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【認証Q&A⑬】PSE、PSC、電波法やり方によって認証有無が変わってくる?

 2020/08/02 PSC PSE Q&A 事例 認証の原理原則 電波法
この記事は約 11 分で読めます。 3,306 Views

こんにちは。管理人の堀です。

認証の仕事をしていて一番よく聞かれるのは、これは認証の対象外ですか?対象外ですよね?という質問です。当然といえば当然かもしれませんが、基本的に皆さん認証はしたくないんだなーって感じます。

長く認証ビジネスをやっていると、むしろ認証した方が参入障壁も作れて長く安定的にビジネスができますし、資金だってビジネスの組み方次第ではいくらでも引っ張れることを知っているので、恐縮ですがそういう方々はあまりビジネスに詳しくないんだなと感じます。

これってPSE?これって電波法?と悩むくらいであれば、逆に認証取ってしまってそれが認証品であると周囲にアピールする人もいるくらいなので、そこはやり方次第なのかなと思います。

むしろ、認証有無を気にするくらいであればまるっきり関係ないアパレルや生活雑貨などを扱った方が儲かる気はしています。要はビジネスの設計次第です。

そもそものところとして、認証を行うというのは大前提として、製品事故からのユーザー保護の観点なので、認証をしなければならないと考える時点で、事業者としての資質を疑ってしまうところでもあります。

とまぁ、認証代行会社のポジショントークはこのくらいにしておき笑、そうは言っても認証費用は安くない金額ですので、出来ることなら認証は避けたいというのが人情でしょう。

また、生産技術が高度に発達する現代において、認証なんてしなくても事故なんか起きるわけがないというのも事業者の本音かもしれません。

当社では法律の適用可否を決められませんが、法律の範囲内で有無が変わってくる対応はそれなりにありますので、今回はそうした内容(Q&A)を中心にお伝えしたいと思います。

 

ACアダプター・電源コードではなくUSBで給電するものはPSE対象外ですか?

これは本当によく聞かれるご質問で、このサイト内でも何回かご回答させていただいておりますが、あらためて少し詳細にお伝えしたいと思います。

そもそもPSE(電気用品安全法)による電気用品の基準は、交流100V~300Vの定格の電気機械器具であることです。

100V以下で電気を使う製品は、基本的にはおもちゃ(玩具)扱いであり、その大半が乾電池やUSB給電で動作するものです。

一方、電源コードやACアダプターの給電で動作するものは100V以上のものが通常です。

ちなみに、300V以上のものは基本的に業務用であり、電気用品ではなく電気設備ということになりPSEこそは不要ですが、その代わり電気工事士などによる厳格な設置工事が必要になってきます。

話をUSBに戻すと、基本的にUSBケーブルで必要となる電圧はたったの5Vです。そのため、USBケーブル給電の電気用品はPSE不要ということになります。

ただ、それではPSE認証が大変だから何でもかんでもUSB給電にしようと考えるのは早計です。

基本的にUSBは5Vしかないので、そうなると大半の電気用品の十分な給電が行えず動作しません。その辺の考え方は気を付けるようにしましょう。

一方、USB給電でもコネクタ・ケーブルがUSBなだけでその先に電源プラグ付属しているものも多々見かけますが、電源プラグは100V以上の電圧を変圧するPSE特定電気用品(差し込みプラグなど)に該当します。

なお、事業者としてあまりお勧めしない行為でありますが、例えば、本当はACアダプターや電源プラグを付属して販売した方が当然ユーザーフレンドリーですが、それを付属しないでUSBケーブルだけ付属し、プラグは購入者の方がご自分で揃えてください、という販売方法もあります。

そうするとPSE違反にはなりません。

 

ACアダプターを自分で認証しないという方法もありますか?

これも以前の記事「電波法製品において電源供給にACアダプターを使用しますが、PSEは必要ですか?」でご紹介した内容ですが、もう少し細かく書きます。

PSEはその制度上、販売者は正しく製造事業者届もしくは輸入事業者届が申請されている電気用品を販売することは何ら問題がありません。自身で申請しているPSEなのか、他社が申請しているPSEなのかは問われません。

つまり、正しく申請されていないものを販売している事業者が罰則の対象になるのです。そして、大体において自分で販売するからPSE申請をするわけなのですが、その中で、他者が使うPSEアダプターを販売する業者なども存在します。

日本国内で言えば、ミスミなどのメーカーサイト、事業者向けサイトのモノタロウなどで見つけることができます。これらは間違いなくPSE認証されているでしょう。

そうしたところで調達したACアダプターを自社の商品と同梱し、PSE認証済みということで販売することは法的に問題ありません。

ただ、こうしたサイトで販売されているPSE認定済みアダプターは基本的に割高で、個人利用で1つ2つくらい購入するのであれば問題ないでしょうが、商用として100個200個単位で購入するのであれば、自らPSE手続きをした方が安く済むかもしれません。

また、商品本体と電源アダプターの電圧チェックは重要で、電圧が合わないアダプターを用いて充電・給電すると途端に本体が動作しなくなる可能性があるので、電気関係に詳しくない場合は、専門業者などに測定テストを依頼した方が良いかもしれません。

 

PSC携帯用レーザー応用装置に該当するらしいのですが、クラス3以上のレーザーと判定されてしまいました

経済産業省が管轄するPSC(消費生活用製品安全法)の携帯用レーザー応用装置の基準について、一度おさらしましょう。

 

携帯用レーザー応用装置

レーザー光(可視光線に限る)を外部に照射して文字または図形を表示することを目的として設計したものであり、携帯用のものが特別特定製品の対象です。レーザーポインターやレーザー付放射温度計などが含まれます。

引用:JQA(一般財団法人 日本品質保証機構)消費生活用製品安全法(PSCマーク)(法律に基づく業務)

正直なところ、JIS C 6802(2014)安全基準3.18と言われてもなかなかピンとこないと思います。

要は、レーザーポインター、レーザー照準器、レーザー付きの放射温度計、レーザー走査型の携帯プロジェクター等などは、PSCの対象になり得ます。それ以外にも、レーザーを発するものはPSCの対象有無の確認をした方が良いでしょう。

また、引用中にある「レーザークラス」に関して、またまた引用となりますが、Wikipediaの解説をご参考ください。

 

クラス1

概ね0.2mW(単位:ミリワット)前後の出力。100秒間瞬きせずに直視しても問題無いとされる。光線の波長によって出力制限が異なる。後述のPSCマーク認定レーザーポインター、主に玩具用。

クラス2

1mW未満の出力。0.25秒間未満の直視は問題無いとされる。PSCマーク認定レーザーポインター、主にプレゼンテーション用。

2001年以降これより上の出力を持つレーザーポインター(正確には電池駆動の携帯用レーザー応用装置)の製造販売、及び輸入販売は法律で禁止されている。

クラス3A

法規制以前に販売されていたレーザーポインターやレーザーマーカーなど。直視してしまっても瞬きなどで回避できる場合がある。望遠鏡などで直視した場合は目に致命的な損傷を与える。

クラス3B

500mW以下の出力。光学ドライブのレーザーがこれにあたる。光線の直視はいかなる場合でも避けなければいけない。

クラス4

クラス3Bを越える出力。直視だけではなく、拡散反射でも目に悪影響を与え、やけどなどの皮膚障害を起こす。温度上昇により照射部分が発火することもある。レーザーショー向け。

各クラスと出力の詳細

クラス1~2であれば、レーザーポインターから目標までの軌跡は通常の大気中では全く見えない。(中略)軌跡が大気中で見える製品はクラス3A以上の可能性が高く、そのような製品は日本国内での製造販売、及び輸入販売は禁止されている。

引用:Wikipedia_レーザーポインター_光強度とクラス表示

 

クラスが上がるにつれレーザーの出力度数(パワー)が上昇していくのですが、日本の一般市場で輸入・販売が許されるのはクラス2までです。加えて、PSCの検査も必要になってきます。

前置きが長くなりましたが、ご質問の内容は、製品としてPSC対象のレーザー装置だと経済産業省に判断された一方、生産(海外)工場製品で確認したところ、レーザークラスが(日本における)3以上であると測定されてしまい、どうしたらよいか?というものです。

レーザークラス3以上というのは、輸入販売が禁止されていますがPSC対象でもありません。よって、PSC検査を受けることすらできないのです。しかし、製品種類的にはPSC対象ということなのでどうすればよいか?

ご提案できる内容は、生産工場がサンプル作成・技術資料を提供するなど、積極的に協力することを前提として、そのレーザークラスを2以下まで落とす仕様変更をすることです。

技術的にはそういったことは可能です。すると、従来品よりはレーザーパワーが低くなりますが、PSC検査を受けて、輸入販売することが可能になってきます。

しかし、そもそもそこまでしてその工場を使う理由があるのか、別で条件の良い商品を作っている工場を探す方がいろいろ手間は省けるように、率直なところ感じます。

ただ、出力パワーを落とすというやり方があることは覚えておいても良いかもしれません。

 

電波法対象機器で電波法とは別にR45J(LANケーブル)の認証は必要ですか?

無線の他に、有線(LANケーブル)を用いてルーターなどと接続して同機能を動作させる機器がありますが、その場合、LANケーブル端子(R45J)の認証が必要になってきます。

ただ、R45Jの機能を使わないという製品設定にすれば認証は不要になります。

その際は、端子部分に蓋をするなどして利用できないようにすること、説明書などからLANケーブルに関する記載を一切消すことが必要になってきます。

やり方は少し複雑ですので、必ず専門家に確認するようにしてください。

 

製品にあるすべての機能を認証すると費用が高くなるので、一部は認証しないという選択は出来ますか?

先に結論を言うと理論上は可能です。しかし、実際にできるかどうかは工場次第です。また、ご自身で認証を熟知するか、認証を熟知したコンサルタントが工場に仕様変更の指示を出すようにしないと実現は難しいと思います。

例えば、ある電波法製品があり、認証対象がwifi-2.4GとBluetoothの2つあったとします。

しかし、Bluetoothはスマホへの接続がメインなので、事業者が想定する使用範囲としてBluetoothは不要と考えることもあります。

Bluetoothは認証不要と考えた際、生産工場に対してBluetoothのチップを外すなどを依頼して、認証をしないということも可能です。

なお、気を付けないといけないのは、自分自身は認証不要だと考えていても、その機能が動作しないように設定・仕様変更せず、デフォルトの状態では販売することはできませんし、そもそもそれでは検査機関による試験も通過することはできません。

必ず生産工場に対して、機能の停止措置・仕様変更の依頼をして、そのサンプルで試験をする必要があります。

しかし、工場においても、最初に設計した機能ありきで生産するのが通常であり、機能を停止するという依頼に応じてくれるか不明ですし、その作業自体を行うためにも明確な指示が無いと動いてくれません。

工場自らの考えてやってもらうのは、相当量の注文をしているのであれば可能性もありますが、あまり注文数も多くないようであれば、そこまでの対応を望むのは現実的に難しいでしょう。

そうした際、工場に指示を出せるコンサルタントは必要になってきます。

一方で、どんなことがあっても仕様の変更はしないという工場も存在するので、その辺の交渉力は必要になってきます。

 

 

以上、PSE、PSC、電波法やり方によって認証有無が変わってくる?というテーマで、当社事例を踏まえて書かせていただきました。

大事なことは、事業者本人が少しなりでも認証について勉強をしていただき、代行会社・検査機関から話のあった認証をパターンから、ご自身の意向を伝えるようになっていただければと思います。

ハッキリ言って、認証しなければならないものはすべて提示するのが代行会社の責務ですし、機能を減らす場合は、生産工場と相応な調整が必要になり、時間も費用も掛かるので、お客様に不利になることも多く、正直なところ、必要なものを全部やるのがベターだと考えています。

基本的に検査機関・代行会社もお客様の予算を把握しているわけではないので、やはりまずは全体額をご提示するしかなく、また認証費用はそもそも高いものなので、金額だけ見て高い高いと騒ぐのは少し幼稚かと思ってしまいます。

相見積もりを取るのは良いのですが、根本的に認証についてご自身で勉強しない限り、安いところは大体において不備もあるわけで、結局手間がかかることが大半です。認証というのはどうしてもそれだけ複雑なのです。

そうした諸々を含めて、正しいことを言っていると思われる検査機関・代行会社としっかり話をするなど、勉強されるようにしてください。

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