中国輸入で悩まされる不良品、故障などの問題の解決方法とは?特に、機械などの専門的分野について
こんにちは。管理人の堀です。
当社は基本的には、PSE、PSC、電波法、計量法、JIS、医療機器、食品衛生法などの認証代行の会社なのですが、機械全般に関する技術的リソースも有しております。
例えば、機械の接続、構造、部品など、製品を構成する要素は大体理解できますので、認証とは別に、何故その製品がうまく動作しないのかなどもある程度の判断が出来ます。
つまり、製品の不良、不具合、故障などのその原因について生産工場と話ができるという強みがあります。
逆に言うと、それが出来るからこそ、認証代行においてもペーパーワークだけではなく、一部試験が不合格になった場合などに、その対策案を工場と一緒に考えられるのです。
そうした背景がある中で、最近増えているお問い合わせに、
認証そのものではなく、自社で輸入している機械製品に不具合が連発している。
工場に対して検品体制強化の依頼をしているのだが、話が通じなくて困っているので通訳として仲介してほしい、
というものがあります。
この場合、単に日本語-中国語の通訳者を入れただけでは解決しません。何故かというと、技術的な内容は専門用語を翻訳したり、技術的な文脈を理解して通訳する必要があり、通訳者自身が技術的なことを理解していなければならないのです。
一般的になかなかそこまでの技術者兼通訳者は存在しないのですが、当社ではそうしたリソースを有しています。
今回は、昨今の問題点とともに、当社が有するリソースを活用して課題解決したお客様の事例をお伝えしていきたいと思います。
Contents
課題:数十個仕入れた際に毎回2~3個不良品が出る中型精密電気用品
今回のお客様は、元々、他の電機製品のPSEなどのご依頼を頂いている事業者・A様でした。お話しを頂いたのはそれとは別に中国から輸入している中型精密電機用品について。以前から、数十個仕入れると大抵2~3個は不良があるということです。
製品単価が数百円、数千円程度であれば、不良が出来ることも織り込み済みと出来るかもしれませんが、まあ数千円でも厳しいですね。。
いずれにしろ、今回の製品は数万円後半のものなので、1個不良品が出るだけでもかなりの痛手です。
一回限りの取引であればそのまま止めてしまうという選択肢もありましたが、どうやら日本国内で少なからず売れているので、継続的に取引をしていきたいので、中国工場にも改善を要求しているところでした。
そもそも「工場」に関する定義と、付き合い方について簡単におさらい
「工場」と一言で言っても、その形態は多種多様です。
大きくはメーカー直営工場、独立系工場に分けられ、さらに独立系工場には自ら営業して様々なメーカーと付き合いのある工場、OEMを中心にした工場、(下請けの)組み立て工場、など様々に存在しています。
それぞれの工場にそれぞれの利点があると思いますので、一概にどのタイプの工場が良いとは言えませんが、日本の事業者がアリババなどを経由して知り合えるのは独立系工場でしょう。その中で、どういう形態を取っているかは、扱っている商品によって変わってきます。
本当にレベルの高い工場と付き合うには、中国国内のサプライヤーやブローカーなどから紹介してもらう必要があるでしょうが、やはりコストも大きいので、よほど大きな商談でも無い限り、最初期の段階や小口取引であれば、基本的にローコストでやりたいものです。
また、場合によっては、現地工場に行って直接商談するのも手でありますが、現在はコロナウィルスの影響もあり、なかなか海外渡航は厳しい状態ですので、やはりやりとりをするとなるとメール、電話などのオンラインが主流になってきます。
いずれにしても、いきなり大きな工場と付き合うよりは、信頼できそうな小規模工場と少しずつ取引量を増やしていき、その為に必要な協議・取決めはその都度行っていく、というのが賢いやり方だと、個人的に感じています。
工場も改善する気持ちはあるけれども、やり方が分からない
先述した様々なタイプの工場ですが、その技術力は千差万別です。また、得意不得意分野もそれぞれあるでしょう。
なお今回の工場は、組み立て工場でして、既にある製品設計図などを購入(入手)して、その通りに組み立てていくというタイプの仕事をしています。この場合の利点・メリットとしては、やはり安く製品が仕上がるということで、デメリットとしては今回の話のように一定数の不良が出てしまうと言うことです。
A様の申し出に対して、工場は基本的に前向きにヤル気を見せているのは確かなのですが、問題点として、では具体的にどのようにしたら良いのか、アイデアが無いという現状でした。
工場からは、
不具合部分に関する部品を送るから、後はそちら(日本の事業主側)で取り付けなどをして対応をしてほしい、
という回答です。
A様は商社的な立場であり、自分たちで取り付けなどをする技術力・設備は有していないのでそのようなことは不可能です。もしやれたとしてもノーヒントで始めたら少なくとも5~6時間は掛かってしまうだろうから、本業がある中でそんな時間を割くことは出来ません。
ここで押さえておきたいのは、工場は面倒くさいから改善に付き合わないということでは無く、やり方がわからないからできない、ということであります。
それ自体も問題なのですが、、、工場としても、せっかく付き合いが出来た日本企業との関係性を途絶えさせたくはないのです。
だから、精一杯の誠意として交換部品を送ると言っているわけで、そこだけを見て短気を起こして相手にヤル気がないなどと、いきなり取引停止などしないことが重要です。例えが良くないですが、小学生に大学生の問題を解かせようとしても不可能なのです。
こういう時は、事業者側が根気強く少しでも関係性を築いていくための方策を出すことが大事なのです。
そうした背景を踏まえた上で、今回当社に工場と交渉を進めるべく通訳依頼があったわけです。
一番の問題点は、言語の壁により自分たちの意図・提案がちゃんと伝わっていないこと
A様としても、中国工場が自ら考えて検品する能力などが無いことは薄々気付いており、それならばと自分たちでいろいろ調べて検品方法を考案していました。
しかし、その技術的内容が相手にちゃんと伝わるかどうか不安であり、そこで技術が分かって日本語-中国語の通訳が出来るリソースがある、当社にお声掛け頂いたのです。
元々、A様と中国工場は、英語でやり取りしていました。。
お互いが英語ネイティブではありません。さらに、お互いにそれほど英語に習熟しているわけでもありません。
お互いが自国の言語では通じないので、関係性をイーブンにするために英語を採用していたのでしょうが、商品売買などの簡単なやり取りであれば、それでも十分通じるでしょうが、今回のような製品力向上のための提案などは通じにくくなるでしょう。
通じないというよりは、工場は英語で言われた内容を一度中国語に変換して、さらにそれを腹落ちさせるまで反芻する必要があり、やはりそれには相応の能力が求められる話です。これは中国人のヤル気問題ではなく、単に能力の問題です。
能力の問題となれば、根性論ではなく相手がそれで対応してくれる環境を用意する必要が出てきます。手前味噌になってしましますが、そういう意味で、A様が当社にご依頼頂いたのは、大変賢明な判断だったのではないでしょうか。
オンラインミーティング風景 ※今回のミーティングとは違う
オンラインミーティングを実施しての感想と、今後の展開について
wechatの動画チャットを使い、A様・当社(と技術者)・工場の4者でオンラインミーティングを行いましたが、工場側は担当者の女性を中心に工場総出で参加してくれました。
wechatの友達申請の段階から大変好意的な対応で、ミーティング中もとてもハキハキ答えてくれており、今回の問題に対してのヤル気の高さが伺えました。
小一時間ほどのミーティングで、A様の意向と自分たちで考案した検品方法、今後のやり取りの進め方などを中国語で伝えて、工場からの了承も得られました。一度、そこで合意が取れれば、あとは今まで通り、英語でやり取りしたとしても仕事の大枠は外れません。
オンラインミーティング風景 ※今回のミーティングとは違う
言葉にしてみると簡単なことのようですが、やはり自国語(中国語)で相手に伝えるという熱意と理解のしやすさ、というものは何にも変えられないと思います。
Google翻訳などの翻訳ツールを使って、大抵の意味を把握するというのも、やはりそれはまだまだ先進的なビジネスマンのスタイルであって、普通の中国工場に対しては求めすぎという気は個人的にはしています。
また今後、時としてお互いの進め方に疑義が生じた際は、当社がサポートすることになっています。
もちろん、A様としては、こちらの通訳が本当に自分たちの意図を伝えられているかは分からないのですが、そこは今まで一緒に仕事をしてきた経験などから、当社を信頼して頂いております。
このサービスは初めて当社を利用頂くお客様にも対応させていただいております。また、必ずしも、PSEや電波法などの認証をされる必要もなく、「工場との交渉」という単発でのご依頼もお受けしています。
また、認証を進めたいが、実際に工場がちゃんと対応してくれるのか、そうした部分を工場と確認したいというご利用方法もあります。
是非、当社サービスを活用して中国ビジネスを今まで以上に飛躍させて頂ければと考えています。ご興味ある方は是非お問い合わせ頂ければと思います。
INSIGHT WORKSホームページからメールでのお問い合わせ
認証ビジネスについて学びたいなら最新情報をキャッチ
無料メルマガ「認証の原理原則」に登録!
数々の認証を経験・成功させてきた堀雄太が認証ビジネスに軸にして、中国・日本における新規認証ビジネスの構築の仕方や、中国ビジネスなどを紹介しています。
初めて認証に取り組みたい方へのお役立ち情報や、自身で依頼主様の認証サポートを行いたい方に向けてセミナーや勉強会なども予定しておりそうした情報をいち早く告知させていただきます。
2020年8月21日(金)より毎週1回配信!