぞれを遵守する必要があります。
いわば関税代わりに認証があるというイメージでしょう。
ただ、電波法に関しては通信傍受などの懸念もあるので、しっかりとした技術基準が求められるのだと思います。
ということで、工場に「CE認証しているから大丈夫」と言われても、その言葉を鵜呑みにせず、日本で必要な認証は何なのか、しっかりと調べるようにしてください。
強制検査のPSEだけですれば大丈夫ですか?
対象の電気製品にもよりますが、特に、特定電気用品には、例えば、電圧変動試験、電圧サージ試験、静電耐圧試験、インパルスノイズ試験などのイミュニティ試験と呼ばれる電磁波に関するものをはじめとしてIECなど種々の依頼試験が存在します。
こういったものは強制試験ではありませんので、正直なところやってもやらなくても法律的には問題ありません。
以前に任意認証の是非に関するお問い合わせでもお答えしており重複する部分がありますが、こういった試験をやる・やらないのご判断はお客様の会社のスタンスや、用途によって違ってきます。
小売りをするなり卸売りをするなり、BtoCでもBtoBでも顧客に販売するものであれば、出来る試験をすべてやっておかないと商品にならないという考え方もありますし、業務用で大量に頒布するものであれば不要かも知れません。
正直なところ、依頼試験(任意認証)に関してはお客様の予算や製品にかける意気込みにもより、また細かい内容も多いので、こちらからご提案しにくいところもあり、現在は基本的にはお客様からの申告をメインとしています。今後はまた変わるかも知れませんが。
依頼試験のお話しをすると、お客様によっては露骨に嫌な顔をされる方もいらっしゃいますし、当社が手数料ほしさに不要な試験を押しつけていると勘違いされる方もいらっしゃいますが、あくまでやる・やらないはお客様のご判断にお任せしています。
必要最低限、PSE試験をして盲目的にすべての依頼試験を実施する必要もないと思いますが、それは自身で販路を持っている場合で、他社のチャネルを利用する場合はやはりいろいろ試験を揃えないといけないでしょう。
むしろ、そういった製品を扱うのであれば、PSEの基本試験以外にもどういった試験があるのかないのか、そういったところまでを事前に調べて予算組みをしていく必要があるでしょう。
大型電気用品のためPSE対象外と言われたのですが、他に何かやることはありますか?
PSEの説明として電源コンセントが付く電気製品は大体対象となるとしていますが、必ずしもすべての電気製品が対象というわけではありません。
対象有無については、経産相のページに記載されており、アイスクリームフリーザーを例示すると、
アイスクリームフリーザー(定格消費電力が500W以下の電動機を使用するものに限る。)
というものがあり、つまりアイスクリームフリーザーは定格消費電力が501W以上であればPSE対象外となります。
もちろん、ぴったり501Wということないでしょうが、業務用で使うような大型製品であれば500W以上の電力容量が必要になるモノは多々あります。
そうした場合、電源コンセントでは電源供給が間に合わず専用のプラグを使用することなどになってきます。そうすると、それはPSE対象外ではありますが、店舗などで安全に使用するために電気工事士などに電気設備として設置を依頼することが一般的となってきます。
そのくらいの大型製品を扱う事業者の方であれば、そうしたケースは既に把握されているかも知れませんが、初めて店舗用の電気製品を導入する場合などにご参考ください。
PSE対象外だったからラッキーということではなく、PSE対象外の場合にはまた別の確認事項が発生する可能性があるということを念頭に、関係各位への連絡・確認をしながら事業を進めて頂ければと思います。
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