象印、ベイシア、ハイアール、シャープ、サンコー、ブラザー、ナカバヤシ、オムロン、タカラトミー、パナソニック、NEC、ヤマハ、ニトリ、ブリヂストンなど有名メーカーがPSEに関連でリコールした2022年事例
こんにちは。管理人の堀です。
どのようなことをしたらPSE違反になるのか?というお話を書き続けていますが、では実際にPSE違反してしまうとどのようになるのか?という一つの回答を今回ご紹介したいと思います。
経済産業省では、製品リコールになった企業及びその製品の公表をリアルタイムベースで、自らのホームページ内で行っています。その中には、PSE(電気用品安全法)の不備・違反によるものもありますし、その他の製品不備のものも掲載されています。
引用:経済産業省ホームーページ_リコール情報(以下の引用はすべて同一)
今回の内容は、リコールの中でもPSE違反・不備による事例をまとめたお伝えしていきます。正直言って、誰でも一度は聞いたことのある有名企業ばかり。こうした会社でもPSE基準を満たしきれていないということになります。
このような事例だけをまとめるのは、吊し上げをしているようで決して良い趣味とは言えないことは自分自身理解しています。
しかし、ケーススタディを学ぶことによって自社でPSE製品を扱う際にはどのようなことに注意をしたら良いのかなどを体得していっていただければと考えています。
また、そもそもとして、今回の話も経済産業省のページにあるものだけを使っていますので、基本的にはオープン情報です。秘匿されている情報を勝手に公開しているわけでもありません。むしろ、多くの国民が知るべき情報なのです。
正直、2022年のリコール情報だけでも大変多く、今後は半年に一回の程にお伝えしていければと考えています。量が多過ぎるので、2022年に起きたリコールの一部をごく簡単に紹介していきます。
事業者の方は他山の石として参考にして頂ければと思いますし、一般ユーザーの方は読み物としてご活用して頂ければと思います。
Contents
株式会社ベイシア電器のリチウム電池内臓充電器
早速、個別の事例を見ていきましょう。
リコール実施日:2022年11月21日
製品名:リチウム電池内蔵充電器
販売期間:2020年7月24日~2022年9月11日
リコール事業者名:株式会社ベイシア電器
リコール実施の理由:充電中に当該製品が発煙・発火する可能性があるため。
リコール製品の概要:回収・返金
対象台数:149台
「充電中に当該製品が発煙・発火する可能性があるため。」ということで、製品に内蔵されている充電アダプターに問題があったのだと推測されます。
象印マホービン株式会社の電気ホットプレート
リコール実施日:2022年11月17日
製品名:電気ホットプレート
販売期間:2022年7月4日~2022年9月13日
リコール事業者名:象印マホービン株式会社
リコール実施の理由:長期使用すると、ヒーター及び遮熱板に微量の電流が流れる可能性があるため。
リコール製品の概要:回収・返金
対象台数:7,056台
微量の電流というのがどの程度かわかりませんが、基本的にPSE試験でチェックされる内容です。いずれにしても、リコール数7000台規模というのは大きいですね。
株式会社アズマの電気冷蔵庫
リコール実施日:2022年10月17日
製品名:電気冷蔵庫
販売期間:2017年1月10日~ 2020年1月15日
(2016年12月2日から2017年3月29日までに製造したものが対象)
リコール事業者名:株式会社アズマ
リコール実施の理由:適切な検査を行っていない部品が使用されており、発火するおそれがあるため。
リコール製品の概要:無償部品交換
対象台数:2,192台
PSE試験には部品検査というものがあります。使用されている部品がPSE純正品であるか、もしくは一般部品でもPSEの技術基準に沿っているかどうかを確認する試験がありますPSE検査後に、適切な検査を行っていない部品が使用されてしまったのでしょうか。
株式会社はぴねすくらぶの電気ストーブ(オイルヒーター)
リコール実施日:2022年10月12日
製品名:電気ストーブ(オイルヒーター)
販売期間:2016年製造分 2016/11/3~2017/10/9
2018年製造分 2018/10/13~2019/10/14
リコール事業者名:株式会社はぴねすくらぶ
リコール実施の理由:製品が焼損する重大製品事故が発生し、同様の事故発生の可能性があるため。
リコール製品の概要:回収・部品交換
対象台数:2016年製造分 4248台
2018年製造分 5084台
合計 9332台
詳しい状況はわかりませんが、同社の広報を見る限り「電源基板の半田において不良があり、そのままご使用いただくと最悪の場合、発火する恐れがある事が判明いたしました。」とありました。
ハイアールジャパンセールス株式会社の電気炊飯器
リコール実施日:2022年10月11日
製品名:電気炊飯器
販売期間:2018年11月~2022年4月
リコール事業者名:ハイアールジャパンセールス株式会社
リコール実施の理由:製品が焼損する重大製品事故が発生し、同様の事故発生の可能性があるため。
リコール製品の概要:回収・交換
対象台数:52,092台
同社の広報を見る限り、製品に発煙・発火に至る可能性が判明し、これまで重大製品事故が5台発生しているようです。具体的な原因はわかりませんが、いずれにしても5万台以上の回収は衝撃的だと感じました。
シャープ株式会社のエアコン
リコール実施日:2022年9月20日
製品名:エアコン
販売期間:2019年12月~2022年9月
リコール事業者名:シャープ株式会社
リコール実施の理由:制御基板の不具合により発煙、発火するおそれがあるため。
リコール製品の概要:点検・修理
対象台数:13,120台
同社の広報を見る限り、「室内機の制御基板の不具合により、ごくまれに同基板が発煙、発火する恐れがあることが判明いたしました。」とのこと。
サンコー株式会社の電気こたつ
リコール実施日:2022年9月20日 製品名:電気こたつ
販売期間:2021年9月25日~2022年2月1日
リコール事業者名:サンコー株式会社
リコール実施の理由:製品が焼損する重大製品事故が発生し、同様の事故発生の可能性があるため。
リコール製品の概要:回収・返金
対象台数:3,865台
同社の広報を見る限り、「一部の製品で電熱線の被膜が劣化する事により、製品の焼損・発火に至る可能性があることが判明いたしました。」とのこと。
株式会社ディックコーポレーションの直流電源装置
リコール実施日:2022年7月5日
製品名:直流電源装置
販売期間:2021年9月25日~2022年2月1日
リコール事業者名:株式会社ディックコーポレーション
リコール実施の理由:PSEマークに対する登録検査機関が記載されていないロットが確認されたため。
リコール製品の概要:回収・交換
対象台数:23,263台
これは流石にエグイなと思いましたが、特定電気用品(菱形PSE)の製品には、PSEマーク以外にも、検査を行った登録機関検査の名称(ロゴ)を掲載する必要があります。正直、かなり細かい話ですが、それでも製品回収の対象になってしまうということです。
タカラトミー株式会社のACアダプター
リコール実施日:2022年6月14日
製品名:ACアダプター
販売期間:2021年2月~2022年6月
リコール事業者名:株式会社タカラトミー
リコール実施の理由:「電気用品の技術上の基準を定める省令」で定める技術基準に適合していないことが判明したため。
リコール製品の概要:回収・交換
対象台数:24,000台
同社広報を見ても、具体的な内容はわかりませんが、これによる事故などは発生していないようです。
その他の事例
数が多いので、後はメーカー名と対象製品名のみを記載しておきます。ご興味ある方は、冒頭のリンクからページにアクセスしてご覧になってみてください。
ブラザー工業株式会社のACアダプター(空気清浄機用)
ナカバヤシ株式会社の電動鉛筆削り機
レッドレンザージャパン株式会社の充電器(防爆LEDライト用)
オムロンソーシアルソリューションズ株式会社のリチウム蓄電池
株式会社安芸グラス工芸の表札(LEDライト付)
岡田エージェイ株式会社の電気ストーブ(ヘリテイジヒーター)
株式会社MTGの電気足温器
東光商事株式会社の電熱衣類(マフラー)
有限会社潮庭商事の電気ストーブ
株式会社スチールの電動工具(丸のこ、充電式)
株式会社ビバリアのペット用ヒーター
株式会社ふたオリの運動器具(振動トレーニングマシン)
タイガー魔法瓶株式会社の電気湯沸器、電気炊飯器
ヤマハ発動機株式会社、ブリヂストンサイクル株式会社などの電動アシスト自転車用バッテリー
ニチコン株式会社のリチウム蓄電池
ダイアテック株式会社の自転車用ライト
VAIO株式会社のACアダプター
株式会社テクノインパルス株式会社の電機接着器
NECパーソナルコンピュータ株式会社のノートパソコン
株式会社ニトリホールディングスの電気温風機(セラミックファンヒーター)
株式会社ゼリックコーポレーションのヘアアイロン(充電式)
株式会社マウスコンピューターの液晶ディスプレイモニター用ACアダプター
基本的に多いのが部品不良
取り上げた事例を見ていると、その大半は製品の一部部品の不良・不具合などによる発火・故障事故です。恐らくですが、PSE試験をした時点では問題は無く、(その時点で問題があればPSEは合格しませんので)後から違う部品を使うなどが生じたのだと個人的には感じています。
イチから組み立て・生産をしているメーカーならともかく、生産をすべて海外工場委託している輸入事業者であれば、正直防げるものではないというのが本音でしょう。私もそう思います。
しかし、一番に優先されるのはユーザーの安全性ということと、結局、責任を負うのは事業者自身であるということを考えると、ある程度売れている製品であれば、抜き打ち検査をして問題点があれば、生産工場と協議するという仕組みづくりではないでしょうか。
今回の記事がそうしたことを考えるきっかけになれば幸いです。
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