格安PSEはあり得ない!?丸形PSE試験で侮れない部品試験の真実をお伝えします【販売事業者として一段上の高見に行きたい方必見】
こんにちは。管理人の堀です。
一般的な印象として、PSE試験というのは製品一個を丸ごと試験するというイメージかと思います。
しかし、以前の記事にも書いていますが、
「一度で試験が終わらない事例②資料が揃わず部品のPSE追加試験」部分
PSE試験というのは、製品本体の機械の内部構造、外部構造、筐体の材料、EMI試験などの他に、使われている部品の試験があります。
この部品試験の存在は、当然ながら普段からPSE試験に関わっている人でなければ把握できていませんし、また一度説明されても試験終了したら、忘れられてしまう存在でもあります。
ただ、この部品試験があることを予め理解しておかなければ、検査機関からぼったくりに遭ったり、逆に部品試験をしないまま検査終了する程度の低い検査機関の対応も出来ません。
また、この部品試験が実は販売事業者として一段上に行くためのキーポイントになることがあることをお伝えします。
Contents
もう一度、部品試験についておさらい
上記にもあるように、PSE試験には製品本体の機械の内部構造、外部構造、筐体の材料、EMI試験などの他に、部品試験というものがあり、使われている部品がPSE認定品であることが求められます。
場合によっては、アメリカのUL認定品、ヨーロッパのCE認証品でも認められることもありますが、それはケースバイケースになるので、その都度、検査機関と確認をする必要があります。
ここで申し上げておくと、部品試験というのは、PSE認定の部品を使っていない場合に行われるものです。既にPSE認定された部品であれば、その証明書を工場がサプライヤーから取り寄せて検査機関に提出するだけです。
ただ、部品というのはその製品ごとに合わせた形状・機能・仕様になっているものを採用するのが一般的なので、都合よくPSE認定された部品は入手しづらく、その為、製品ごとに部品試験が発生してくるのです。
なお、PSE認定品が求められる部品で代表的なのがコンセント(ケーブル)とプラグです。これらは絶対にPSE認定品でなければなりません。コンセントとプラグはよく見てみると、「PSE」と書かれており、目にした人も多いのではないでしょうか。
差し込み部分がプラグ、コンセント部分がケーブル。よく見ると、文字が書かれており、このなかにPSEの刻印もされている
PSEコンセント・プラグは1セットになっており、BtoBで市場販売されています。なので、コンセント・プラグの部品試験で困ることは、基本的に無いと考えられます。
余談ですが、このPSE認定プラグ・コードを使っていれば、PSEに準拠していると勘違いしている事業者も多いです。認定プラグ・コードを使った上で、製品本体のPSE試験が必要です。
丸形PSE(特定電気用品以外)でよくある3種の部品試験
家庭などで使われる比較的小型・中型の丸形PSEで必要になる部品試験は、
コンセント(ケーブル)、プラグ、(電源)スイッチ
です。
コンセントとプラグは上述のように、市場に出回っているPSE認定品を使うので心配ありませんが、問題なのはスイッチです。
こちらも上述したように、製品ごとに合わせてスイッチが使われることになるので、PSE認定品であることの方が珍しいです。このスイッチをPSEの技術基準に準拠しているかどうかの試験することになります。
正直なところ、今までのお客様の製品の中で、スイッチが試験不合格になることがありませんでしたので、それなりのサプライヤーが提供してくれるものであれば基本的には問題ないと考えています。
しかし、いずれにしても、部品も含めてPSE試験に合格しているという検査機関からの回答が重要です。
ちなみに、大型製品の部品試験となると、コンプレッサー(モーター)などが登場してくることがあります。これは製品を動かす動力になるので、製品本体としっかりと設定が合っていなければ試験中に火を噴くこともあり得ます。
多くの方が、PSEというと製品本体試験でいくら?という感じですが、実際のところではそうした試験も必要になり、総じてPSE試験は高いと思われてしまう事実もあります。
格安でPSE試験をしますという業者などを見かけると、「本当に出来るのか?部品試験までちゃんとやっているのか?」
キチンとやっている代行会社としては、という疑問を持たざるを得なくなってきてしまいます。
スイッチの例
部品試験が完璧でなくても事業届けが出来てしまう丸形PSEの真実
海外工場での丸形PSE試験が終了した後は、経済産業省にPSE(電気用品)の輸入時届けを行うことになります。その際には、必要な書類一式を提出することになりますが、それにはPSEの検査レポートは提出物に含まれていません。
なので、全般的な試験内容もそうなのですが、部品試験に限って言うと、部品試験(確認)が完璧に終了していない状態でも、その場で経産省のお咎めを受けることはありません。
今回は良いか悪いかの法制度はおいておきますが、経産省のチェック体制としては、事業届を行わさせ、何か製品事故が起きたり、もしくは流通後規制(試買テスト)でしっかりPSE対応をしていない事業者に対して、注意勧告などを行うということになっています。
また、製品全体ならまだしも部品一つで大きな事故などは起こらないだろうと考える事業者が少なからず存在するのも確かです。そうした状況で、部品試験を提案すると、当社が無駄な試験をさせようとしていると勘違いして、罵倒してくる方がいらっしゃるのも事実です。
その為、侮れがちな部品試験
資料を用意しない、資料が無い場合も試験をしない、ということでPSE試験そのものは不合格ですが、その他の安全試験だけを行っておけば、あとは大丈夫だろうと考える事業者様もこれまで幾度か見てきました。
丸形PSEの法の抜け道ではないですが、PSEのフローの中にある「基準適合確認」では、事業者は自ら手配をして製品内容を検査することになっていますが、それに「合格」していなければならない、とは記されていません。
なので、検査機関としても、「不合格」のレポートは出しておくよ、という感じです。不合格なレポートでも、経産省に申請する書類は用意できるのです。
一方、これが菱形PSE(特定電気用品)であれば、検査機関は不合格部分があれば証明書もレポートも出してくれず基本的に経産省への申請は出来ません。その点が丸形と菱形の大きな違いの一つになっています。
もちろん、ほとんどの方がキチンと部品(スイッチ)試験を行っているのですが、中には上記主旨により、部品試験をしないで済ませていることもあるのです。
どうしても工場が部品の資料を提出してくれず、部品試験にも応じてくれないというケースも、これまでに何度かありました。
リアル流通業の現場では部品試験についても細かく確認されることがある
最後に、部品試験をしておかないとリアル流通業で不利になる可能性があるというお話しをさせて頂きます。
経産省への事業届では、その際には中身の検査内容(レポート)については細かく問われることがないことはお伝えしました。また、ECモールなどでもそこまでうるさく言ってくることもありません。
経産省への事業届があれば十分という感じです。
しかし、ホームセンター、家電量販店、百貨店(デパート)などのリアル流通業で販売をする際には、相当細かく確認がされるケースがあります。
これは、当社のお客様の事例ですが、アメリカメーカー発製品で生産は中国、それを日本で販売する事業者様がいらっしゃいました。世界展開を考えており、日本でもECモールなどではなく、最初から百貨店などが販売の土俵になります。
もちろん、必要な認証試験はすべて終えているので、何も臆することはないのですが、百貨店の担当者から、PSEレポートにおける部品試験の箇所と、部品に関する実際の資料の提示を求められたそうです。
部品の資料については、工場の機密情報になるので、代行会社の当社から日本の事業者に提示することは出来ないので、アメリカ本国と協議して、中国工場と交渉していただきたいと伝えました。
百貨店の担当者がPSEに相当詳しいらしく、かなり突っ込まれたようでした。
ECが隆盛を誇っているようですが、市場規模的にはまだまだリアル流通の足下にも及ばない状態です。ECよりさらに高みを目指してリアル流通業にも手を伸ばすには、部品試験を含めたキチンとしたPSE試験を行うことが外せません。
そういったことも念頭に入れて、PSE試験に臨んで頂ければと考えます。
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