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PSEマーク、PSC、電波法など、今年一年の認証ビジネスの状況を認証代行会社の視点で振り返る

 2020/12/31 PSC PSE コラム 中国ビジネス 事例 認証の原理原則 電波法
この記事は約 7 分で読めます。 1,882 Views

こんにちは。管理人の堀です。

本日は12月31日、暮れも押し迫る中ですが、自分自身が経験した中から今年の認証ビジネスを振り返り、そして来年の動向などを勝手に予測させていただきたいと思います。

今年は何と言っても新型コロナウィルスの感染拡大により、社会は激変を迎えましたが、当然認証ビジネスの世界でも大きな変換を迎えました。

率直に言いますと、やはりコロナウィルスが本格化し始めた2月~4月は、お話あった認証の案件が一旦すべてなくなりました。それまで良好に連絡を取っていたお客様とも、一切音信不通になる状態です。

それは仕方ないことなのですが、一方で、5月の緊急事態宣言解除前後からまた新しい案件のお問い合わせが増え始め、結局のところ昨年よりも数倍の受注を頂くことになる1年でした。

また、お問い合わせ自体の数も多くある中で、自分なりに認証ビジネスの状況というものを掴めるようになってきており、読者の皆さんにも共有させていただきたいと考えています。

今回は2020年の認証ビジネスの動向を振り返るとともに、次回は2021年の予測をしたいと思っています。

「認証ビジネスの動向」というとかなりニッチな様相を示していますが、機械関連のビジネス動向、中国(輸入)ビジネスの動向などを探る意味でもご一読ください。

 

検査機関による海外工場検査(視察)が一切中止

例えば、経済産業省管轄のPSC(消費生活用品安全法)製品においては、基本的にサンプル検査とともに生産工場検査が義務付けられています。(一部の製品では対応無し)

そしてPSCの登録検査機関のほとんどは日本国内にあり、一方で生産工場は中国などの海外にあることがほとんどです。これまでは、日本の検査機関の検査員を海外に出張させることが通常でしたが、コロナウィルスの影響によりその実施が出来なくなりました。

仕方ないと言えば仕方ないですが、それにより割を食ったのは認証を行いたい事業者です。

一番可哀想だったのは、PSCレーザー認証において今年1月の段階ですべての検査が終わっており、あとは2月以降に中国での工場検査を残すのみとなっていたお客様が、12月現在の未だに試験が実施できていないという状況です。

検査機関としては、コロナウィルスを盾にとって動かない自分たちを正当化していますが、自分のお客さんがこのような状態になっているのであれば、何かしらの策を講じるのがビジネスの在り方ではないかと思う次第です。

ちなみに、PSE特定電気用品の検査においても、生産工場の工場検査は必須です。しかし、PSE検査は海外の登録検査機関で実施されることも多く、海外の検査機関は自国以外の工場検査におけるリモート検査に積極的です。

それ自体の是非はひとまず置いておきますが、当社でもそれに付随するお仕事は多く受注した1年でした。

 

日本の(一部の)検査機関がコロナウィルスの影響で営業縮小→海外検査機関の利用が活発化

今年何回か受注した案件なのですが、特急でやらないといけないと認証なのに、依頼しようと思っていた日本の検査機関(どことは言いませんが)がコロナウィルスで営業縮小していて、到底間に合いそうにないということで、当社では海外検査機関の利用を提案したことが複数回ありました。

その時のお客様の反応としては、そんな検査機関は聞いたこともないという印象で、最初はかなり慎重なご様子でしたが、当社から様々にご説明させていただいたところ、それでも問題無いということをご納得いただきまして、実際の検査に進むことになりました。

内容が複雑な検査(PSEなど)において海外の検査機関で大丈夫なのか?という疑問はわくかもしれませんが、手前味噌の話になりますが、認証代行の会社(つまり当社)がちゃんと仕事をすれば基本的には問題ありません。

むしろ、日本の検査機関より融通が利きますし、いろいろ使い勝手が良いのは確かです。

話を戻します。

今回のコロナウィルスなどによる短縮営業はどこの組織でもある話なので、取り立てて検査機関の短縮営業が悪いということではありません。

ただやっている仕事がリモートで対応できる仕事であればそれでも良いと思うのですが、検査機関の場合、職場にしか検査機器などはないわけですし、それで短縮営業となって仕事を進めてくれないとなると、とお客さんとしては、海外でもどこでもすぐにやってくれる検査機関を求めるのは当然のことと思います。

それは海外の検査機関とのパイプがある代行会社を使う必要がありますが。。

日本の検査機関のほとんどは、特殊法人が運営している組織であり、つまり公的機関なので今回の状況で通常通り営業することの方が、対外的な問題が発生してしまうかとも思います。

しかし、こうした点における配慮はある程度の顧客目線が必要ではないかと感じました。

もちろん、それで当社への依頼が増えたのも事実であり、当社にとってはチャンスだったわけなのですが、全体を俯瞰した際の意見として申し上げました。

なお、余談ですが、当社がある検査機関にメールで問い合わせをした際に、認証代行会社としての当社情報を見たようで、返信の電話で「仕事紹介してもらえませんか?」と言われたことがありました。

今後、公的組織である検査機関としても営業活動が必要になってくるかもしれません。

 

「大型製品より小型製品の認証が増える」

太陽光蓄電池の認証に対して政府補助金が降りるというスキームになっており、昨年度辺りから注目を集めていました。

当社にも春先には問い合わせがあり、ご契約寸前まで進んだのですが、コロナウィルスの影響か依頼主様から一方的に連絡の遮断があり、結局はご契約に至りませんでした。

そもそもこの状況下でお受けした際に、スムーズに進めることができたかどうかも不明ですので、それはそれで問題ないのですが、それ以降に太陽光蓄電池などに大型案件に関してのお問い合わせはなくなりました。一方で、比較的に小型案件が多くなっていきました。

傾向としてはこの時期ですので、それほど大きな投資ができる企業さんは多くないのと、実際に何に投資すべきか再構築されている企業さんが多くなっているという印象は受けております。

ちなみに、最近になってまた新しい太陽光蓄電池の認証依頼が増え始めています。やはり需要ある分野なので、天災(コロナウィルス)も一巡し始めたら、どんどん活発化してくることが見込まれます。

 

「コロナウィルス感染拡大に伴う対策機器の認証が増加」

建物に入る際に、顔をかざして体温を測る機器はご覧になったことも有るかもしれませんが、その体温データをクラウドなどに通信するタイプは、無線を使うために電波法認証が必要になります。

新規事業として、中国から仕入れる顔認証機器の電波法認証をしたいというお客様は多くいらっしゃいました。

その他、小中学校のICT化を進めるためにタブレットの大量導入に備えた輪番電源タップ(PSE)の認証依頼などもありました。

人間とは進化するもので、コロナウィルス感染拡大に追われつつも、それに対応するための道具(製品)も次々に開発が進んでおり、必要とあればその製品の許認可認証も行う、という傾向は今後も続くと思われます。

 

こういうご時世だからこそ認証製品を扱うことで事業拡大を狙う中小企業が顕著

昨年と比較してみて、率直に感じるのが当社へのお問い合せ数が格段に増えていることです。もちろん、昨年より長く営業しているわけなのでその分認知度も深まっているかと思うのですが、Amazon・楽天などの個人出品者の方、中小企業の方などを中心にお問い合わせが増えています。

他方、特にAmazonなどでは中国人セラーの台頭、また、新規セラーの増大などにより、既存の日本人セラーはなかなか厳しい戦いを強いられている側面もあり、差別化を図る意味でも、少々の費用を支払ってでも認証が必要な製品を扱おうという機運が高まっているようにも感じられます。

以上が今年2020年の認証ビジネスの振り返りですが、次回では2021年の傾向を勝手に予測したいと思います。

 

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