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日本での実用化に向けた動きが進む電動キックボードのPSE、電波法認証を2年連続で対応

 2020/12/08 PSE コラム 中国ビジネス 事例 認証の原理原則 電波法
この記事は約 13 分で読めます。 1,236 Views

こんにちは。管理人の堀です。

今回は、当社が認証代行をさせて頂いた企業様へのインタビュー記事です。

取り上げさせていただくお客様は、昨年・今年と電動キックボードの許認可認証をご依頼頂いた株式会社mobby ride様です。今回は今年の認証のお話をメインに書かせて頂きます。

取り扱っていらっしゃる電動キックボードは世界的に有名な中国メーカーが生産しているモノで、会社自体は申し分ないのですが、大手メーカーだからこそ生じる手続き上の複雑さもあり、結果としてご希望されている終了時期から数ヶ月単位で遅れることになってしまいました。

基本的にご担当の安宅様とは密に連絡を取らせて頂いたので、遅れることになりそうな出来事があれば逐次ご報告させていただき、ご理解・ご対応を頂いておりました。

まさに山あり谷ありだった認証も終わり、インタビュー時にご不満などもあったかと思いますが、と尋ねてみると、「いえ、特に不満はありませんでした。とても良く対応していただきまして感謝しております」とおっしゃっていただきました。当社としても大変有り難く感じておりますが、読者の方にもご参考になる部分があればと思い、記事を公開させて頂きたいと思っています。

 

ご依頼主様

株式会社mobby ride
安宅秀一様
公式HP:https://mobbyride.jp/

九州・福岡を拠点に、電動キックボードを、使いたい時だけ借りられるシェアサービス「mobby」を展開。日本でもっと気軽に電動キックボードに乗れるよう、各地で実証実験などを行い、整備に取り組んでいる。

 

※神戸市での公道実証の様子

電動キックボードは、電動式モーターを搭載した前後二つの車輪付きの乗り物。

まずは地面を蹴って乗り始め、走行が安定したら、ハンドル部分のレバーで加速ができるようになる。

加速もブレーキもレバーでコントロールできるので、複雑な操作を覚えずすぐに乗ることができる。

アメリカやヨーロッパを中心に世界中で愛されている新しい乗り物。

 

株式会社mobby ride様のビジネス概要

堀:いきなり認証の話に入る前に、貴社が電動キックボードを活用されてどのようなビジネスを展開されているのか、簡単にご説明頂けますでしょうか。

安宅様(以下、安宅):当社は電動キックボードを使い「新しい移動手段」をユーザー様に提供するベンチャー企業です。

安宅:電動キックボード自体の説明は上記の通りなのですが、当社は日本で初めて、「免許不要、貸出返却にスタッフが立ち会わない形式(完全なセルフサービス)、複数の専用ポート間を自由に行き来できる」サービスを展開している企業です。

安宅:現時点では私有地内に限られていますが、諸外国で一般的に利用されている電動キックボードシェアリングサービスに非常に近い形で日本でのサービス展開をしています。しかしながら、電動キックボードは現在の日本の法律上、原動機付自転車に該当し、公道での利用には様々な条件があるため、安全かつ手軽に利用することが難しい状況です。

安宅:そうした中、現在当社は、主に、自治体様・学校様・企業様など広大な敷地面積を有していらっしゃる方々に、そこでの移動手段として電動キックボードを取り入れて頂けるように働きかけを行っています。

堀:mobby ride様のご活躍は目覚ましく、メディア等でもかなり取り上げられていらっしゃいます。
ご興味ある方は下記リンクなどをご参考ください。
mobby rideとトヨタ自動車九州、宮田工場内の移動効率化を目指し、電動キックボードを大規模導入開始

電動キックボードシェアリングサービス「mobby」実証実験@九州大学伊都キャンパス

スタートアップ提案型実証実験事業「Urban Innovation KOBE+P」電動キックボード「mobby」公道走行の実証実験

 

安宅:当社のビジネスモデル以外の部分での特徴としては、少数精鋭でなるべくコストを掛けずお客様に対してリーズナブルなご提案していること、世界的に有名な中国の電動キックボードメーカーを利用しているので製品のクォリティが高いこと、などがあります。

安宅:その一方で、当然、社内に認証部門などはありませんし、中国メーカーとの認証の折衝ができるリソースなどはないため、当社の認証に関するニーズを満たしてくれる企業としてINSIGHT WORKS様に認証をお願いした、という経緯があります。

※同社は福岡市の官民共働型のスタートアップ支援施設に入居している

 

INSIGHT WORKSに認証を依頼した経緯

安宅:これは当社の前身時代の話になりますが、まだ東京にメインオフィスがあった頃、1台目のキックボードの認証をするために、代行会社を探していました。その際に取引先の方から、INSIGHT WORKSを紹介されて、お声掛けさせていただきました。

堀:私もそのお話は初めてお伺いしました。当社はその方とは直接のお取引はなかったのですが、ホームページなどを見てご判断いただいたのでしょう。大変有り難いお話です。

安宅:それで一度、堀さんに当社にお越し頂いてお話しをお伺いしたのですが、認証について大変詳しく、それも机上の空論ではなく、とてもリアルな体験から語られていると思い、安心してお任せできるなと感じました。

安宅: また、当社が扱う電動キックボードは、電波法機能、IoT(4G)、充電電池(丸形PSE)、充電スタンド(菱形PSE)と複数の認証がまたがっており、それぞれを別々の会社様に依頼していたら手間もコストも掛かってしまうところ、INSIGHT WORKSではすべて一括して対応できる、さらに輸入先の中国メーカーのエンジニアと中国語で折衝可能、ということも大きなポイントでした。

堀:お言葉ありがとうございます。当社では、事業者様の代行も行っている一方で、当社自身でも販売製品の認証は行っておりますので、より事業者様のお立場になって認証をサポートさせて頂いています。

堀:加えて、当社の強みとしては、すべての認証に対応できること、輸入地である中国メーカー(工場)とネイティブ同士で折衝が可能という点があります。

安宅:このインタビューは今回の認証の話がメインということなので、前回の話は省略しますが、それでも前回は期待通りに取引先の中国人エンジニアとも良好にコミュニケ―ションを取っていただき、すべての認証をクリアして頂けました。

安宅:また、認証自体は中国国内で行われましたが、日本国内での連絡や関係省庁への申請手続きなどは堀さんにいろいろ対応・サポートしていただきました。

安宅:今回は、前回とは違う新しいキックボードの認証が必要になりましたので、引き続き、INSIGHT WORKSに認証代行をお願いすることに致しました。

堀:今年の6月くらいに安宅様からあらためてご連絡いただきまして、昨年の仕事ぶりを評価いただけていたこと大変嬉しく感じたことを覚えております。

堀:認証に関して、少し補足させていただきますと、IoT(4G)はメーカーが既に電波法認証されているモジュールを購入して使用するということだったので、認定書・ラベル表示の確認だけをさせていただいたのと、充電スタンドについては副本申請・ラベル表示の確認をさせていただきました。

堀:また、今回は基本的に前回と同じ認証内容ということで確認が取れました。

 

※九州大学伊都キャンパス内での規制のサンドボックス認定実証

 

今回の認証を始めてからの困難:急なNDA締結要求、電池試験の電池メーカー間違い、電波法Tマーク認定書が見つからない

堀:私が申しあげるのも恐縮ですが、次から次へと困難が降りかかってくる認証でしたね。

安宅:はい。本当に驚きの連続でした笑。正直なところ、中国メーカーとは電動キックボードについてずっとやり取りをしていましたし、担当者は前回の認証を経験しているので、それほど大きな問題は無いだろうと考えていました。しかし、やはり海をまたいだ別の国の会社と仕事をするということは、とても難しいことなんだなとあらためて感じています。

 

NDA締結要求

堀:まずは、電波法認証に関して、検査機関とのNDA(機密保持契約)の締結でしたね。

安宅:はい。今回認証するキックボードは、中国メーカーにとっても新機種ということで、製品内部の情報が外部に漏洩することは恐れていました。

堀:しかしそうは言っても、日本の電波法認証をするためには、製品内部の情報を頂かないと話が進みません。メーカー側が少し困惑していたところ、技術資料などを扱う検査機関とのNDA締結をご提案させて頂きまして、メーカーには安心して技術資料を提供頂くことになりました。

安宅:認証をする前には、そんなことは一言も言っていなかったのですが、認証が始まった途端にそういうことになり、いきなり認証がストップしてしまうのかと正直焦りました。ただ、INSIGHT WORKSからNDA締結のご提案があり、メーカー側も納得したようだったので大変助かりました。

堀:NDA締結で問題の解決は出来たのですが、いずれにしても契約書のやり取りなどで1ヶ月近く予定が遅れることになってしまいました。現在、中国の新進メーカーでは技術情報の流出というモノにはとても敏感になっています。

 

電池試験の電池メーカー間違い

安宅:次は、まさに笑うに笑えない一件です。

堀:通常、充電用のリチウムイオン電池の認証には大量の電池(セル・パック)サンプルを用意する必要があり、その為、検査開始までに相応な日数を要することになります。

安宅:正直、当初から用意に少し時間が掛かっている印象だったのですが、それでもサンプルの準備が出来たということで安心していたら、堀さんから、「届いたサンプルの電池メーカーと、仕様書に書かれている電池メーカー名に相違がある」という連絡があり、目が点になりました。

堀:具体的な電池メーカー名は伏せますが、確かに混同しやすい会社同士なので、そういう事態になってしまいました。結局、電池のPSE試験が一番引っ張る形となりました。

安宅:しかし、まずそもそも電池メーカーが違うというところ気付いて頂いたこと自体が大きいですし、また、そうなってしまっても、当社のみの対応では、即座に正しいメーカーでのサンプル手配は出来なかったと思うので、その点もかなり助けて頂いたと感じています。

 

電波法Tマーク認定書が見つからない

堀:最後の砦がこれでしたね。先述したように、製品のIoT(4G)部分は、既に電波法認証をしたモジュールを電動キックボードメーカーが購入して使用しているので、mobby ride様は特段の認証をする必要なく、サプライヤーが保持している認定書を取り寄せるだけで十分なのです。

安宅:メーカーから認定書を取り寄せていたのですが、堀さんから、Tマークに関する認定書が無いというご指摘がありました。

堀:一般的に4Gの認証は、Rマーク(電波法)とTマーク(電気通信事業法)の2つの認定書が発行されます。そして、前回の案件時には、RマークとTマークの両方の認定書が存在しました。つまり、今回も当然あるはずで、単にメーカー側の確認漏れのはずでした。

安宅:堀さんにそう言われて、メーカーの担当者に確認してみると、「ない!」の一言。。。ここまで来て終わってしまうのか、そんなことが頭をよぎりました。

堀:4Gの認証はとても高価なので、1社様でまかなうのはかなり厳しく、通常は認証済みのモジュールを使うことが一般的です。安宅様のお話を聞いて、ないはずがないので、当社側から直接中国国内のサプライヤーに確認してみました。

安宅:堀さんの対応に藁にもすがる思いでしたが、回答は呆気なく、「ありました!」とのこと。メーカーの担当者が最初にどのように確認したかわからないのですが、こうした確認は一人の言葉を鵜呑みにせず、幅広く確認することが大事だと強く思いました。

堀:そうこうしているうちに、電池試験も終わり、先に終了していた電波法試験、充電スタンドの副本発行と合わせて、全ての認証が終了することができました。

 

INSIGHT WORKSの良かった点:工場エンジニアとの交渉力、こまめな連絡、困った点もどうにかする対応力

工場エンジニアとの交渉力

安宅:先ほどあった工場側の問題多発についても、仮に向こうの間違いに気付いたとしても、こちらからそれを指摘して、正しい方向に向かせるというのは至難の業であると感じます。単純に「軌道修正」といっても、そこには言語(中国語)に加えた高いノウハウが必要だと思います。

安宅:また、認証を行うにあたって工場側には技術書類の提供を求めるわけですが、ネイティブでない自分が中国人エンジニアに理解させられるかどうかかなり不安ですし、英語で伝えたとしても、相手がそれを本当に理解できているかは不明ですので、そういった点などでも、INSIGHT WORKSのサービスは大変助かっています。

堀:電波法やPSEは日本の法律ですので、それを中国人担当者に理解させるのは難しいですし、中国人同士でやり取りしても間違えた解釈をされることは多々あります。そういった意味でも、当社サービスがお役立ち頂けたことを大変嬉しく思います。

 

こまめな連絡

安宅:これも先ほどありましたが、諸事情が重なり認証が遅れたことは事実ですが、こればかりは仕方ないと思うところもあります。ただ、一番問題なのは、遅れた理由がよくわからない、どのくらいでリカバリーされるのかが把握できない、ことだと思います。

安宅:その点、堀さんは何かあればすぐに連絡してくれたので、現在起きている状況を常に把握できたことはとても助かりました。

堀:普通に進行してくれていれば良いのですが、逆に安宅様にご連絡するのは悪いお知らせが多かったようでそこは恐縮しています笑。

安宅:それは仕方ないですよ笑。ただ、悪い知らせもしっかりお伝えいただいたので、逆に安心してお任せできたというのも事実です。

堀:そう言っていただけるとこちらも励みになります。こちらとしても、お知らせすれば必ずお返事くれる安宅様はとてもお仕事させていただきやすかったです。

安宅:あと、こちらから質問をすれば必ずいろいろ調べてご回答頂けたことも良かったです。

堀:「認証代行」の定義の置き方は、会社によって様々に違うと思いますが、当社としては、必ず認証を成功させる技術力と、ご依頼主様の疑問に出来る限りお答えするサービス力を合わせたものが「認証代行」だと考えています。

 

困った点もどうにかする対応力

安宅:様々に工場のサポートを頂いていましたが、特に印象的だったのが最後のIoT(4G)のTマーク認証の認定書はない、といわれた件です。

安宅:先ほども言いましたが、ここまで来てこの認証は「詰んだ。。」と思いましたが、絶対にあるはずだ、と言ってモジュールのサプライヤーなどに確認してもらって、認定書が出てきた時は嬉しさと驚きで、何とも言えない気分でした。

堀:認証代行のお仕事をしていると最初から最後まですんなり行くことの方が珍しいという感覚があり、これまでも数多くの問題をどうにかしてきましたので、そうした際の対応力も当社の隠れた強みとなっています。

※福岡市高島市長も公道実証に参加

 

認証を終えてからの感想

堀:私が言うのも何ですが、無事に終わって良かったというのが率直な感想です。

安宅:問題連発でしたからね笑。しかし、当社としても認証に関する知見・経験がたまってきておりますし、相手先の中国メーカーもやり方も覚えてきてくれていると思います。

堀:実際に、中国人エンジニアの方も、昨年のよりもかなり手慣れてきている印象はあります。

安宅:当社のビジネスとして、ユーザー様により良いサービスを提供させて頂くという意味で、もちろん提供場所や提供方法なども重要ですが、新しくて高性能な電動キックボードを利用して頂くためのアップデートも重要なテーマになってきます。そのため、自ずと新しい認証も必要になってくるのだろうと考えています。

堀:前回、今回の経験を生かしながら、貴社・中国メーカーとともによりスムーズで安心できる認証サービスを提供させて頂ければと思います。

安宅:当社は規制改革を推進するビジネスを行う一方で、遵守すべき規制(認証)にはもちろんしっかり対応していく所存でありまして、今後ともお力添えいただきたいと考えております。よろしくお願いします。

堀:こちらこそできる限りのサポートをさせていただければ幸いです。今回はどうもありがとうございました。貴社の更なるご活躍を祈念しています。

 

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