三菱電機、日立(グループ)など大手企業の不正検査発覚が相次ぐ中、経済産業省のPSE・PSC取締りが強まっている
こんにちは。管理人の堀です。
最近ニュースでも話題になっているのが、三菱電機の複数工場での不正検査問題や、日立製作所の子会社で自動車部品大手の「日立アステモ」による自動車部品の不正検査問題。
一昔前までにあった日本の安全神話はどこ吹く風、という感じが否めませんが、もちろん以前まではちゃんと検査をやらないと品質が担保できていなかった一方で、生産技術そのものが上がってきているのであれば、厳格な検査自体も必要かどうかわからなくもあります。
事実、虚偽の検査データをでっち上げていた日立アステモに関しても、部品納入先のトヨタやホンダは、「性能や安全に影響はない」と判断し、車のリコールをしない方向とのことです。
しかし、そういっても、ズルを繰り返していたことには変わりなく、企業としてのブランド力は落ちることになるでしょうし、企業が生産する製品の安全を管轄する経済産業省としては、自分たちの面目が立ちませんので、今後取締りが強化されることは容易に想像できます。
そうした話と連動しているのかどうかはわかりませんが、経済産業省によるPSE・PSC取締りが強化されていると個人的に感じています。
今回は、日本行政書連合会が発行する「月刊 日本行政 2021年12月号」に、経済産業省産業保安グループ製品安全課が、同課が管轄する「製品安全4法」の概要とその手続きについて寄稿があったことと、その背景や個人的な見解などをお伝えしたいと思います。
Contents
「月刊行政」に経済産業省がPSE、PSCなどの許認可業務に関する解説を寄稿
電気用品安全法を始めとした製品安全4法は、危害発生のおそれがある製品を指定し、製造・輸入事業者に対して国が定めた技 術基準の順守を義務付けています。 この度、制度を所管する経済産業省製品安全課より、これらの手続に係る代理申請を行っている行政書士に制度周知に協力いた だきたいとの要請があり、製品安全4法の解説記事を寄稿いただきましたので、御案内いたします。
冒頭にこのような説明文があり、経済産業省製品安全課による序文が始まります。
経済産業省産業保安グループ製品安全課では、消費者が日常で使用する大半の製品の安全性に係る法令を 所管しています。その法令と手続の概要について御紹介させていただきます。
Ⅰ.製品安全4法とは
「製品安全4法」とは、「消費生活用製品安全法」「電気用品安全法」「ガス事業法」「液化石油ガスの保安の確 保及び取引の適正化に関する法律」の4つの法律の総称であり、消費者が日常で使用する大半の製品が対象 となります。各法律で、消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれのある製品を指定し、それら 製品の製造事業者及び輸入事業者に対して技術基準の遵守を含め、様々な義務を定めています。
これ以降は、製品4法のそれぞれに該当する対象製品や簡単な法制度の説明がされています。ちなみに、「消費生活用製品安全法」はPSC、「電気用品安全法」はPSEのことを指しています。
何故、「月刊日本行政」という行政書士向けの冊子に寄稿されたのか、行政書士の方に見解を伺ってみると、
ちゃんと手続されていない製品が市場にたくさん出回ってしまってているので、メインで管轄となっている行政書士に対して、提言をしたのだと思います。それだけ数が多いのであれば、行政書士(士業)としても仕事は多くなるかも知れませんね。
ということでした。
ちなみに、本筋からは少し離れますが、この中で興味深かったのは、
なお、各届出は、原則として、個人又は日本国の法令に基づく法人格を有する企業、団体等のみが行うこ とができ、海外に籍を置く法人は、会社法に基づき、日本における代表者を選任して登記を行っている場合 を除き、届出事業者には該当せず、電気用品安全法上の届出は行えないこととなっています。
という点。製品4法に関して、事業届けを行えるのは日本法人のみ。つまり、中国など海外事業者が単独でPSE、PSCの届けはできないのです。もちろん、当社はその事を知っていますが、あらためて経産省の見解を聞けた気がしています。
最近は、AmazonなどのECモールで「PSE取得しています!」と宣わっている中国事業者を目にすることがありますが、そもそもそれは日本の法律上は不可能なのです。そうした事業者を見かけたら、まずは疑いの目を持って臨みましょう。
事業者も正しく理解できていないPSE・PSCだから士業先生に期待!?
ここは当社の独自の見解ですが、何故、行政書士向け冊子にこの内容が寄稿されたのか。本来であれば、販売するのは事業者なので、事業者向けに発信すればよいのにそれをしない理由は何なのでしょうか?
1つ考えられるのは、事業者の属性が細分化しすぎているために、経産省はそこにリーチできる発信ノウハウを持っていない。
そして、かなり穿った見方をすると、自分たちが発信できる(行政書士=士業先生の)メディアに対して、効果はともかく「発信した=仕事をした」という実績だけは作っておきたかった、という経産省の役人的な発想があるのではないかと考えてしまいます。
しかし、いずれにしても、経産省としても製品4法における法令順守がままならない状態にあるという問題意識があるのだとは考えられますし、ビジネスチャンスというのは、そうした省庁の意向・流れと強い結びつきがあるのは事実です。
そういう意味でも、抑えておきたいビジネスの流れであると思います。
そもそも重要なのは事業届けではなく検査手配
しかし、正直なところ、製品4法、特に電気関連の許認可申請自体はそれほど難しくありません。事業者単独でも何とか出来てしまうという印象もあります。
それよりも大事なことは、電気関連はすべてPSE法、PSC法などに定められた技術試験が課されているという点です。これは、「法律+技術」の話なので、ここに食い込める士業の先生もほとんどいない状態です。
士業の方に相談に行ったお客様の話によると、
正しい書類(検査結果)を持ってきて頂ければ、申請業務は滞りなく行います。
と言われてしまったそうです。
電気関連の許認可業務では、その検査結果を用意するのが一番難しいのに。。。そういう点からも、経産省の寄稿はいささかピントがずれていると個人的に感じています。
一方、当社ビジネスの売りは、もちろんその検査の手配までも行えることです。
検査の代行実務は、こちらの認証エキスパートが間違いなく遂行してくれますので、士業の方々には申請業務などを行っていただく、という役割分担で、経産省が目指している課題解決に到達できるのではないかと考えています。
繰り返しになりますが、官が問題に感じているテーマを解決することこそ民間のビジネスだろうと思っています。
おまけ:総務省も電波法に関する取締りを強めている
一方で、電波法を管轄する総務省では、不法電波に関する提言(取締り強化)の広告を複数に渡り広く展開しています。
電波法違反は重大な犯罪であるとともに、キチンと電波法認証されていない機器の使用を行わないこと、不法電波製品を見掛けたら通報をすることなどを呼びかけています。
筆者撮影
また、最近、以前に電波法認証をされた複数のお客様から、総務省より電波法認証(工事設計認証)をした製品の販売個数の報告を求める文書が届いたという連絡がありました。
【電波法第38条の25第1項】の中に、
工事設計の認証については、「認証取扱業者は、当該工事設計の認証に係る工事設計に基づき、当該特定無線設備を工事設計に合致するようにしなければならない。」
とされています。ハッキリ言って、よくわからない条文ですが、詰まるところ、事業者は電波法番号を表示した電波法認証製品の数量を把握している必要があるということです。
それはそれでよいのですが、電波法認証は製品4法と違って、海外事業者も取得が可能です。そうした際、海外事業者にも同様の手順を求めるのでしょうか?日本の法の効力は海を越えては発揮できません。
そうした点も矛盾だらけで、それならいっそのこと海外事業者の電波法認証は不可とすれば良いのにと思ってしまいます。
ただ、様々な矛盾があるとしても、総務省による電波法取締りも動きはあり、事業者としては注意点でしょうし、サポートする側としては仕事になるチャンスであるとも言えます。
こうした法的知識を携えて、ビジネスを進めて行って頂ければ幸いです。
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