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電気用品安全法(PSE)別表八の「電気消毒器」の改正及び法解釈事例についてお伝えします

 2023/01/23 PSE 事例 日本国内ビジネス 認証の原理原則
この記事は約 10 分で読めます。 26 Views

こんにちは。管理人の堀です。

2021年12月28日付で電気用品安全法 別表八における、殺菌灯を有する電気消毒器(光源及び光源応用機械器具)の器体外に直接殺菌灯の光線を照射する構造のものを電気用品安全法の規制対象として取り扱うことを明確にすべく、法改正が行われました。

1年間の据え置き期間を経て、昨年2022年末に本格施行されています。

この分野に普段接していないほとんど多くの方は、何のことですか?という感じだと思いますし、それが通常の反応でしょう。

ただ、電気用品の販売を行う事業者の方においては必ず把握しておいた方が良い法改正ですし、以前に電気消毒器のPSE試験をされた方は、殺菌灯の試験を再度やり直す必要があります。

今回は、PSE(電気用品安全法)の法制度のおさらい、今回の法改正のポイント、お客様から問い合わせあった法解釈のリアルな事例などをお伝えしていきたいと思います。

 

そもそも電気用品安全法 別表八とは何なのか?

かなりマニアックな話なので、簡単に流しておいていただければと思いますが、少しだけお伝えしておきます。

PSE(電気用品安全法)には、
(1)日本独自の技術基準(JIS)
(2)国際規格(IEC規格)に準拠し日本独自の考え方を追加した技術基準(一般的にIEC-J規格という)

 

の大きく2つの技術基準があります。(1)は電気用品安全法別表一から十一まであり、(2)は国際規格に準拠して同法別表第十二となっています。

これらの技術基準に基づいて、各製品のPSE検査が行われます。

PSEの技術基準は日本独自の規格(JISベース)と国際規格(IECベース)の2つが存在しており、基準内容を満たしたPSE試験を行っていれば、どちらの規格を採用した試験でも構わないことになっています。

そうした状況で、海外の検査機関で海外工場生産は、日本規格より海外規格を採用して試験をする事が多くあります。考えてみれば当然かと思います。しかし、中には、日本規格でしか試験ができない製品も存在しています。

細かい規定はいろいろとあるのですが、とりあえず流れだけでも把握しておいていただければと思います。

ちなみに、一般的な家電品のほとんど多くは別表八に該当しており、今回の電気消毒器も別表八に該当し、それの法改正が行われたということになります。なお、別表八ですので、上記の通り日本規格(JIS)での適合範囲です。

 

電気消毒器の技術基準改正ポイント

引用:経済産業省ホームページ_電気用品安全法_トピックス_電気用品の範囲等の解釈についての一部改正について

 

経済産業省の資料を引用していますが、いろいろ書いてあって正直よくわからないと感じです。条文の新旧対象でも見ていきましょう。


引用:経済産業省資料_電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈についての一部改正について

 

これを見るともう少し具体的に理解できてきます。

要するに、電気消毒器に使用されている殺菌灯(UVランプ)の構造の定義が、

(旧)
構造:殺菌灯を有するものにあっては、通常の使用状態において、光線が直接外部に漏れない構造であること。

 

とだけあったところに、

(新)
構造:殺菌灯を有するものにあっては、通常の使用状態において、次の いずれかに適合すること。
(イ)器体内のみに殺菌灯を照射するものにあっては、光線が直接外部に漏れない構造であること。
(ロ)器体外に直接殺菌灯を照射するものにあっては、次に適合すること。
a JIS C 7550「ランプ及びランプシステムの光生物学的安全 性」の表2及び表3に掲げる「目及び皮膚に対する紫外放射傷 害」リスクが免除グループであること。ただし、人体に傷害を 起こさないようにタイマーや人体検知センサー等により照射が限定される構造である場合は、この限りではない。
b 外かくの見やすい箇所に、通電、停止の状態が容易に判別できる表示をすること。また、器体に見やすく、容易に消えない方法で、かつ、理解しやすい用語により、JIS C 7605「殺菌ランプ」の「9.1 製品の表示」に定める図記号及び次に掲げる事 項を表示すること。 (a)眼の痛み又は視力障害の原因となるため、点灯中のラン プや反射光を直接肉眼で見ない旨
(b)皮膚の炎症又は日焼けをおこす原因となるため、点灯中 のランプからの紫外放射(殺菌線)を皮膚に直接又は間接に当てない旨

 

というように、構造の規定をかなり綿密にしています。そして、それを証明するための試験が別途必要になります。

他にも、製品への殺菌灯に関する注意表示を義務付けています。

これらの法改正を行う背景として、

殺菌灯を有する電気消毒器について、器体外に直接殺菌灯の光線を照射する構造のものが急速に普及しつつあるため、電気消毒器の安全上必要な技術基準を技術基準解釈に追加するとともに、器体外に照射する電気消毒器が電気⽤品安全法の規制対象であることを明確化する。

 

と、経済産業省は説明しています。殺菌灯が急速に普及する背景として、コロナウィルス感染拡大による、生活者の環境意識の高まりがあると考えられます。

 

法解釈におけるバトル 間違っていたのは法曹家の見解

一連の経緯 製品は電気用品安全法 別表十二で試験した空気清浄器

今回の製品は、海外生産の空気清浄機で中国検査機関を利用しました。また、別表八で試験しなければならない電気用品区分はないので、海外ベースでの別表十二で「空気清浄器」でPSE検査を行いました。

試験も特に問題なく無事に終了。初めてのPSE試験にお客様もかなり不安が強かったようですが、試験も順調に進み安堵されていました。後は日本で販売を行うだけ、というところまで話が進んでいきました。

 

Amazonで審査落ち 殺菌灯の別途試験を要求される

PSE試験も終了し、時間も経っていたので、正直今件について忘れかけていた頃にお客様から連絡を頂きました。

Amazonから出品拒否の連絡が来ました。併せて、IECベースの殺菌灯に関する試験を受けるように促されました。どうしたらよいでしょうか?

 

話が唐突過ぎると思い、もう少し詳しく確認する必要があると感じました。また、お客様は、今回のPSE試験内容に不足があったと思われているようで、その根拠についても聞いてみることにしました。

ちなみに、今回の空気清浄機には殺菌灯は内蔵されていますが、それが主たる独立した機能ではないので、「空気清浄器」の電気用品区分とは別に「電気消毒器」の電気用品区分が独立して発生することはありません。

 

法曹家は別表八の電気消毒器試験が必要だと主張

話を聞いていると、どうやらその方はセカンドオピニオン的に電気用品安全法(PSE)に詳しいらしい法曹家にも相談していたようです。

その法曹家によると、

今回テーマの殺菌灯に関する別表八の法改正があったため、その点をAmazonが指摘しているのだろう。別表八での試験が必要かもしれない。

 

とのこと。お客様は、大慌てで当社に連絡をすることになりました。

当社としては、この法曹家の見解に対して、「何言ってんだ、こいつ?」と感じました。ポイントとしては以下のようになります。

・そもそも今回の空気清浄機は別表十二で行っているので、別表八の法改正は無関係
・別表十二の中には「殺菌灯」に関する独自の試験項目があり、それに関してはキッチリ合格している
・IECベースの殺菌灯に関する試験は任意試験の為、やった方が良いかもしれないが、決して強制ではなく、Amazonが要求していること自体が少々意味不明
・今回の別表八の法改正は「電気消毒器」に関する内容で、電気消毒器に該当していない本製品は無関係

 

専門的過ぎるので上記を理解できる方は少ないと思いますし、ご説明差し上げたお客様も正直、頭の中に疑問符が溢れていることがわかりました。

 

経済産業省見解を以て対象外と確定、Amazonも審査通過

一応、裏を取るために技術者の方から経済産業省に直接確認を致しましたが、まさにその通りとのこと。あとは、Amazonに正しい法解釈を伝えれば出品は許可されると思ったので、当方から上記主旨の案文をお客様に送り、それをそのままコピペで送信してもらいました。

すぐに出品OKの回答!

 

お客様から大変感謝頂きました。

ひとつ覚えておいていただきたいのは、Amazon(の担当者)も決して許認可認証の専門家ではなく、当方から見ると、全然おかしい解釈で出品拒否をしていることもざらにあります。

もちろん正しい解釈をしていることもあるでしょうが、言われたことをそのまま鵜呑みにせずに、しっかり理論武装して回答すれば、今回のように要求を覆してそのままオールOKになることもあるのです。

第一、PSEの電気消毒器の試験(強制認証の)カバーとして、IECベースの任意試験を勧めてくること自体意味不明でした。いずれにしても、無事に解決が出来て良かったと思っていました。

 

諦めきれない法曹家が執拗までに別表八を主張

またしばらくしてお客様から、例の法曹家の方が、やっぱり別表八の基準が必要だからIEC試験をした方が良いと主張していると連絡がありました。

Amazonが通ったとしても、本当に法律をクリアしていなければ、何かあった際に貴社の責めとなります。

 

お客様としては、そういうことを言う人がいる以上、解決しておかないと曇りなくビジネスができないとのこと。正しく仰る通りなのですが、当方からはあらためて法解釈をご説明、そして、技術者からも同様の回答があったために、今のままで進められることをご判断されました。

もちろん慎重論を必要だと思いますが、そもそも間違った解釈はお客様を混乱させるだけ。ちなみに、認証のセカンドオピニオンに関する見解はこちらもご参考ください。こちらも今回の案件をベースにした記事になっています。

PSE、電波法、PSCその他諸々許認可認証でのセカンドオピニオン選びは慎重に

 

ご依頼主のご判断でそのまま継続、念の為、JET回答書をエビデンス

法的には問題ないということで、現状はそのままビジネスを進められることになりましたが、今回の解釈について、関係各位からいろいろ言われる可能性もありますし、Amazonからまた同じような対応をされることも予測されます。

経済産業省についても、今回の見解は決して書面にはしてくれません。

今後のことを考えると、書面での見解(エビデンス)もあった方が良いとのことで、JET(一般財団法人 電気安全環境研究所)の回答書を要求することにしました。

ただ、JET回答書もちゃんとした質問をしないと、全然違う見解を示してくる可能性があるので、当社に委託していただくことになりました。

いずれにしても、すべての問題が解決されましたので、後はお客様のビジネスの発展を祈念するのみとなります。

 

電気消毒器(殺菌灯)を含む製品のPSE試験は要注意

今回の空気清浄機における電気消毒器(殺菌灯)の法解釈はあくまで一例です。そもそもPSE試験を別表八で行うのか、別表十二で行うのか、それによってもいろいろ見解は違ってきます。

なので、すべてを一元的に考えず、殺菌灯を含んだ製品を試験するたびに、どういった解釈が必要なのかを確認するようにしてください。そして不明点あれば、認証代行の前に認証セカンドオピニオンとして当社を活用して頂ければと思います。

 

 

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