PSE対象外!?しかし、電気設備としてのJIS規格認証が必要?海外工場生産品をJIS規格相当のIEC認証する方法とは?
こんにちは。管理人の堀です。
最近、当社には大型電気設備の認証についてお問い合わせが増えています。「電気なのでPSE」とお客様も勘違いされていらっしゃるのですが、基本的に、PSEでは、規制対象となる機器が電気用品安全法施行令別表第一、別表第二に列記されています。
その中には「定格消費電力が300W以下のものに限る」というように、定格消費電力の上限が定められているものが多くあります。
例えば「定格消費電力が300W以下のものに限る」と記載ある電気用品の場合、定格消費電力が「310Wである機器」は電気用品安全法の規制対象にはあたらず、事業の届出やその他の届出事業者の義務は課せられません。つまり、PSE試験が不要です。
基本的に、PSEは家庭用、即ち一般ユーザーが使用するものが対象となります。なので、それほど容量の大きい製品はPSE対象からは外れます。
中には、PSE対象じゃない!やった!と思われるかもしれませんし、もちろん、PSEではないのでそのまま導入する方もいらっしゃると少なくないと思います。
しかし、PSE対象外製品をそのまま市場に投入することの弊害があるのも事実です。そうした場合の問題点や対処方法などまとめた記事はこちらです。
今回は、PSE対象ではないですが、定格消費電力がPSEとは比較にならないくらいに大きく、市場に流通させるためにJIS規格認証を行わせないといけない(大型)電気設備の試験段取りや、経済産業省などへの届け出などについて書いていきたいと思います。
Contents
【豆知識】定格消費電力とは?
さらっと、冒頭で「定格消費電力」と書きましたが、それが一体何なのか、豆知識として良くまとまっている記事を引用してご紹介しておきます。
定格消費電力と消費電力の違い
消費電力は電化製品を使用する際に消費する電力量のことです。対して定格消費電力とは、すべての機能を最大限に使用した場合に消費する電力量です。
例えば、サーモスタット付きのアイロンの場合、加熱後一定の温度になると自動的に加熱が止まります。その後、温度が下がると再び過熱のスイッチが入ります。この場合、加熱のスイッチが切れずに運転し続けた場合の消費電力が定格消費電力で、加熱のスイッチが切れているときの時間も含んでいるのが消費電力です。
このアイロンの定格消費電力が600Wであっても、消費電力は300W以下に抑えられている場合もあります。
このようにサーモスタット付きの熱機器などは、定格消費電力だけを見ても実際の電力消費量がどのくらいかはわからないということになります。
逆に、蛍光灯や強弱がないタイマー機能だけの家電(トースターなど)は、定格消費電力と消費電力に大きな違いはありません。この場合は、定格消費電力をどの程度電力を消費するのかの目安に用いても良いでしょう。
引用:電気の比較 インズウェブ「定格消費電力って何?消費電力とはどう違うの?」
https://denki.insweb.co.jp/teikaku-shouhidenryoku.html
通常、一般ユーザーが気にするのは消費電力(電気代)ですが、定格消費電力とは使用される電力の最大値のことで、PSE的にはこちらの内容が重要になってきます。
どういったものが電気設備としてJISに該当するのか
挙げたらキリがないのですが、各種低圧電気設備、各種建築電気設備、電線・ケーブル、低圧遮断機、変圧器、キュービクル、太陽光発電機、低圧キャビネットなど、正直、電気関係の仕事などに携わっていないと日常的に目に触れないようなものばかり。
JIS規格に該当する大型の電気設備の多くは、商業施設、工場施設、農場施設など、一般家庭では使われないようなものが中心です。その逆の、一般家庭など使われる電気用品はPSEの対象になるわけです。
もちろん、中にはJIS規格にも該当しない特殊製品もあり、それらは本当にノー試験で扱うことも可能です。つまりは取り締まる(管理する)法律がないわけです。
しかし、大体どの電気設備も何かしらのJIS規格に該当するので、そういったものは必要な試験を行い、安全性を十分に確認してから市場に出回ることになります。日本の安全というのは、本当に目に見えない認証で守られていることになります。
時折、大きめな製品のPSE検査費用を確認してくるお客様がいらっしゃいますが、電力容量的にPSE対象ではないと伝えると大喜びされますが、むしろ電気設備としての確認や本当の安全性は担保できるのか不明です。
ただ、PSE費用を払わなくて大喜びするような方は、安全試験やJIS認証なんて絶対やらないでしょうから、ややこしくなるだけなので、あまりこちらも情報は与えないようにしています。
ちなみに、(一部)電気設備JISは依頼試験のようなものなので、丸形PSEの要素が強く、やっているやっていないの抜け道があるのも確かです。ただ、危険性も高いので、卸先・販売先からJIS試験をしているか厳しくチェックされる場合が多くあります。
このように外で見掛ける電気設備は日本の認証の塊であったりします
現在、海外生産の電気設備導入を検討する企業様が増加中
元々、JIS規格の対象になる大型電気設備などは国産がほとんどでした。やっぱり危険なものですし日本の安全性を担保する意味でも、日本国内で日本の技術者が開発・設計、生産するというのがほとんどでした。
しかし、最近では中国などの生産技術も格段に高まっていること、また、これはお客様からお聞きしたお話ですが、日本では銅などの原材料不足などの影響で、生産依頼しても次に出来上がるのがいつになるのか不明、という状態が続いているようです。
そうした状況の中で、海外生産品に目を付ける日本企業は多くなっていますが、一方で、大型電気設備などはJIS認証をする必要があり、それらを行えるのは日本の検査機関だけという状況。つまり、輸入で済ませたいと考えつつも、それが出来ない状況だったのです。
しかし、当社サービスではそうした現状を打破できるのです。
海外検査機関ではJISではなくIECで対応できる
まず第一に、JIS規格に沿ったJIS試験・認証が出来る海外検査機関は存在しません。もちろん、探しまくれば見つかるかもしれませんが、あったとしてもその数はごくごく少数でしょう。そうすると、結局、中国国内の検査機関でJIS試験が出来たとしてもあまり意味がありません。
どういう事かと言うと、検査機関が広東省・深圳にあったとして、工場が江蘇省・蘇州にあったとすると、サンプル輸送に費用と時間のコストが掛かりすぎるのです。大型電気設備などは特にです。
次が一番の問題ですが、やはりJIS試験をできる中国検査機関は存在しません。JIS規格がすごく細かいためもあり、海外の検査機関がわざわざリソースを割いてまで出来るようになる必要性・メリットが無いからです。
一方で、IEC(国際電気標準)であれば出来る検査機関は多数存在します。そして、JISとIECは互換性があり、例えば、JIS4000というものあったとして、IEC0001、0002、0003、0004を組み合せれば代替できたりするというイメージです。
このようにすれば、工場に比較的近い検査機関を指定して、JIS規格に沿ったIEC試験を行うことができるのです。
しかし、気を付けたいのは、
①検査機関ではJISに相当するIEC試験をコーディネートすることは不可能の為、当社の中国人技術者のノウハウが必要。
②IECで代替してもJIS規格を100%網羅することは出来ないので、完璧を目指すのであれば日本でJIS試験をするしかない。
今の中国生産品の品質は相当高いですので、ポイントを抑えておけば基本的には問題無いとは思いますが、最終的には事業主の判断となります。
電気設備は経済産業省の届け出先も違う
PSEなどを扱うのは経済産業省の製品安全課という部署で、電気設備に関しては産業保安課という部署です。
こういったことも知らないと、一体全体どこに届出をすればよいのかわからない、ということになりますので、しっかり情報を抑えておいていただければと思います。
引用:経済産業省_電力の安全
何だかんだで一番大事なのはユーザーの安全性
これはいつも書いていることですが、いずれの電気用品・電気設備を扱うとしても、一番大事なのはユーザーの安全性です。
試験対象でなかったからそのまま導入するというのは、決して法的には間違っていませんが、製品を扱うことで事故が起きるリスクがあるということは忘れないで頂きたいです。
その為にも、最低限の検査は必要でしょうし、ご自身が扱おうと考えている製品にはどういった試験が必要になるか、そういったことを調べるのも事業者としての義務であると考えます。事故が起こってからでは遅いのです。
当社ではそういったご相談も承っていますので、電気用品のPSE、電気設備のJIS・IECなど各試験についてお気軽にご連絡いただければと思います。
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