最近話題になっているRFIDも電波法認証(技適)が必要です、また高周波利用設備として総務省への申請も必要になる場合があります
こんにちは。管理人の堀です。
今回は、物流や小売りの現場などで、在庫管理・棚卸・販売情報などの自動化を行い、その生産性を劇的に向上させるツールとして近年話題になっているRFIDを取り上げたいと思います。
RFIDの定義については、下記ウィキペディアをご参考ください。
RFID(英: radio frequency identifier)とは、ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm~数m)の無線通信によって情報をやりとりするもの、および技術全般を指す。 従来のRFタグは、複数の電子素子が乗った回路基板で構成されていたが、近年、小さなワンチップのIC (集積回路)で実現できるようになってきた。 (中略)
非接触ICカードも、RFIDと同様の技術を用いており、広義のRFIDの一種に含まれる。 非接触ICカードは乗車カードや電子マネー、社員証やセキュリティロックなどの認証用など色々な用途がある。日本では、FeliCa 規格が支配的である。
狭義では、タグとリーダとの間の無線通信技術であるが、技術分野としてはそれにとどまらず、タグを様々な物や人に取り付け、それらの位置や動きをリアルタイムで把握するという運用システム全般まで含めて語られる。
引用:Wikipedia_RFID
RFIDの利便性や今後の可能性などは、多くのメディアで話題になっていますし、詳細に解説されているページも多数存在していますので、基本的にはそちらに譲りまして、本ページではRFIDの電波法認証に関する注意点などを中心に書いていきたいと思います。
Contents
RFIDは便利であるが周波数が強力(高周波利用設備)のために、電波法申請の他にも総務省(総務大臣)への申請が必要な場合もある
まず高周波利用設備とはどのようなものなのでしょうか?
総務省のホームページからその定義を引用します。
高周波利用設備とは、電線路に10kHz以上の高周波電流を通ずる電信、電話、その他の通信設備及び10kHz以上の高周波電流を利用して医療、工業等の分野で幅広く活用されているもので、わが国の産業に大きく寄与しております。しかし、高周波利用設備から漏洩する電波が他の無線通信に妨害を与えるおそれがあるため、一定の周波数又は電力を使用する高周波利用設備を設置しようとする者は、設置する前に許可を受ける必要があります。
また、許可を受けた設備を変更(増設、撤去、設置場所の変更等)しようとする時、廃止しようとする時又は譲り渡す時等の場合にも手続が必要となります。
高周波利用設備は、大別すると「通信設備」と「通信設備以外の設備」に分類されます。
引用:総務省ホームページ_高周波利用設備とは
あまり難しいことを覚える必要はありませんが、要は、我々の生活の利便性に寄与する製品の中で、強い電波を発するものを「高周波利用設備」と定義づけて、その販売または設置について総務省(総務大臣)に届け出る必要があるとしています。
中には、高周波利用設備の届けとは別に、電波法認証も必要なものもありますので、自身が扱おうとしている製品にどういった届出が発生するのかしっかりと確認してください。
ちなみに、高周波利用設備の分類されるものとして、
超音波洗浄機、超音波加工機、超音波ウェルダー、無電極放電ランプ、搬送式インターホン、電磁誘導加熱式複写印刷機、特別搬送式デジタル伝送装置、誘導式読み書き通信設備(RFID)、非接触電力伝送装置(ワイヤレス電力伝送装置(WPT))、広帯域電力線搬送通信設備(PLC)、電磁誘導加熱式調理器、工業用加熱設備、その他各種設備
などがあります。
総務省への申請が不要な特定小電力製品
RFIDを高周波利用設備として総務省に申請する場合、主に屋内で利用することを想定した「構内無線局」と、主に屋外での利用を想定した「陸上移動局」に分ける必要があります。
また、その書類手続きなどは費用もあまりかかりませんし、やることをやればそれほど難しくもないのですが、単純に受理申請までに時間が掛かるという最大のデメリットがあります。
この辺を詳しく知りたい方は総務省のこちらのページをご覧ください。
総務省ホームページ_ RFID(電波による個体識別)の申請
一方で、ここから先が今回の話のメインとなるのですが、
RFIDに使われている電力量が小さい「特定小電力」の場合、総務省への届出は不要となり、電波法認証をするのみでOKという制度があります。
ここを理解しておかないと、実は「特定小電力」のRFIDであるのに、それを知らずに総務省へ届出をすると無駄な労力となりますし、総務省の担当者と余計なやりとりをする事で、ビジネスの時間を大幅にロスすることにもなりますので、注意してください。
特定小電力に分類される基準
詳しくは後述しますが、RFIDはパッシブ型とアクティブ型という2つに大別されます。
また、下表にある「空中線電力」というのが使用電力容量のことです。これがある一定以下であると、「特定小電力(無線局)」とります。
引用:総務省資料_920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術基準の見直し(案)
実は事業者もあまり理解していないアクティブ型、パッシブ型
まずはパッシブ型とアクティブ型の定義についておさらいしてみましょう。
RFID パッシブ型 アクティブ型 などで検索すると、いろいろなページがヒットしますが、このページでは総務省の資料を採用いたします。
パッシブ型
パッシブタグは自発的に電波を発射することはできず、電子タグの送信エネルギーにはリーダ/ライタからの搬送 波の電力のみ(一部には、電子タグの内部回路や付属するセンサ等に電力を供給するために電池等を有しているも のもある。)を利用し、それ以外の電力は供給されない電子タグ。
アクティブ型
内蔵した電源等からのエネルギーにより自発的に電波を発射することができる。ネットワークシステムとして電気 やガス分野におけるメーター制御等への利用拡大が進められているほか、幅広くデータ伝送として利用。250mWまで利用可能で低出力20mW以下は免許が不要である。DSSS方式の適用やビームフォーミングアンテナの開発により屋 外での利用が飛躍的伸びてくるものと考えられる。
また、その利用例も見てみましょう。
引用:総務省資料
簡単に言うと、直接(近い位置で)製品にかざすのがパッシブ型であり、ある程度一定の距離でかざすのがアクティブ型、というくらいに認識しておけば良いかと思います。
RFIDについては電子タグの問題など、製品特有の問題があるのですが、それについてはこのページでは割愛させて頂きます。あくまで認証に関するページとしてご覧ください。
製品がパッシブ型なのか、アクティブ型なのか、それに関する電波法認証の進め方、総務省の申請の有無などの認証に関しては、当社のような認証代行会社などと相談しながら確認していけば問題無いと思います。
しかし、そもそもRFIDがパッシブ型とアクティブ型に分かれていることも知らないようですと、少々話が進みづらくなってしまいますので、その点は予め学習しておいていただければと思います。
事業者もある程度日本の電波法制度を把握しておくことが重要
RFIDの製品機械を作っているのは大体中国工場であり、電波法認証をする場合、そのまま中国の検査機関を使うことが一般的です。
その際に問題となるのが、「特定小電力」製品は総務省に届出しなくて良い、逆に言うと、「特定小電力」以外は総務省に届出が必要になる、という日本のみ制度についてです。
海外の検査機関、認証機関としては、アクティブ型であろうとパッシブ型であろうと、日本の周波数帯域に合っていれば問題ないので、検査レポートなどにアクティブ・パッシブの記載や、使用電力の記載などはスルーすることもあります。
当社では、当然日本の法律に沿って考えているので、検査機関から提出された検査レポートのドラフトを見て、型式と使用電力を追記するように伝えたことがあります。
そうしないと、電波法認証した当該RFIDが、「特定小電力」と判断する材料がなく、仮に本当に「特定小電力」だとしても、それを証明する根拠がないので、そのまま販売・設置をした際に、総務省や顧客からの突っ込みの対象になる可能性があるからです。
そうした状況を踏まえて、事業者の方もある程度電波法制度を把握しておいていただきたいですし、必要であれば当社にご相談いただければと思います。
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