食品衛生法試験の進め方、PSE、SGマークなどとの他認証とまたがるパターンも増加
こんにちは。管理人の堀です。
今回は食品衛生法試験の進め方について書いていきたいと思います。
そもそも輸入品において食品衛生法試験が必要になるケースは、簡単に言うとその輸入物品が「人の口に触れるモノ(食品機器)」が対象となります。なお、今回の話では、「食品そのもの」は対象外という前提です。
お皿、カトラリー(フォーク、スプーン、ナイフ、はしなど)、鍋、ミキサー関連など。また、バーベキューセット、洗口器具、子供用おもちゃなどが食品衛生法の対象になります。
つまりそれは、多少でも輸入販売を経験されている方であれば容易に想像は付くと思いますが、(口から)人間の身体に害を及ぼす可能性のあるものです。
しかし、今のご時世で口に触れたら(身体に混入したら)有害になる物質を使って製品を製造する事業者など基本的に海外でもあり得ないレベルであり、一昔前に毒餃子問題などで大変な騒ぎになった中国でも同様だと言えます。
しかし、検査自体は実施しないといけないので、上記のような製品を輸入する際は必ず日本の検査機関による抜き取りテストが行われます。
正直なところ、食品衛生法試験自体は大して難しくないので、当社に依頼せずとも別の専門会社や、自社・自身で通関士の資格を保有するなどある程度の貿易実務を行っている場合であれば、比較的に簡単に対応できると思います。
しかし、輸入業務にほとんど携わったことが無くいきなり実務を行う必要になった際、そもそも何をして良いのか、また、ミキサーなどの電動の家庭用料理器具(PSE)やIH対応フライパン(SGマーク)など、他の認証とまたがる際に、面倒だからまとめて依頼したいなどであれば当社にご相談頂ければと思っています。
今回は、簡単にですが、食品衛生試験にはどのような資料が必要なのか、試験前後の流れなどを書いていきたいと思います。
Contents
食品衛生法試験に合格していないと輸入通関が出来ない
この「認証の原理原則」で書くほどの話でもないくらいに基本的なことですが、食品衛生法試験に合格していない口に触れる系の商品(食品機器)は輸入通関が出来ません。
もちろん個人で使用する、もしくは事業所としてもまずは確認程度のサンプルであれば、税関も認めてくれると思いますが、それでも一度の輸入でサンプルとして認められるのは数個程度です。
何の手続きもしないまま100個くらい輸入して、税関から問い合わせの電話があって初めて、「これはサンプルです!」と言い張っても基本的には認められません。100個のサンプルなんて根本的にはあり得ないということです。
しかし、一方で、ある程度の規模の組織体であれば本当に100個程度のサンプルが必要になる場合も考えられますので、その時は応相談になるかもしれません。いずれにしても、そうした際は事前に税関や通関士・通関会社などに相談するようにしてください。
最悪の場合、全て没収、さらに輸入者費用負担での廃棄処分になる可能性もあります。
この辺はPSE、PSC、電波法などとは違う点で、PSEなどは検査合格していない状態でも税関で止められることはありません。もちろん、それを販売したら罰則対象となりますが。
サンプルを取り寄せて検査機関による検査を受ける
では、まずどのように食品衛生法検査を進めていけばよいのでしょうか?
「食品衛生法 機器 検査」
などの用語で検索すれば山ほどヒットしますが、おおよそどの情報も間違いありません。出てくる検査機関についても基本的には日本の公的機関なのでどこもハズレはないと思います。
まずは検査機関に問い合わせをして、輸入・販売をしようとしている製品の種類・サイズ・形状・使われている材質などを伝えて検査の見積りをもらうようにしましょう。
見積り内容を確認して問題無いようでしたら、検査機関に対して検査依頼をすることになりますが、そうすると製品サンプルを取り寄せることになります。気を付けたいのは輸入するサンプルは少し多めに発注する必要があることです。
例えば、実際に検査機関が検査するサンプル個体数は5つであっても、用意するサンプルは10個以上であったり、また必要に応じて製品の各部品を用意する必要があります。
食品衛生法試験の考え方として、「抜き取り検査」となりますので、多数のサンプルの中から無作為(本当に無作為かはわかりません。。)で抽出したサンプルを検査するという方式になります。
この時、どのくらいのサンプル数を用意すればよいかは、代行会社や通関士など実務者は経験で判断できます。ここに関して決して難しい話ではないですが、全くの初心者の場合はどこかに代行(アウトソーシング)するのが無難ではないかと思います。
ここで一つ気を付けておきたいのは、検査用のサンプル輸入(①とする)と本輸入(大量輸入、②とする)のタイムラグを避けたいと思って、②のサンプルの中から①を捻出する方式を取りたいと考える会社様もいらっしゃいます。
一般的には、①をやって試験合格してから、続いて②を実施するという流れとなりますが、両者を分けるのは時間のロスが大きいと考えて、②だけで全て済ましてしまおうということです。
もちろん、理論的にそれは可能なのですが、問題なのは②で大量輸入してその中のサンプルを検査した場合に、万一、検査が不合格となると、すべての製品は廃棄しなければならないということです。
これは大変大きなリスクであり、ギャンブルに近い話なので、余程のショートスケジュールでない限りは、①と②は分けて取り組まれることを推奨いたします。
また、上記の知識を持って食品衛生法試験に際しては十分な時間を確保したうえで臨まれることをお勧めいたします。
通関会社との連携、注意事項、試験後の確認事項
検査の流れとしては、まず輸入された荷物は空港もしくは港の保税倉庫などに保管されます。
その状態から検査機関自らがサンプルの抽出に来訪します。輸入者はサンプルを輸入通関せずに保税倉庫に保管しておく必要があり、その為、輸入者は通関会社などにその旨を段取りしてもらっておくのです。
何も言わずにいるとそのまま輸入通関されてしまい、食品衛生法対象の食品機器ということでそのまま没収ということになってしまうので注意してください。
なお、保税倉庫に保管されている余りのサンプルは、試験終了まで倉庫料が発生することが一般的ですので、その点はあらかじめ承知しておいてください。
その他の注意事項としては、海外の輸出元がインボイスを間違えて記入しないかどうかなども気を付けてください。
細かい数量になったりすると、言葉は悪いですが、海外事業者は日本の検査機関・輸入通関の細かさを知らず、結構適当に書いてきたります。
インボイスを間違えていると、検査自体は終了しても証明書が発行されないという事態になりかねませんし、そもそも検査期間の遅れになる原因となりますので、最初からしっかりと記入するよう海外サプライヤーには厳命するようにしておいてください。
また、サンプル返却などを希望する際は検査機関に申し出れば、指定の場所に着払いで返送してくれます。ただ、検査機関自体もいろいろ業務上の都合があると思うので、あまりすぐに返してもらえないと考えておいた方が無難かと思います。
加えて、保税倉庫に保管されていた残りのサンプルも、発行された証明書を持って輸入通関することが可能です。
食品衛生法合格後の輸入手続きの流れ
試験後に検査機関より証明書が発行されれば、今後輸入通関する際にその証明書を提出すれば問題なく輸入許可が下ります。
ただ、新たに輸入する製品が本当にその証明書の内容と一致するモノなのかは確認が求められることもあると思いますので、その辺は税関や実務代行者などとあらかじめ確認しておく必要があります。
また、海外現地サプライヤー対しては、必ず証明書内容と同じ製品を送るように厳命してください。例えば、輸入通関許可が下りた製品以外に、未認可のモノが(誤って)同梱されていたとして、もしそれを税関が発見したら、他の許可済み製品においても影響があるかもしれません。
なお、証明書は一度承認されれば、製品内容の変更や食品衛生法の改正などがない限りは、以降継続して使用が可能です。
PSEやSGマークなど他認証をまたがる製品などの対応について
食品衛生法の特徴の一つとして、必ずしも生産工場が一定でなくても良い、と言う点があります。つまり、生産工場がA工場であってもB工場であっても、基本的に同じ製品(同じ材質)であれば、問題はありません。
しかし、例えば、ミキサーなどの電動家庭用料理器具(PSE)やIH対応フライパン(SGマーク)など、他の認証においては生産工場を固定させなければならないので、並行輸入などサプライヤー任せで工場を特定しないまま輸入を行っている場合、その点は注意が必要です。
もちろん、食品衛生法の認証代行会社とPSEなどの他認証を別の代行会社に任せるなど、進め方は依頼主様のご判断となりますが、当社ではすべての認証代行が可能ですので、まとめて認証を進めたいなどの際はお気軽にお声掛けいただければと思います。
以上簡単ですが、食品衛生法に関する基礎情報でした。また情報ありましたら書いていきたいと思います。
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