【注目】PSE、PSC、電波法技適の検査手順がわからない方に、とりあえずこれくらいを把握しておけば十分です③ 電波法技適編
こんにちは。管理人の堀です。
検査手順編シリーズ③では電波法技適について、当社の経験に基づいたフローを使いながら書きました。
電波法については、総務省や日本を代表する電波法の検査機関・TELEC(一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター)のウェブサイトにいろいろ詳しく載っていますが、結局のところ、何をどうすればよいのか初めての方には少しわかりづらいかもしれません。
わかりづらいというのはあくまで主観ですが、当社でも初めての電波法認証の際に、仮に一から自分で検査機関などを活用していたら、いつまで経っても成功できなかったかもしれません。
ちなみに、当社が初めての電波法認証をしたのはアメリカの検査機関です。
自分で言うのもなんですが、日本人が中国で生産した製品をアメリカで検査して、最終的に日本で売るというのはなかなかダイナミックで、今のグローバル社会をよく表しているのではないかとも考えています。
ここで覚えておいていただきたいのは、電波法は世界各国・地域で独自の法律がある場合が多く、生産地は中国で製品はどれも大体同じだけど、そこから各国の法律認証が必要というパターンが多くあります。
そういうわけで、日本の電波法でも世界各国の検査機関を使えたりして、製品によって検査機関を使い分けられたりもするのです。
そうした予備知識を踏まえて、いつものように制度の説明ではなくどうやったら通常の事業者が認証合格できるのか、ということに重点を置いて説明していきたいと思います。
Contents
電波法技適認証の流れ
当社実例より電波法技適認証の検査手順フローを作成しました。
製品によって、手順、細かい表現、対応する検査機関などが変わってくることもありますが、おおよその流れとしてご理解いただければと思います。
対象のワイヤレス品
PSE、PSCのように省庁(総務省)で指定した特定製品というものはなく、数をあげたらキリがありませんが、それこそ多様なワイヤレス品が対象になります。
ざっと対象になりそうなものをあげてみました。
巷で言われるWi-fi○○、無線○○、コードレス○○、スマート○○、Bluetooth○○と呼ばれるもののほとんど電波法対象と考えられます。
一方で、テレビ、扇風機・エアコンなどの家庭用電気用品のリモコンの多くは赤外線通信であるため、ほとんどが電波法の対象外です。製品によって違うので、気になる方は確認してみてください。
一般的な説明を読んでいると、電波法認証するにあたり無線基地局の開設が必要など、専門的なことが書かれていたりもしますが、あまり難しいことは考えずに、「ワイヤレス商品は電波法認証が必要」というくらいの認識でいていただければ大丈夫かと思います。
検査
いきなり検査まで飛んでしまいますが、中国などの海外の検査機関を利用すると、あまり難しいことなく検査が始められます。
検査に際しては、
製品回路図やアンテナ図などの技術資料ともに、ISO9001sの証明書などが必要になってきます。
ISO9001s?と思われる方も多いかもしれませんが、ISO9001sは、主に品質管理に係る組織や書類の管理方法等について定められたものであり、電波法認証ではこれをクリアしている(書類提出できる)ことが求められます。
ISO9001sを取得している場合は、審査の簡略化ができますが、仮に取得していない場合は、別途資料作成などが必要となり、これはTELECの方に直接お聞きしたことがありますが、正直言って重労働になるのでISOを取得していない工場の認証はしたくない、ということでした。
もちろんISO取得していることに越したことはありませんが、認証対象が中国の中規模工場などになるとISOを取得していないことも多々あり、当社ではそれに対応する書類作成も可能です。別途費用が必要です。
なお、それなりの規模の中国工場はほぼISO取得しています。ハッキリ言って、この辺は日本よりも進んでいるのではないかとも思います。
検査自体は何事もなく無事に進めば6週間~8週間ほどの営業日で認証は終了します。
総務省に申請
認証が終わりましたら、検査機関より総務省に申請をしてくれ、同じ頃に証明書(PDF)が発行されます。
製造/輸入/表示/販売
全ての認証試験が終わった後は、晴れて製造・輸入を行っていただければと思います。
また、PSEやPSCと同じくですが、やはり電波法番号の表示についてはお客様からのお問い合わせは多くあります。
詳しくは、「PSE、PSC、電波法技適の検査手順、とりあえずこれくらいを把握しておけば十分です① PSE編」の「1.7 表示」をご覧ください。
また、電波法マークの表示方法としては、
- 本体に表示。例外規定として、体内植込機器等、本体への表示が困難等の場合は、取扱説明書、包装、容器へ記載可能。
- 本体に電磁的に記録し、本体のディスプレイに表示も可能。
- 表示の大きさについて、識別可能であることのみを条件とする。
という総務省見解があります。
ただここでも言えることは、表示を含めて認証は工場任せにするのではなく、やはり自社ですべてコントロールすることが大事でしょう。
コントロールのやり方はいくらでもありますので、その点は是非ご相談ください。
電波法番号例 総務省ウェブサイトより
当社ワイヤレスプレゼンター
技術基準適合証明と工事設計認証の違いとは
豆知識的な話になりますが、電波法認証を検討するうえで、知っておいた方が便利な話を一つさせていただきます。
電波法認証とよくセットになっているのが技適認証という言葉です。
技適とは「技術基準適合証明」の略称なのですが、そもそも技術基準適合証明とはなんでしょうか?
簡単にいうと、技術基準適合証明とはロット検査のことです。
例えば、今ある100台の機械だけ電波法認証したいなどという際に利用されます。そうすると、電波法認証の対象はこの100台のみです。
一方で、工事設計認証とは大量生産向きで、以降生産される同一製品に際して永続的に電波法認証が与えられるものです。
どちらが良いかはその時の事業内容によりますが、仮に電波法認証をしていない製品が100台ほど在庫ある際、それを売り切ってしまいたいだけということであれば技術基準適合証明で良いかもしれません。
ただ、今後、大量生産(継続的に生産)を考えているのであれば、基本的には工事設計認証になるでしょう。
つまり、「電波法技適」というのは、技術基準適合証明のことを指すことになり、厳密に言うと、工事設計認証とは別物になってしまうということは、ちょっと覚えておいても良いのかと思います。
参考:TELECウェブサイト「無線設備の技術基準適合証明及び工事設計認証(はじめての方へ)」
認証費用はいったいどのくらいかかるのか?
率直なところ、日本のTELECでも海外の検査機関でもそれほど大差ないと考えています。
見積り自体はTELECのウェブサイトにも掲載されています。
ただ、生産が海外(中国)であるため海外(中国など)の検査機関を利用したいという時には、当社では中国語・英語でも対応ができます。
工場任せにはしたくはないが、基本的にすべて丸投げしたいというのであれば、
自社での人件費コストを考えた際、しっかりと認証コントロールさせていただく当社はかなり割安なのではないかと考えています。
また、複数の商品の認証をまとめて行いたいなどの場合、ボリュームディスカウントができる場合がありますので、そうした際にもご連絡いただければと思います。
当社の強み:数多くある検査機関から最適なところを選べる点
実のところ、電波法認証ができる検査機関は国内外ともに相応の数があります。
その中で、国内検査機関としてTELECは群を抜いて有名であり、一部には日本の電波法=TELECという認識もあったり、日本の電波法認証のことをTELEC認証と呼ぶ人もいます。
もちろん、自社でTELECに電波法認証をされること自体は問題ないかもしれませんが、例えば、日本語が全くできない海外工場であったり、必要書類を自力でそろえるのが難しい海外工場などを利用しないといけない場合、様々な見えないコストを考えるとは別の手段があるかもしれません。
また、当社では幅広い検査機関ネットワークを有していますので、なるべく早く・リーズナブルに、なるべく申請者の方に書類ワークなどを発生させないように、最適な検査機関を選ばせていただいております。
電波法のほかに電気通信事業法とは?
これも豆知識として覚えておいていただければと思いますが、電波法認証を検討する際、「電気通信事業法」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
これは、FTTH、携帯電話(3G・4G)、無線LANなどの無線を扱う際に、通常の電波法以外に、端末設備の技術基準を満たさなければなりません。
正直なところ、これを読んでいらっしゃる方でそこまでやる方は少ないと思いますが、最近、問い合わせも多くなってきているので、念のため、触れさせていただきます。
特に、中国で新しい携帯電話の開発が進んでおり、日本で端末販売事業を行いたい方から見積もりの問い合わせがよくあるのですが、正直言って、桁違いの費用となってしまうので、多くの方がそこで断念されてしまいます。
携帯電話にディスプレイ表示されている電波法と電気通信事業法の番号(筆者携帯)
お客様は制度の説明ではなく合格できるかを知りたい
PSE、PSCの説明と重複しますが、あえて繰り返しお伝えしますと、お客様の知りたいことは電波法制度の説明ではなく、あくまでどうやったら電波法合格できるのかということだと思います。
このページも専門家から見たら、重箱の隅をほじくるように異論・反論があるかもしれませんが、少なくとも当社は「合格の為に最低限必要な情報」ということで、当社およびお客様の経験をもとに書かせていただいております。
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