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モバイルバッテリーはPSE認証だけじゃない!? SDS(安全データシート)の5つの考え方

 2020/07/08 PSE 中国ビジネス 認証の原理原則
この記事は約 8 分で読めます。 5,331 Views

こんにちは。管理人の堀です。

モバイルバッテリーのPSE法制化が2019年2月より始まり、販売業者の間でもようやく遵法意識が高まっているように感じられます。

と少し偉そうに書いてしまいましたが、それまで普通に販売できていたものがある日を境に法規制対象になるわけですから、事業者としては対応に苦慮するのは仕方ないことかもしれません。

そもそもモバイルバッテリーはPSE対象なの?という方は、まずはこちらをご覧になっていただければと思います。
経済産業省_モバイルバッテリーに関するFAQ

電池の二次利用(充電)が一般的になり、リチウムイオン電池の利用が拡大する一方で、電池の発火事故が急増し、モバイルバッテリーのPSE法制化が決定しました。

そうした背景については、「モバイルバッテリーを取り扱いたい事業者の方に向けた、PSEマーク取得7つの基礎知識!」をご覧ください。

ただ、気を付けていただきたいのはPSEは販売時点の許認可である一方、モバイルバッテリーは危険物扱いともなりますので生産工場の情報が求められてきます。

その証明書のようなものがSDS(安全データシート)です。

このSDSは、EC販売モールによっては販売前に提示を求められたり、多少でもそうしたことに対する感度の高い方は、SDSを表示していないと製品購入をしないという方も少なからずいらっしゃいます

今回は、SDSとはどういうものか、またどのようにすればそれを表示できるようになるのか、などを簡単にご説明していきたいと思います。

 

そもそもSDS(安全データシート)とは?

Wikipediaでは、以下のように説明されています。

安全データシート(あんぜんデータシート、英: Safety Data Sheet、略称 SDS)とは、有害性のおそれがある化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡または、提供する際に、対象化学物質等の性状や取り扱いに関する情報を提供するための文書。

(中略)
化学物質等を適正に使用、管理するには、その人体や環境への有害性、危険性について認識し、適切な取り扱いをすることが必要であるが、そのためには情報が不可欠である。化学物質を製造や輸入する業者は、中身が分かっていて情報を入手しやすいが、取引によって受け取り、使用する業者や輸送、保管する業者は情報を入手しづらい。このため、有害性のおそれがある化学物質等については、自主管理に必要となる情報が確実に伝えられるようにすることを目的に、統一した様式で提供するように法令で義務付けられている。
引用:Wikipedia_安全データシート

簡単に言うと、有害性の恐れがある化学物質の商取引を円滑にするために、当該製品に含まれている物質名を始め、その生産責任者(メーカー)の情報などを記載したのがSDSです。

また、例えば、メーカーAが事業者Bに対象製品を販売し、さらにそのBがユーザーCには販売する際に、CからBにSDSが求められることもあります。

そうした時、BはAからSDSを入手して、Cに情報を譲渡することになります。もちろん、CはAから直接入手することも可能ですが、そうするとBの役割がなくなってしまうので、やはりBしっかりとSDSの動きを把握する必要があるのです。

なお、冒頭文では、PSE関連の製品でわかりやすいリチウムイオン電池(モバイルバッテリー)を例にしましたが、同じくWikipediaを引用すると、

日本では、毒物及び劇物取締法および施行令で指定されている毒物や劇物(日本の毒物一覧、日本の劇物一覧を参照。)の全て、労働安全衛生法で指定された名称公表化学物質等、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法、PRTR法、化管法とも呼ばれる)の指定化学物質を1%以上(ただし、特定第一種指定化学物質は0.1%以上)含有する製品を事業者間で譲渡・提供するときに、事前または同時にSDSの提供が義務化されている。

となっています。
なお、これは日本のSDSの話ですので、各国によって対象物質は違います。

一般生活レベルの商品を物販事業に限って言えば、モバイルバッテリーに関してはSDSの入手が必要だということは覚えておいてください。

 

どういったことが記載されているのか?

日本工業規格(JIS Z 7253:2012「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法−ラベル,作業場内の表示及び安全データシート」)で、標準化されている以下内容が記載されています。

1.製品及び会社情報 – 製品名称、SDSを提供する事業者の名称、住所及び連絡先

2.危険有害性の要約 – GHS対応の絵表示や注意喚起語を使用

3.組成、成分情報 – 含有する指定化学物質の名称、指定化学物質の種別、含有率(有効数字2桁)

4.応急措置

5.火災時の措置

6.漏出時の措置

7.取扱い及び保管上の注意

8.暴露防止及び人に対する保護措置

9.物理的及び化学的性質

10.安定性及び反応性

11.有害性情報

12.環境影響情報

13.廃棄上の注意

14.輸送上の注意

15.適用法令

16.その他の情報

 

どういったところで情報保管、開示を行うのか?

一番オーソドックスなのが、自社サイトもしくは製品サイトなどにデータをアップロードして、ユーザーが自由に閲覧、入手できるようにしておくことです。

ちなみに、当社でも販売する製品にモバイルバッテリーがあり、SDSを当社サイトに掲載していますので、ご興味ある方はご覧になってください。

なお、本文は英語になっています。日本の業者だから必ずしも日本である必要はなく、生産工場が中国、アメリカなどであれば当該国の言語で作成しても構いません。

ただ、日本の業者であれば日本語作成するのが一番親切であることは理解しているのですが、中国の工場に日本での資料を作らせることに力及ばずという点が心残りです。

INSIGHT WORKSが扱うモバイルバッテリーのSDS

https://insightworks.co.jp/wp-iw/wp-content/uploads/2020/07/Battery-MSDS-INSIGHT-WORKS-Vol.1.pdf

このようにウェブ掲載する方法が一番エンドユーザーに閲覧されやすいですし、それが本来的な役割でしょうが、もちろんサイトにアップロードせずに、求められたお客様に対してPDFなどを送付するやり方でも良いでしょう。

 

どうやったら入手できるのか?

例えば、貴方が販売事業者であれば生産工場(メーカー)に問い合わせしてみてください。

SDSは世界的な共通事項ですので、通常のメーカーでは有しているはずなのですが、中にはそんなもの知らない、という工場も少なからず存在しています。自国内でちょろっと売るだけの工場であればそういった考えもあるでしょう。

ちなみに、先述の当社モバイルバッテリーSDSに関しても、最初にPSE検査を行った後に、Amazonへ出品しようとした際に求められたので作成しました。

モバイルバッテリーはPSE必須、とだけ記憶されがちですが、SDSに関しても注意が必要です。

モバイルバッテリーのPSE認証をする際も、SDSを提供してくれる工場を選ぶようにした方が良いですが、もしPSE認証後にSDSが出せないということになった場合、当社にご連絡頂ければ、SDS作成についてもサポートさせていただきます。

一方、貴方が一般ユーザーだとした場合、その会社のホームページなどにSDSあるか確認されてみてください。しかし、率直なところ、一般ユーザーがSDSを必要とする場面は少ないと思いますが、そういったものがあるということだけは覚えておいてください。

極端な例ですが、そういった資料を用意できていないという業者の製品を購入した場合、万一の物損事故の可能性が高いというのも事実です。

やっぱり大手メーカーなどはそうしたところはキチンとしていますからね、モバイルバッテリーなどの危険物製品を値段だけを判断材料にするのは、少々危ないかもしれません。

 

率直なところSDSの入手は必要か?

基本的に経済産業省の省令の中に、危険物の情報開示(SDSの提示)は義務とされていますので、販売業者の方は入手・開示は必須となります。

ただ、本音ベースで言えば、情報開示をしていないということで、経済産業省がどこまで取り締まれるかは私も分かりません。

PSEみたいに製品に表示がされていなければ、即刻アウト!ということであればわかりやすいのですが、販売する場所と情報開示をする場所が違った際に、どこまで厳格に取り締まれるかは未知数だと感じます。

ただ、SDSの作成などにはそれほどお金がかかるわけでもありませんし、モグりなことをやっていて企業が大きくなった歴史はありませんので、企業を成長させたいのであればやるべきことはやっておいた方が良いでしょう。

また、最近ではAmazonなどのECモールでもSDS提出を半ば強制的に行っていることが多くなってきていますので、そうした点は留意しておきましょう。

 

補足

正直なところ、SDSの根拠法になる化管法や、SDSと対を為す安全ラベルのことなど、この領域は広く書こうと思えば、書くことは沢山あります。

それは追々、必要があればこのページに加筆するなり、新しいページを作成いたします。

 

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