アメリカ工場製品のPSE認証に関して中国工場との違いは?認証費用は?などなど疑問にお答えします
こんにちは。管理人の堀です。
当社は中国工場のPSE、PSC、電波法などの認証を得意としていると思われがちかも知れませんが、実際のところ、日本語・英語・中国語が通じれば世界中どの工場の認証も対応が可能です。
中国語が通じるという意味では台湾工場の認証も多いですが、最近ではアメリカ工場(アメリカ本社)の案件を受けることが多くなってきています。
アメリカ本社・工場が日本の輸入事業者を通じて、またアメリカ本社が中国工場に作らせたものを日本の輸入事業者を通じて、日本国内で販売するパターンなどがあります。
やり取り自体はアメリカでも中国でもさほど変わらず、ZOOMがあれば世界中どこでも打ち合わせは可能ですし、こちらの中国人技術者はむしろ日本語より英語が堪能ですので、コミュニケーション上は大きな問題はありません。
そうはいっても異国間での認証業務になりますので、必ず何かしらの問題があるわけでして、今回はそういった課題などをお話しをさせて頂ければと思います。
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そもそもアメリカ工場製品を認証する背景
当メディアでは中国製品のことを書いていますし、中国勢の日本進出(侵略?)が大きく取り沙汰されているので、日本へ輸出してくるのは中国(もしくはアジア勢)と思いがちですが、GDP世界第3位である日本市場に売り込みたいと考えるのは中国だけではありません。
当然、アメリカやヨーロッパの会社なども日本市場を狙っています。また、アジア市場で販売を拡大するためのテストマーケティング市場としても、日本をターゲットにするということもあります。
しかし、日本のPSEなどの独自ルールで規制は厳しくあり、また差別的な発言だと思いますが、アメリカ人などは中国人より良識がありますので、それこそある程度はちゃんと認証をするべきだと考えています。
なので、日本の輸入事業者としっかりと提携したうえで、当社に相談があるのです。日本の事業者としても、アメリカ発の新製品を扱うということはビジネスとして大きなアドバンテージになります。
一番大きな問題はEMC(EMI)、日本とアメリカの基準が違う?
アメリカ製品を日本のPSE認証する際の一番の問題はEMI試験ではないかと思う。
EMI試験が問題になる理由は、
この記事の「海外製品がEMC試験で不合格になる理由(当社事例)」でも書きましたが、
簡単に言うと検査基準が違うことです。
特に、アメリカのFCC基準は、IECの国際基準とは違います。一方で、日本やヨーロッパなどはIECを採用しています。どちらが優れているかというよりは、採用している基準が違うので、それだけで試験は通りにくくなるのは当然のことでもあります。
ただこういうことを事業者本人は知りませんので、自分たちはアメリカで普通に製造しているのだから、日本のPSEだってそれほど難しくなく合格するだろうと考えがちです。
しかし、実際のところはそういったハードルがあるので、このページで事前に学習しておいていただければと思います。ちなみに、今まで当社が扱ったアメリカ製品の日本のEMI試験はすべて不合格になっています。
結局、中国から部品の調達をするパターンが多く、時間が掛かる
アメリカ工場で生産する際、日本のPSEに準拠した部品を調達することが難しいケースが多くあります。
ここで言う「PSEに準拠した部品」について簡単に説明させていただきます。一つの製品を構成するために無数の部品が必要になりますが、その中で、PSEに認証されている部品を使用していることが要求されることもあります。
1つの製品全体をPSE認証するためには、各部品がPSE認証されている必要があるのです。大体この場合、部品のサプライヤーが独自でPSE認証した部品を販売しています。
ただ、アメリカの場合は、遠く離れた日本で使う部品をPSE認証していることが少ないのが実情で、そうすると部品は中国から購入する・せざるを得ないパターンが多いです。
その時に問題になるのが、アメリカの会社が中国のサプライヤーを見つけることの困難さですが、それは日本の輸入事業者がやっても同じことです。また、日本国内のサプライヤーを使うと高いので、そうなると価格に転嫁せざるを得なくなってきます。
そうした際、当社のように中国のサプライヤーとコンタクトが取りやすい代行会社の存在は、お客様に大変喜ばれたりします。
しかし、いずれにしも、中国からアメリカまでの輸送費は時間・お金が掛かるので、その点だけはどうしようもないのかな、というところです。
時差の関係で打ち合わせ時間が合わせづらい
これは仕方ないですが、日本とアメリカでは10時間以上の時差があります。州(西海岸・東海岸)によっても違いますが、大体の場合が、日本・中国側は夕方~夜、アメリカは朝という打ち合わせになります。
また、その後のメールなどでも時差の為に、こちらが通常の営業時間に連絡したとしても、返事があるので夜中ということもしばしば。
認証をスピーディーに進めたいと思っても、こうした物理的な壁がありますので、ある程度は長期戦になる覚悟はされたおいた方がよいかもしれません。
アメリカ工場は中国を警戒していることが多く、事前調整が大変
米中貿易摩擦の影響もあるのか、特にアメリカ側は中国に製品サンプルを送ることに執拗なくらいに抵抗感を持っていることをよく見かけます。
もちろん中国国内でも、中国メーカー(工場)が社外にサンプル・技術資料の提供を拒否されることよくあります。それが、第三者機関の検査機関であっても同様のため、その際は、NDA(秘密保持契約書)を結んで解決しています。
しかし、アメリカ企業としては中国側はそもそもNDAを守らないだろうという、身も蓋もない認識を持っていることもあり、そうすると検査はアメリカでやって欲しいという要望を受けたりします。
当社ではもちろんアメリカでの検査アレンジメントは出来ますので、それ自体は問題ないのですが、そうするとアメリカの検査機関は基本的に費用が高いので、またそこでひと悶着したりします。
また一方で、アメリカメーカーが中国工場に委託して製品を作らせていることもあり、その場合、検査自体は中国工場が中国で行うのですが、必要な技術資料はすべてアメリカから提供するというパターンもありました。
つまるところ、アメリカメーカーの主導の下、中国工場は本当に組み立てだけやっているイメージです。もちろんそれでも構わないのですが、当社としては、認証実務を行う部署と書類提供する部署が違うので、正直手間が増えて大変です。。
また、先述したように、アメリカとは時差があるので、要求した資料もすぐには入手できません。そういったところでも時間が掛かったりしています。
アメリカ本社の認証をする事はほとんどないとしても…
正直、そのような機会はほとんどないというのが本当のところでしょうが、中国だけではなく、アメリカも関わってくるようになると、以上のような問題も登場してきます。
今後ますますグローバル化が進んでいきますので、日本で販売する製品も、多国間が関わってくるケースも増えてくるでしょう。そうした際に、今回の内容が参考になれば幸いです。
特に、中国輸入のプレイヤーが多くなりつつある昨今、他社と差別化する意味でもアメリカ製品を輸入するというビジネスも注目されてくるかもしれません。
また、単純にアメリカメーカーの製品を認証する必要がある、ということはまずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
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数々の認証を経験・成功させてきた堀雄太が認証ビジネスに軸にして、中国・日本における新規認証ビジネスの構築の仕方や、中国ビジネスなどを紹介しています。
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