【認証Q&A⑥】電波法やPSEなど、認証費用が安くなるかどうかの質問などについてお答えします
こんにちは。管理人の堀です。
お客様からよくある質問の一つとして、自分が扱う・扱っている製品が認証の対象になるかどうか確認して欲しい、と言われます。
事業者としては、認証は数十万円から下手すると100万円を超える出費となるので、認証有無は確かに死活問題です。
ただ、当社では認証有無に関するお問い合わせは基本的にお断りすることがほとんどです。認証有無に関しては、関連省庁に聞けば教えてくれますし、調べれば情報があるからです。
認証有無については大きな判断となりますので、万一、当社が認証不要と答えた製品をそのまま販売され、実は認証が必要だったということになり、損害賠償請求などをされたら大変だから、ということもあります。
また以前に、認証が必要だからと散々いろんな確認に付き合わされ、ようやく技術資料が提供されて確認してみたら、認証が不要だったということもありました。
当社では、あくまで認証が必要だからその代行を行ってほしい、というお客様のご依頼に対応させていただいております。
しかし一方で、認証対象有無がお客様のニーズであれば、そちらにもご対応しようと思い、今までの経験上で分かっている範囲で、よくあるご質問とそのポイントについて解説いたします。
なお、当社見解はあくまで参考ということで、認証是非についての最終的なご判断は各自の責任で行ってください。
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リモコンは電波法対象ですか?
以前に書いた電波法に関する記事の「4 電波法対象製品、非対称製品」で触れていますが、もう少し細かく解説していきます。
一言で「リモコン」と言っても、その種類は大きく2つに分かれます。
1つはテレビ、エアコン、扇風機などの家電製品を赤外線通信で操作するもの。これは電波法は対象外です。
目に見えないという共通点はありますが、無線ではなく赤外線を使っています。
試しに、リモコンの先端を手で覆うと全く感知されなくなります。
もう1つは、Bluetoothなどでスマホを操作するリモコン、これは電波法対象となります。
例えば、VRゴーグルはスマホをセッティングして動画などを閲覧します。VRゴーグル本体は電波法とは関係ないのですが、この際にスマホの操作で使用するリモコンは電波法対象となります。
他には自撮り棒に付属しているリモコンなども電波法が必要です。事業者としてはこの辺しっかりと認識しておきたいところです。
ちなみに、完全に余談ですが、電波法には単方向と双方向のものがあり、試験費用も違ってきます。
例えば、スマホなどにBluetoothでつなぐだけものは単方向となり、費用もスタンダードです。
一方で、何度かご紹介しているワイヤレスプレゼンターを例にすると。
この商品は、本体に付属されているUSBをパソコンにセットして、パワーポイントやPDFなどのアプリケーションを立ち上げ、本体を操作すると画面のスライド(スクロール)をさせることができます。
このように、1つの商品の中で発信と受信の機能があるものは双方向となり、試験費用も少々高くなります。
ただ、無線の種類や機能などによって違ってくることもありますので、その辺は認証を行う業者とよく相談されてみてください。
冷蔵庫は特定電気用品以外でしょうか?特定電気用品だと高くなってしまいます。
実は冷蔵庫は、特定電気用品(菱形PSE)と特定電気用品以外(丸型PSE)の大きく2つに分類され、さらに、特定電気用品以外では、電気冷蔵庫、電子冷蔵庫、電気冷蔵庫(吸収式)が存在します。
菱形PSEと丸型PSEを区別する際に手っ取り早い判断材料としては、菱形PSEは業務用、丸型PSEは家庭用、という感じで認識しておきましょう。
上記のように冷蔵庫と言っても、多種多様ですので、仮に冷蔵庫のPSE認証をする必要性が発生した際、「冷蔵庫を認証したい」と言っても、必ず「どんな冷蔵庫ですか?」とサイズや用途などを聞かれるので、その辺はしっかり対応できるよう情報を整理しておきましょう。
ちなみに、これも余談ですが、冷蔵庫は仕様によって省エネ法の対象となる可能性がありますので、ここはしっかり認識しておきましょう。
PSE特定電気用品以外の試験は自主検査のレポートのみでもOKなのでしょうか?
法律の解釈が難しいのですが、以前引用した経済産業省のPSEフローをご確認ください。
ここにある「基準適合確認」というのは、「技術基準に適合しているかどうかを自己確認」することを意味しています。
ここの自己確認というのがミソで、外部の検査機関以外に自社で自主検査を行ってもよいということになっています。
但し、PSEの技術基準に沿って厳格に検査する必要性があることは、外部の検査機関だろうと自社検査であろうと同じであり、検査設備やノウハウなどを社内に蓄積することは一朝一夕ではいきません。
それ相応の時間もコストもかかります。また、自社内で行えば、検査内容なども甘くなる場合があります。そういう意味で、客観的な視点を得るためにも、外部の検査機関による検査は必要でしょう。
万一、流通後に製品事故などがあり経済産業省から取り調べを受けた時に、すべて自社内だけで検査を行ったということになれば、相応の改善指導を喰らうことになるでしょう。
何故こういう法律になっているかはわかりませんが、ここだけを読むと検査費用を払わずに自分で何とか出来ると勘違いしてしまう人も出てきてしまうかもしれません。しかし、そういったことを調べるのは、それこそ時間の無駄でしかなく、基本的には外部の検査機関一択しかないと思います。
特に、中国工場自らによる基準適合確認は絶対あり得ませんので、そのことは覚えておきましょう。
なお、PSE特定電気用品では、登録検査機関による「適合性検査」が義務付けられています。
コーヒー製造機を輸入しようと考えていますが、特定電気用品以外のNo.105電気コーヒー沸器でしょうか?No.173コーヒーひき機でしょうか?
これはモノを見てみないとわかりません。
No.105電気コーヒー沸器は「電気熱器具」に分類され、No.173コーヒーひき機(コーヒーミル)は「電動力応用機械器具」に分類されます。
前者は電気を使って熱を発生させるもの、後者は電気を使って動作をさせるものということになり、今回の例で言えば、コーヒー製造機と言っても、どちらに属するのかは確認する必要があります。
ただ、コーヒー製造機はすぐに判別できるでしょうが、同じように対象物が同一でも電気の使い道が違うものがあり、中には判別が難しいものもあります。
いずれにしても、電気を使ったPSE製品であることは間違いないので、先に認証を進めて、最後に経済産業省に申請する段階で、経産省の人と申請区分を確認するやり方を取っても良いかもしれません。
またまた余談ですが、コーヒー製造機は食品が機械に触れますので、食品衛生法による機械の検査が必要になってきます。
超音波ウェルダーは電波法認証が必要でしょうか?
少しマニアックになりますが、電波法では高周波利用設備(NFC)に関して取り決めをしています。
高周波利用設備とは、通信、医療、工業等の目的のため10キロヘルツ以上の高周波電流のエネルギーを利用している設備です。
高周波利用設備から漏洩する電波が他の無線通信に妨害を与えるおそれがあるため、一定の周波数及び電力を使用する高周波利用設備については、設置又は変更する前に許可を受ける必要があり、 次のようなときには申請又は届出の手続きが必要となります。
引用:近畿総合通信局_高周波利用設備_高周波利用設備の概要
こうした中で、超音波ウェルダーのような強い電波を発するが無線通信等への影響が少ないと判断される設備については、個別の許可を不要としており、(検査・測定を行ったうえで)高周波利用設備の型式指定の申請を行います。
要は結局、検査・申請を行うということです。法律の条文はややこしいですが、基本、スルーできることはないと考えておいた方が良いでしょう。
ただ、総務省に確認した際、エリア(地域)によって見解が異なる可能性はあるので、不明点については、各エリアの総合通信局に確認してほしいとのことでした。
なお、強い電磁波を発する電子レンジ、電磁誘導加熱式調理器(IH調理器)は、製造事業者・輸入事業者などは、機器の型式について技術的条件に適合していることの確認を自ら行い、総務大臣へ届け出る必要があります。
この辺の製品を扱う機会あれば抑えておかないといけない法律です。
なお、ご質問にある「超音波ウェルダーは電波法認証が必要か」ということへの回答としては、超音波ウェルダーは高周波利用設備(NFC)の試験が必要で、電波法認証は不要です。そもそも 高周波利用設備(NFC)と電波法はいずれかの試験をクリアすれば問題ありません。無線強度などにより試験対象が変わってきますが、無線を発する以上は何らかしらの試験が必要だと考えておいてください。
レーザーが照射されるバーコードスキャナを輸入しようと思っていますが、PSC対象でしょうか?
以前に経済産業省に直接確認した際は、PSC対象外ということでした。理由として、PSCは消費生活用製品安全法という名前の通り、一般消費者が日常に使うものを対象にしているということで、バーコードスキャナーはいわば業務用というだから、PSC対象外ということでした。
バーコードスキャナーは業務用と言っても、自宅・事務所などで軽作業をする人が使っているイメージがあり、「業務用」の定義とはなんだろう?ということだったのですが、その当時の経産省の見解はPSC非対象ということでした。
また、レーザー距離測計は一般的にPSC対象となっていますが、
「主として一般消費者の生活の用に供される製品」であれば、
「消費生活用製品」に該当し、同法に基づく特定製品
(携帯用レーザー応用装置)として、規制の対象製品となる。
本来的には工事現場など(業務用)で使われていたレーザー距離測計ですが、最近では、日常生活で長さを測るものとしても使われるようになり、代表的な例としては、子供の身長をレーザー距離計で測定するという行為が増えてきています。
そうなると、子供自身でも使用する場面が増えてきますので、やはり規制の対象になるということです。
つまり、一時は規制対象外だけど、時代の変遷によって規制対象になる場合がある、というぐらいに考えたおいた方が良いかもしれません。
なので、以前はPSC対象外と言われたといってそのままにせず、実際に取り扱うことになった際や、すでに取り扱っている場合も、定期的に経産省へ見解を聞いておくというのは必要かもしれませんね。
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