PSCの原理原則。レーザー、レーザー距離計、バイクのヘルメットなど、人体への影響や生命にかかわる製品を扱う方に
こんにちは。管理人の堀です。
以前の記事で、PSE(電気用品安全法)と電波法(技適)について事業者として必要最低限知っておくべきポイントをご説明いたしました。今回はPSC(消費生活用製品安全法)についてのポイントをお伝えします。
当社の強みの一つは、PSC、PSE、電波法などオールジャンルの認証代行を扱っている点であります。中には、1つの商品に必要な認証が2つまたがっていることもあり、そうした商品も一回のご依頼で対応することができます。
さて、PSCについて。PSCで一般事業者の小売りビジネスで関係ありそうなのは、レーザーや乗車用(バイク)のヘルメットではないでしょうか。後述しますが、PSCの取扱品目はかなりマニアックですし、それらの検査をしてまで流通に乗せるというのは一般事業者ではなかなか難しく、それなりに資本を持つ企業が主になるのではないかと思います。
ただ、実際にどういったものがPSC対象で、どうやったらそれらの検査をできるのかを知っておくだけでも、事業者としての幅は大きく広がると考えています。
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PSC(消費生活用品安全法)とは?
「一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生の防止を図る」ことを目的に、当該製品に関して販売事業者に様々な規制を行う法律。昭和48年に制定。経済産業省管轄。
簡単に言うと、同省が指定した対象の一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる危険製品について、PSCマークを表示していないものは販売してはいけません。対象品、規制内容は時代の変遷に合わせてアップデートされています。
PSC法に違反すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、又はこれを併科、など様々な罰則があります。
ちなみに、PSCとは、
Product Safety Consumer の略称です。
PSCは特定電気用品と特別特定製品以外の特定製品の2つに分類される
では、どういったものがPSE対象になるのでしょうか?
経産省ページから引用した図をご覧ください。
乳幼児ベッド、携帯用レーザー応用装置、浴槽用温水循環器、ライターの特別特定製品と、
家庭用の圧力なべ及び圧力がま、乗車用ヘルメット、登山用ロープ、石油給湯器、石油ふろがま、石油ストーブの特別特定製品以外の特定製品があります。
PSC法は年々強化されているのですが、その背景の一つとしてwikipediaをそのまま引用すると、
2006年、パロマ湯沸器死亡事故、松下製小型ガス湯沸し器死亡事故や松下電器製FF式石油温風機の欠陥問題と呼ばれるガス瞬間湯沸かし器や石油温風機および家庭用シュレッダーによる幼児の指先切断やおしゃぶりによる顎変形症[3]などの重大事故の相次いだ発生を受けて経済産業省は本法律の改正に取り組み、重大事故についての報告義務、主務大臣による公表等の規定を盛り込む改正法案を作成した。
とあります。
また、ライターによる発火事故も問題となっていますし、石油ストーブなどもPSCマークが表示されていないものは絶対に使用しないなど冬のNHKでもよく呼びかけを行っています。
対象製品は複数あるPSCですが、冒頭でお伝えしたように一般事業者が実際に認証を行って流通に乗せられる可能性がある商品はわずかだと思います。正直言って、当社自身でも、例えば石油ストーブを扱うことはないでしょう。もちろん、認証自体は全然可能ですので、ご興味ある方はいつでもご連絡ください。
PSC検査の難しいポイント
管轄省庁・部署も同じであるPSEがありますが、PSC検査の難しい点として生産工場の検査が課されていることと、その検査を担うのは日本の検査機関もしくは関係団体に制限されていることです。
PSEでも特定電気用品(菱形PSE)は工場検査が必要ですが、外国の検査機関でも可能です。しかし、PSCの「特別特定製品」は日本国内の検査機関のみですので、生産が海外工場の場合、日本の検査員を当地まで派遣しないといけません。
そして、現在、生産の多くは海外工場(主に中国)になっていますので、それだけでも大変な負担になってしまいます。こうした点もPSCのハードルを高くしている点となっています。
なお、「特別特定製品以外の特定製品」は中国の検査機関でも対応可能となっていますが、そうした検査機関を探すことはかなり困難です。
また、PL保険の加入が義務付けられます。
しかし、それだけPSC該当製品による重大事故防止のために経済産業省が規制をかけていると言えます。試しに、ご自宅にある該当製品を観察してみてください。必ずPSCマークが表示されています。むしろ、表示がないものは違法となります。
レーザーを使ったユニークなガジェットが多く登場している
写真は当社が自ら認証を行った携帯用レーザー応用装置(レーザーポインター)です。セミナーや勉強会などで使われる定番製品ですが、実はこういったものがPSC対象になります。
携帯用レーザー応用装置については、以前から中国製の違法レーザーが問題となっています。レーザーが異様に太かったり、照射距離がとても長かったりと、人体およびその他の社会インフラに悪影響を及ぼす違法レーザーは長きわたり問題となっています。
一方、肖像権の問題で写真は掲載できませんが、工事現場や日常生活で使用するレーザー距離測計や、照射した対象物の温度を測るレーザー温度計などのガジェットもあるなど、レーザーの用途も広がっています。
すなわち、レーザーのPSC検査の需要は今後ますます広がっていくと予想されます。
【小話】当社で携帯用レーザー応用装置(レーザーポインター)検査をした苦労話
当社が一番最初に行った認証が携帯用レーザー応用装置(レーザーポインター)でした。当時、レーザーポインターが絶対に売れるという情報キャッチしており、是非、自社でも扱ってみたいという欲求がありました。
ただ、その為にPSC検査が必要と分かり、認証に関する情報も何もないままに、中国工場を見つけ認証を開始しましたが、最初は本当に苦戦しかありません。
工場が提供してくれる製品サンプルは、レーザー波長が違うということで、検査機関からことごとく突き返され、さらに検査機関は違う理由や改善点は教えてくれないので、すべてこちらで類推しながら新しいサンプルを作り直さないといけません。
今ではノウハウがあるので本来は数か月で終わる認証も、工場が多忙ということもありかなりの月日を擁してしまい、検査機関からは「年度末になるので一度、清算しませんか?」と言われる始末。このままではやばいということで、あらためて工場に精密なサンプルを作ってもらい、なんとか合格。
その後の工場検査も無事に終了し、PSC検査合格。無事に出品をすることもでき当社の主力商品として育ってくれたのです。
この話はほんのさわり程度ですので、ご興味のある方は是非お問い合わせしてください。
なお、以下は当社によるレーザー工場(中国)の工場検査時の画像です。中国の工場と言葉だけだとなかなかイメージしづらいですが、当然、しっかりとした実態があります。
こういったところに日本の検査員を派遣するわけなので、認証というものはやはりかなり大変な業務でもあります。ただその分、それを済ませてしまうと取り扱う商品の幅はグンと広がります。
左が社長、真ん中が堀、右がマネージャー
検査風景
検査風景
検査風景
打ち合わせ
悪質な違法品にご用心!中国事業者がPSCを取得できることはほぼありません
まず以てPSC検査の申し込みができるのは日本法人のみです。さらに、お伝えしているように検査自体に検査機関の工場検査が発生するため、費用も手間もかかるので、ちゃんとPSC検査をすることは大変な労力がかかります。中国事業者が(単独で)PSC検査をすることはほぼ不可能です。
そういうこともあり、中国事業者がPSC該当製品を販売している時点で、ほぼほぼ違法であると思っていただいて良いですし、むしろその商品は購入しない方がよいでしょう。
なお、具体的な品目は守秘義務の関係でお伝え出来ないのですが、2019年の夏頃に、PSC対象品を無認可でAmazonで販売していた中国事業者が、経済産業省の一斉取り締まりに遭ったそうです。
そういった意味でも、ハードルは高いですがPSCをちゃんとクリアすれば、ビジネスチャンスも大きいと言えますので、ご興味ある方はお気軽に当社までお問い合わせください。
次回以降にPSCの手続きのついても書いていきます。
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