PSE認証をしようと思ったら電源プラグの屋外用と屋内用が違った、という実例
こんにちは。管理人の堀です。
今回の話は、直接自社のPSE認証に関係あるということはほとんどないと思うのですが、かなりユニークな事例ですし、今後何かのヒントになるかのうせいはあるかもしれませんのでご紹介をさせていただきたいと思います。
具体的な製品名は言えませんが、
認証対象は、家庭の庭先(屋外)などで使うPSE特定電気用品以外(丸形PSE)の製品です。
屋外で使うことを主目的としている電気用品は、その電源プラグ(コード)には屋外用のものを使う必要があります。
屋外用の電源プラグ?
と思われる方も多いかもしれません。
しかし、貴方がユーザー側の立場であれば気にする必要はないかもしれませんが、PSE製品の販売側であれば知っておくべき話です。
Contents
まずそもそも屋内外用の電源プラグの違いとは
屋内用か、屋外用か、言葉で説明をしてもわかりにくいと思いますので、手っ取り早く現物を見てみましょう。
屋内用
屋外用
引用:Amazon
言われてみると一目瞭然ですね。
一般の方が目にする電気用品の多くは屋内用だと思いますので、屋外用の電源プラグを気にすることはないかもしれませんが、実はこんなに作りが違うものなのです。そうなると、当然、PSE認証の種別も変わってくるのです。
まずはこのことを頭に入れておきましょう。
当社事例の経緯
せっかくですので、お客様との認証の経緯も説明させていただきます。
今回、
日本の商社さんから、
海外メーカーが生産する商品を輸入事業者として扱うため、
そのPSE認証を代行して欲しい、というご依頼がありました。
元々は、日本のPSE認証の老舗であるJET(一般財団法人 電気安全環境研究所)に、
依頼しようと思って、サンプルをJETに送るまで話が進んでいたようです。
しかし、自社内にPSE認証に関するノウハウがないので、JETとやり取りする代行会社を探していて、当社を発見していただきました。
製品自体はPSE特定電気用品以外(丸型PSE)であり、必ずしもJETで検査をする必要はなく、中国の検査機関を使った方が、当社手数料を入れても認証費用は同じかそれ以下になります。
もちろん、日本のJETで検査をしたというプレミアムもありますので、
その辺の事情をお聞きしてみると、
全くこだわりなく、つつがなくPSE認証が終わってくれれば、
どこの検査機関で実施しても問題はない、とのこと。
そうした中、当社からは、
中国の検査機関であれば話がしやすい、
検査機関とのやり取りだけではなく必要なアドバイスも可能である、
旨を伝えました。
ということで、PSE検査は当社へご依頼いただくことになり、
JETからはサンプルを引き上げてもらいました。
JETからすると営業妨害も甚だしいかもしれませんね笑。
いずれにしても、あらためて中国検査機関でのPSE認証を段取る中で、
ご依頼の日本法人、海外メーカーの担当者とオンラインミーティングを実施。
関係各位が良好にコミュニケーションを取れるようになり、
あとは認証を進めるだけという状態になりました。
当社から提案した解決方法
実はその製品は主に屋外(家庭の庭先など)利用を想定している一方で、電源プラグが屋内用のものだったのです。
なお、屋外用プラグは雨風に耐えられるよう、コンセントなどに防水加工が施された太い仕様になっています。
引用:Amazon
屋内用プラグでもPSE認証そのものは可能なのですが、あくまで屋内用であり、それを屋外で使用していると少し具合が悪くなります。
PSEに詳しいユーザーがなどその事実に気づいて、経済産業省に通告したとすると、輸入事業者は何かしらのお咎めを受ける可能性は十分に考えられます。
また、そもそものところ、屋内用プラグを専ら屋外で使っていたら、ユーザーは感電などする危険性もあります。
輸入事業者としても、「この製品は屋内のみでお使いください」などという注意書きをしてしまうと、商品価値が無くなってしまうとのことでした。
そうした経緯があり、今回の製品で屋外用プラグを使うことは必須であると、各位で確認されました。ちなみに、もし、JETで認証をしていたら、屋内用でそのまま認証終了!ということになっていたかもしれません。
そういう意味で、
重要な点にあらかじめ気付くことが出来た当社に依頼して良かった、
とお言葉を頂きました。
PSE特定電気用だったらサンプルの作り直しが必要
またもう一つのポイントとして。
せっかくのサンプルを屋外用プラグに換えるためだけに作り直すのは勿体ないので、製品そのものの構造に問題がなければ、プラグについては、代替サンプルの写真とPSE証明書があれば良し、という段取りを、検査機関と付けるようにしました。
PSE特定電気用品以外(丸型PSE)の検査基準はそれほど厳格ではなく、最終的に製品の安全性が担保されていれば大よそ問題ではありません。
ただそれも検査機関としっかり交渉できる知識・ノウハウがないと成立しない話であり、基本的に検査機関から具体的には提案してこないでしょう。
あくまで検査を受ける側から、進め方を打診する必要があるのです。
そうは言っても、メーカー側ではプラグのサプライヤーを見つけられない
屋外用電源プラグが必要であることがわかった一方で、海外メーカー側ではどうしても本国国内に日本のPSE認定された屋外用プラグのサプライヤーを見つけることが難しかったようです。
余計な経費を掛けさせないためにも、海外メーカー独自でサプライヤーを見つけて欲しかったのですが、それが叶わず、最終的には中国国内のサプライヤーを紹介してくれないか、という打診がありました。
当社側としては、
それは認証とは別行為なので、多少のサービス費用を頂くことになるがそれでも問題ないか
確認したところ、
それは問題ないとのことでした。
製品が屋内用か、屋外用か、使用用途を明確に理解する
先述しましたが、屋内用・屋外用を気にするユーザーはほとんどいないでしょう。
しかし、販売事業者であれば、その違いを明確に理解する必要はあります。
それはPSE試験を通すためでもありますが、やはりユーザーの安全性を第一にした観点からも重要です。
例えば、屋外用製品であるにもかかわらず、屋内用でPSE試験を通してしまった場合、それで雨がなど降った際に、ユーザーが感電する事故があれば間違いなく事業者の過失が問われることになります。
えっ!?
ちゃんとPSE試験したよ!?
と思っても、それは実は屋内用の試験だったということになれば笑い事では済ませられません。事業者自身がPSE試験内容を把握しておく責任があります。
しかし、そうは言っても、事業者がそこまで細かい部分を把握できないのであれば、最初から認証代行業者を使うのも手です。残念ながら検査機関は単独ではそこまでアドバイスはしてくれません。
認証をするのであれば、そうした点までを視野に入れて話を進めていくようにしてください。
補足:海外で作った製品はPSE的には何かしら問題があると考えておく
今回は当社の成功事例という形で恐縮ではありますが、特に日本のPSEを熟知していない海外メーカーが生産したものは、日本のPSEの観点からして何かしらの不備があると思った方が良いでしょう。
世界各国で安全基準が違いますので、メーカー(工場)側だけに確認の責任を押し付けるのは、さすがに無理があるでしょう。
特に、日本の検査機関はかなり細かいですし、リカバリーもしづらいので、出来たら海外の検査機関を有利に進めやすいということも予備知識として、持っておいていただければと思います。
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